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本編
煩悩と除夜の鐘(R18
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今日は年末年始。いつもなら一人寂しい年末だけど、今年は王子様が一緒に年を越してくれる。
今までは一人を寂しいなんて思ったことはなかったのに、最近では東吾さんの姿が見えないだけで胸にぽっかりと穴があいたみたいになってしまう。重症だ。
「本当に、実家に帰らなくても良かったんですね?」
「呼ばれてないし、呼ばれていたとしても君と過ごしたいから今年は帰るつもりなかったよ」
「東吾さん……」
僕の部屋は寒いけど、東吾さんがいてくれるからあったかい。
そして、身体も別の意味でやたら熱い。
だって一応、今日は最後までヤる日なんだ。
もちろん東吾さんも同意の上。
「友人の家にお泊まりなんて初めてだから、なんだかドキドキする」
だというのに、この純粋さよ。
友人の前に恋人じゃないですかー!
そんなヤる気が削がれるようなこと言わんでくださいよォォ!
純粋にはしゃがれると、自分が凄く汚い大人になったような気がしてくる。
僕より年上なんだけどな……この王子様。
「今は友人じゃないでしょ。恋人でしょ。そう思ってるの、僕だけですか?」
「あ。違うんだ、ごめん。そうだね。その、何か少し気恥ずかしくて……。せーたは私の、大切な恋人だよ。……ね?」
僕の恋人が可愛すぎてツライ。いっそアザトイ。
「はい。つまり、貴方は恋人のお部屋に初めてのお泊まりってことです」
「うん。楽しみだな」
あー。わかってない。この顔はわかってない。
まさか約束もすっかり忘れてるんじゃないだろうな。つい先日だぞ。
「うちには布団、一組しかないんですけど」
今気づいた! みたいな顔をされると思ったのに、東吾さんはじわじわと赤くなっていって、ゆっくりと目を逸らした。
「きちんとわかってるから……」
わかってた。
そ、そうか、これも照れ隠しか。夜まではそういう雰囲気にならないための牽制もあるのかも。
説得しようとした僕が馬鹿みたい。恥ずかしい。王子様って素なのかどうか判断が難しいんだよ。
「なら今日は、覚悟できてます?」
「ん。でも、そういうのは夜に……」
「もう夜ですけど」
「眠る時という意味で」
「明日は寝不足ですね」
「……手加減してね。何せ私は、初心者なのだから」
せーたと違って。という声が聞こえてきそう。まだ少し妬いてるのかも。
「僕だってそう慣れてるわけじゃないですし」
「そう。あっ、コンビニ行こうか」
キスをしようとしたら、このあからさまなかわしっぷり。
本当に、夜までは何もさせてもらえそうにはないな……くそう。
「そうですね。じゃあ、行きましょうか」
思いきりしょんぼりした顔で言ってやると、東吾さんは僕の頭を撫でて頬にちゅっとしてくれた。
唇にするよりも逆に恥ずかしい気がする……。
「その、蕎麦が……」
「え?」
「年越し蕎麦は年内に食べきるものだというし、ぐったりしていて食べられないと悲しいから」
「……あー」
確かに……そうか。
ただでさえ無理のある行為だし、東吾さんの身体に負担はかかる。たとえ上手くできたとしても、ぐったりして蕎麦なんか食べられる状態じゃないかもしれない。
僕だって男同士は初めてなんだ。前の彼女は平気そうにしてたから、なんて重ね合わせるのはそれこそシツレイというものだ。
並んで年越し蕎麦を啜るの、本当に楽しみにしてくれてたんだな……。
「がっついてすみませんでした。夜まで二人でゆっくり過ごしましょう」
東吾さんが嬉しそうに頷く。
でもやっぱり、少しだけ触れたい。
唇を寄せると今度は素直に受けてくれた。
「へへ……。理由があっても、キスを拒まれるのは、やっぱり悲しいですよ」
「さっきのせーたは、そのまま突っ走りそうな顔をしていたからね」
「僕、そんなに野獣みたいな顔してました?」
そんなことばかり考えてたからかな……。気をつけよう。
「こういうことに関して、君は意外に強引なんだ。でもそれが、嫌じゃなくて嬉しいから困る」
「嬉しいんだ」
「好きな相手に欲しがられたら、大抵はそう思うんじゃないか?」
「そうですね。僕も嬉しい」
もう突っ走る気はなかったけれど、何度か触れるだけのキスをかわして手を握ったり寄り添ったりしていたら、凄くしたくなってきてしまった。
それに東吾さんがスッゴイやらしい顔してるものだから、余計に。
そんな表情は狡い。悪いのは僕だけじゃない。でも我慢。
「せ、せーた。そんなを顔しないでくれ」
「東吾さんだって相当ですけど」
「…………」
「…………」
「今日の夕飯は少なめだったから、まだお腹には余力があるけど」
「少し早いかもしれませんが、もう茹でていいですかね。年越し蕎麦」
「今年は……今までで一番、いい年が越せそう」
「僕もです」
離れがたくなるキスをもう一度ちゅっとして、僕はいそいそと台所へ立った。東吾さんも同じ気持ちでいてくれているのが嬉しかった。
思った以上に我慢していたみたいだ。すきま風だらけのこの部屋を、真冬に暑いと感じる日がくるなんて。
年越し蕎麦を食べ終えた僕たちは、食休みがてら手を繋ぎながらまったりしていた。
夕飯後だったから、思ったよりも胃にきている……。
「初めてあった時も、蕎麦を茹でてくれたね。なんだか懐かしいな」
「ふふ。まだそんなに経ってないのに、確かに懐かしい気がします」
「今日のも凄く、美味しかったよ」
東吾さんはそう言うけれど、あの時食べた引っ越し蕎麦は蕎麦自体が上等で、今日のものとは比べ物になりはしない。
「ただ茹でるだけですよ。つゆだってスーパーで買った出来合いのものだし」
「多分、私にはまだ、その茹でるだけもできない」
「そんなの」
できなくてもいいんじゃないかな。僕がずっと作ってあげれば、それで。
自炊なんて安く済むからしていただけで、基本的にずぼらな性格なのに、このかわりよう。笑うしかない。僕は人のためのご飯なら、喜んで作れるタイプだったのか。
「……そうですね。いつか、僕のために、作ってください」
「頑張るよ」
寒いはずの部屋は今日は暖かく、握りあった手は熱い。
東吾さんは僕の手をにぎにぎするのがお気に入りなのか、相変わらず揉んでいる。
「細い指だな。指輪も、よく似合ってる。よかった」
「東吾さんの手は白くて綺麗です」
べろりと舐めてみる。
「っ、せーた?」
「はは。ダシの味」
東吾さんの身体は今、僕が作ったご飯でできていて、とてもいいダシが出てそう。なんたって愛情をかけて、毎日ことこと煮詰めたんだ。
「布団、敷きますけど」
入るためのきっかけなんて、もう待たなくていい。これも僕が作るだけ。東吾さんはソレが訪れるのを、静かに待っている。
頷いたのを確認したら、あとは美味しくイタダキマス。
敷いた布団の上に僕より大きな身体を押し倒し、首筋に吸い付く。東吾さんの腕は僕の背中にぎゅうとまわった。
「な、なにか。凄く緊張するんだけれど。心臓が口から出そうって、本当にあるんだな……」
胸のあたりに手のひらを押し当ててみると、なるほど確かに凄い音がしてる。でもそれは僕もさして変わらないだろう。
僕もですよって言ったら、また、初めてじゃないのにかいって言われるかな?
「僕は貴方とこうできる日を楽しみに、何度もシミュレーションしてきましたから」
「私と、こういう……想像を?」
「はい」
あ。赤くなった。可愛いなあ。
胸に滑らせた手をそのまま撫でる動きに変えて、もう片方の手でゆっくり服を脱がせていく。今日の服も凄く高そうだから、なるべく汚したくない。東吾さんのピシリとした佇まいが好きなので、いつかは着衣エッチもしてみたいとは思うけれど。
「き、君も脱いでくれ」
「はい。東吾さん、脱がせて? ガリガリで驚いちゃうかも。みっともないから、本当はあまり見せたくないですけど」
白く均整の取れた東吾さんの身体は、美術館に飾ってあってもおかしくない美しさ。そんな彼に自分の身体を見せるのは恥ずかしかった。でも、どこか興奮もあった。
実際、着替えさせてもらったから一度は見られているんだけど、僕の意識がない時だったし感覚としては全然違う。東吾さんも同じ気持ちなのか、僕の衣服を脱がす指先は微かに震えていた。
真剣な顔、カッコイイ。そんなカッコイイ顔で、指が震えるくらい緊張しながら僕の服を脱がすんだ。なんだろう。なんかヤバイな。何がとか言えないけど、やたらムラムラする。
「綺麗だ」
「うわっ、さすがにそれはやめてください! 恥ずかしい!」
「素直な感想をのべただけなのに」
こんな貧相な身体が綺麗とか絶対にない。もし、そう感じるのだとしたら、それは東吾さんが僕のことを好きだから。
「なら、ちゃんと。僕の身体で欲情できます?」
「してる」
「本当に?」
「うん。でも乱暴にしたら、壊れてしまいそうだ」
「したいんですか、乱暴」
「まさか。優しくする」
確かに東吾さんはそういうタイプ。
僕としては多少乱暴にしてくれても構わないんだけど。
というか、何かしてくれるつもりなのかな。服を脱がすだけで精一杯っぽいけど……。
次はいよいよズボンってところで固まってるし。強引さの欠片もない。
そもそも、さっきの台詞は東吾さんが言うってよりは。
「僕も、優しくします……ね?」
「それは全力でお願いしたい」
「ふふ……。ハイ」
脱がしやすいように身体を浮かせると、ようやく手を進め始めた。
うわ、まだ何もしてないのに、僕の普通に勃ってるし。
僕も東吾さんの服を少しずつ脱がせてこ。
色素が薄いからか透明度のある肌なんだよな。手のひらに吸い付きそうだ。
「東吾さん、下着脱がせたら、僕の握ってくれます? ……ん、そう」
優しくするって言ったくせに、ちょっと強い気がする。でも気持ちいい。背中から爪先までぞくぞくする。
「ん……う」
思わず声を漏らすと、東吾さんがごくりと喉を鳴らした。僕を見て興奮してくれてるのかと思うと、煽られる。
形のいい唇を食べるように塞いで、東吾さんの身体をまさぐった。
肩、胸、腰。ゆっくり撫でて、太股を下から持ち上げる。
「……冷たっ」
「すみません。僕の体温が低いからですね。凄く興奮してるはずなんだけどな」
「私がそれ以上に、興奮してるからかな」
「してるんですか?」
「えっ。そ、それは、するだろう……」
わかってて訊いた。言わせたかった。
まだ冷たいのか、東吾さんがぶるりと身を震わせる。でも、腿から手は離さない。
東吾さんの肌……白いから柔らかいようにも見えるけど、実際はやっぱり固いな。このままお尻を揉んでも、似たようなものなんだろう。
女性的な柔らかさを求めているわけではないし、充分すぎるほど、興奮する。
……きっと僕は、元から男も恋愛対象にできる人間だったんだ。それとも、王子様が特別なのかな。これが初恋だから、よくわからないや。
「東吾さん、少し冷たいかもしれないけど、僕の手だと上手く温まらないと思うので……ちょっと我慢してくださいね」
出したローションを申し訳程度に手でぬめらせてから、太股の裏へ塗りつける。そのまま、前へ。
「わ……ぬるぬるして……」
「きもちーですか?」
「ん……」
東吾さんが目をつぶって僕にしがみつく。
睫毛まで金色だ。綺麗だなあ。こんな、王子様みたいな人を、これから抱いていいんだ。なんだか信じられない。
この人に対する感情、初めは食費や好奇心だけだったのに、いつの間にかすっかり骨抜きにされちゃったな。でも可愛いから仕方ない。
声を殺すように喘ぐ唇を唇で塞いであげると、くぐもった悲鳴が喉の奥で響いた。
「東吾さん、手が止まってますよ」
「だっ……、君が、色々するから」
「しごきながらキスしただけじゃないですか」
東吾さんが唇をきゅっと引き結んで、顔を近づけてくる。キスしてくれるのかなと思ったけど、僕をじっと見たまま手の動きを再開させた。
「わっ……」
綺麗な顔に見られながら擦られるの、想像以上に興奮する。
もっと……気持ちよくしたい。なりたい。
僕はローションでぬめる東吾さんのソレに擦り付けるように腰を動かした。
「そんな、押しつけられたら上手く擦れない……」
「うん。だから、一緒にこう、重ねて握って……」
いつも僕の手をにぎにぎしてくる手のひらで握ってるんだと思うと、なんかもうたまらない。
「そのまま、緩く握っててくれたら、後は僕が動くので」
「動……っ、わ。ひ……、やだ、ちょっと待って、せーた」
「は……っ。すご。きもちい……」
腰を前後に揺らすと、東吾さんが作った輪の中に卑猥な形をした棒がズポズポと出入りする。
まあ、東吾さんのも、大きさでいえばえげつないんだけど……。やっぱり綺麗なんだよな。押しつけて擦るだけで、イッちゃいそう。
「私のも、こ……っ、擦れてるから……!」
そんなことを悲痛な声で叫ばれて、思わず噴き出しそうになってしまった。
「擦ってるんですけど」
「あ……ああ、そうか」
「一緒にすると、気持ちいいでしょ?」
東吾さんが頷いて、握る手に強弱をつける。ただでさえぬるぬるしてて気持ちがいいのに、腰が砕けそうになった。
まだ……。まだ、僕のほうはイクわけにはいかない。
東吾さんの先端にだけ指先をすべらせて、先を撫でるようにするとびくびくと身体を跳ねさせた。
「……っ、んんッ」
東吾さんが、握っているのとは別の手でシーツを掴んで浅く喘ぐ。
「あ、や……ッ」
どろりとした白濁が、東吾さんの白い肌に飛び散る。僕のほうはなんとかこらえた。
そのまま腰を止めずに揺らすと、東吾さんが短く叫んで僕の身体を押し返す。
「ま、待って。今、だ、ダメ……ッ」
とろけた顔を見続けていたい気もしたけど、イッてすぐがつらいのは同じ男としてよくわかる。
あまり虐めすぎると二度目がないかもしれない。僕はおとなしく身体を引いた。
「はあ、は……。ああ、わ、私だけ先に。すまない」
「大丈夫ですよ。僕は東吾さんの中で出しますから」
こめかみにキスをして、ローションやら体液やらでどろどろになった下肢を探る。これなら冷たいってこともないだろう。
「んっ……」
あれ。割りとすんなり、指が入ったような。
「東吾さん、ココ、自分でしました?」
「してない。でも……洗ってはきた。約束、していたしな……今日はすると」
どれだけ洗ったのか、結構柔らかくなっている。これなら、割りとすぐに入りそうかも。
いやいや。優しくするって言ったし、指でちゃんと気持ちよくさせてから……。
「でも、残念だな。初めてここへ入るのは、僕の指が良かった」
「あ……初めて、ではないんだ」
まさかの爆弾発言。
「ええっ!? こういうことをするのは、僕が初めてって」
「その。子供の頃、ドクターに座薬を入れられたことが」
「座薬」
せっかくの初えっちなのに、笑わせにかかるのはやめてほしい。
恥じらってみせるだけでいいのに、何故わざわざ申告して過去を暴露した。萎えてない自分を褒めたいぞ。
……あああ。もう、本当、好き。王子様らしいや。
「いいですね。今度僕にも入れさせてください」
「へ、変態か、君は」
「ダメですか?」
「…………風邪を引いて、熱が出たら……」
させてくれるの。優しい。可愛い。素直で可愛い。
「嬉しいな。でも、風邪は引かないでくださいね。引かないように、今から僕があっためてあげますから」
「う、んんっ……。暖かいというか、もう熱い……」
指を一本第二間接あたりまで入れただけなのに、恥ずかしさからか東吾さんは発熱してるみたいに熱くなってる。肌が汗ばんで仄かに赤く、凄く扇情的だ。
……座薬とはいえ、やっぱりちょっと悔しいな。でも、大人になってから他人の指が入るのはこれが初めてだろうし。……指より、大きいモノも入れちゃうし。
小さなくぐもった息が漏れる他は、あまり喘いだりしない。東吾さんは手で口を押さえて、声を出さないようにしている。
「気持ちよかったら、声を出してください」
「だ、だけど、私は男だし……気分が萎えてしまわないか?」
「まさか。興奮します」
少し低めの声が甘く掠れるのを聞くと、たまらない気分になる。
「それに、気持ちのイイトコロ、ちゃんと知りたいし」
「……隣に、聞こえてしまわないだろうか。声が」
「あー……」
隙間風の見事なおんぼろアパート。下手をしたら、隣どころか外まで丸聞こえだ。
僕が聞きたいからといって、王子様を辱しめるのはよろしくない。……僕以外に、聞かせたくないし。
「あまり大きくならない程度に喘いでください。僕にだけ聞こえる感じで」
「む、難しいな」
東吾さんは僕の身体をぎゅっと抱き寄せた。耳元に熱い息がかかってぞくりとする。
確かにこれなら、僕にだけ東吾さんの密やかな喘ぎが聞こえるだろうけど……。
「これで……どうかな」
「ちょっと、上手く、動けませんかね……」
「あっ、そ、そうか」
天然可愛い。
せっかく抱き寄せてもらったので、唇にちゅっとキスをしてから再び指を動かした。
中の壁を探るように、ゆっくりゆっくり。声は上げてもらえなさそうだから、身体や表情の変化を少しでも見逃さないように注意しながら。
「……あ!」
「ここですか?」
「わからない。で、でも何か……っ。あ、あ、だめ……。声、が……ッ」
東吾さんは可哀想なくらい狼狽えて、近くにあった自分の服を引き寄せて口にくわえた。
「ん、ん……ッ、ん」
うわああ。逆にエロイ。超やらしい。
「服、痛んじゃいますよ」
「でもそれ、いつもと違う。声が、抑えられな……っ、あうッ!」
口を開いた瞬間を見計らってイイトコロを刺激すると、高い声をあげて涙目で睨んできた。
「せーたの意地悪……!」
「それ、煽ってる台詞でしかありませんからね? ああー……。もう、全身舐めちゃいたい」
お姫様をエスコートするのが当たり前みたいなキラキラした王子様を身体の下に組み敷くのは、男の征服欲を想像以上に満足させる。
僕にはそんな……そういう欲求はないと思っていたんだけど。
相手が東吾さんだから、なのかな。
恥ずかしそうにする東吾さんの身体を宣言通り舐めながら、僕を迎え入れる場所が開くまでじっとりと愛撫を続けた。
今までは一人を寂しいなんて思ったことはなかったのに、最近では東吾さんの姿が見えないだけで胸にぽっかりと穴があいたみたいになってしまう。重症だ。
「本当に、実家に帰らなくても良かったんですね?」
「呼ばれてないし、呼ばれていたとしても君と過ごしたいから今年は帰るつもりなかったよ」
「東吾さん……」
僕の部屋は寒いけど、東吾さんがいてくれるからあったかい。
そして、身体も別の意味でやたら熱い。
だって一応、今日は最後までヤる日なんだ。
もちろん東吾さんも同意の上。
「友人の家にお泊まりなんて初めてだから、なんだかドキドキする」
だというのに、この純粋さよ。
友人の前に恋人じゃないですかー!
そんなヤる気が削がれるようなこと言わんでくださいよォォ!
純粋にはしゃがれると、自分が凄く汚い大人になったような気がしてくる。
僕より年上なんだけどな……この王子様。
「今は友人じゃないでしょ。恋人でしょ。そう思ってるの、僕だけですか?」
「あ。違うんだ、ごめん。そうだね。その、何か少し気恥ずかしくて……。せーたは私の、大切な恋人だよ。……ね?」
僕の恋人が可愛すぎてツライ。いっそアザトイ。
「はい。つまり、貴方は恋人のお部屋に初めてのお泊まりってことです」
「うん。楽しみだな」
あー。わかってない。この顔はわかってない。
まさか約束もすっかり忘れてるんじゃないだろうな。つい先日だぞ。
「うちには布団、一組しかないんですけど」
今気づいた! みたいな顔をされると思ったのに、東吾さんはじわじわと赤くなっていって、ゆっくりと目を逸らした。
「きちんとわかってるから……」
わかってた。
そ、そうか、これも照れ隠しか。夜まではそういう雰囲気にならないための牽制もあるのかも。
説得しようとした僕が馬鹿みたい。恥ずかしい。王子様って素なのかどうか判断が難しいんだよ。
「なら今日は、覚悟できてます?」
「ん。でも、そういうのは夜に……」
「もう夜ですけど」
「眠る時という意味で」
「明日は寝不足ですね」
「……手加減してね。何せ私は、初心者なのだから」
せーたと違って。という声が聞こえてきそう。まだ少し妬いてるのかも。
「僕だってそう慣れてるわけじゃないですし」
「そう。あっ、コンビニ行こうか」
キスをしようとしたら、このあからさまなかわしっぷり。
本当に、夜までは何もさせてもらえそうにはないな……くそう。
「そうですね。じゃあ、行きましょうか」
思いきりしょんぼりした顔で言ってやると、東吾さんは僕の頭を撫でて頬にちゅっとしてくれた。
唇にするよりも逆に恥ずかしい気がする……。
「その、蕎麦が……」
「え?」
「年越し蕎麦は年内に食べきるものだというし、ぐったりしていて食べられないと悲しいから」
「……あー」
確かに……そうか。
ただでさえ無理のある行為だし、東吾さんの身体に負担はかかる。たとえ上手くできたとしても、ぐったりして蕎麦なんか食べられる状態じゃないかもしれない。
僕だって男同士は初めてなんだ。前の彼女は平気そうにしてたから、なんて重ね合わせるのはそれこそシツレイというものだ。
並んで年越し蕎麦を啜るの、本当に楽しみにしてくれてたんだな……。
「がっついてすみませんでした。夜まで二人でゆっくり過ごしましょう」
東吾さんが嬉しそうに頷く。
でもやっぱり、少しだけ触れたい。
唇を寄せると今度は素直に受けてくれた。
「へへ……。理由があっても、キスを拒まれるのは、やっぱり悲しいですよ」
「さっきのせーたは、そのまま突っ走りそうな顔をしていたからね」
「僕、そんなに野獣みたいな顔してました?」
そんなことばかり考えてたからかな……。気をつけよう。
「こういうことに関して、君は意外に強引なんだ。でもそれが、嫌じゃなくて嬉しいから困る」
「嬉しいんだ」
「好きな相手に欲しがられたら、大抵はそう思うんじゃないか?」
「そうですね。僕も嬉しい」
もう突っ走る気はなかったけれど、何度か触れるだけのキスをかわして手を握ったり寄り添ったりしていたら、凄くしたくなってきてしまった。
それに東吾さんがスッゴイやらしい顔してるものだから、余計に。
そんな表情は狡い。悪いのは僕だけじゃない。でも我慢。
「せ、せーた。そんなを顔しないでくれ」
「東吾さんだって相当ですけど」
「…………」
「…………」
「今日の夕飯は少なめだったから、まだお腹には余力があるけど」
「少し早いかもしれませんが、もう茹でていいですかね。年越し蕎麦」
「今年は……今までで一番、いい年が越せそう」
「僕もです」
離れがたくなるキスをもう一度ちゅっとして、僕はいそいそと台所へ立った。東吾さんも同じ気持ちでいてくれているのが嬉しかった。
思った以上に我慢していたみたいだ。すきま風だらけのこの部屋を、真冬に暑いと感じる日がくるなんて。
年越し蕎麦を食べ終えた僕たちは、食休みがてら手を繋ぎながらまったりしていた。
夕飯後だったから、思ったよりも胃にきている……。
「初めてあった時も、蕎麦を茹でてくれたね。なんだか懐かしいな」
「ふふ。まだそんなに経ってないのに、確かに懐かしい気がします」
「今日のも凄く、美味しかったよ」
東吾さんはそう言うけれど、あの時食べた引っ越し蕎麦は蕎麦自体が上等で、今日のものとは比べ物になりはしない。
「ただ茹でるだけですよ。つゆだってスーパーで買った出来合いのものだし」
「多分、私にはまだ、その茹でるだけもできない」
「そんなの」
できなくてもいいんじゃないかな。僕がずっと作ってあげれば、それで。
自炊なんて安く済むからしていただけで、基本的にずぼらな性格なのに、このかわりよう。笑うしかない。僕は人のためのご飯なら、喜んで作れるタイプだったのか。
「……そうですね。いつか、僕のために、作ってください」
「頑張るよ」
寒いはずの部屋は今日は暖かく、握りあった手は熱い。
東吾さんは僕の手をにぎにぎするのがお気に入りなのか、相変わらず揉んでいる。
「細い指だな。指輪も、よく似合ってる。よかった」
「東吾さんの手は白くて綺麗です」
べろりと舐めてみる。
「っ、せーた?」
「はは。ダシの味」
東吾さんの身体は今、僕が作ったご飯でできていて、とてもいいダシが出てそう。なんたって愛情をかけて、毎日ことこと煮詰めたんだ。
「布団、敷きますけど」
入るためのきっかけなんて、もう待たなくていい。これも僕が作るだけ。東吾さんはソレが訪れるのを、静かに待っている。
頷いたのを確認したら、あとは美味しくイタダキマス。
敷いた布団の上に僕より大きな身体を押し倒し、首筋に吸い付く。東吾さんの腕は僕の背中にぎゅうとまわった。
「な、なにか。凄く緊張するんだけれど。心臓が口から出そうって、本当にあるんだな……」
胸のあたりに手のひらを押し当ててみると、なるほど確かに凄い音がしてる。でもそれは僕もさして変わらないだろう。
僕もですよって言ったら、また、初めてじゃないのにかいって言われるかな?
「僕は貴方とこうできる日を楽しみに、何度もシミュレーションしてきましたから」
「私と、こういう……想像を?」
「はい」
あ。赤くなった。可愛いなあ。
胸に滑らせた手をそのまま撫でる動きに変えて、もう片方の手でゆっくり服を脱がせていく。今日の服も凄く高そうだから、なるべく汚したくない。東吾さんのピシリとした佇まいが好きなので、いつかは着衣エッチもしてみたいとは思うけれど。
「き、君も脱いでくれ」
「はい。東吾さん、脱がせて? ガリガリで驚いちゃうかも。みっともないから、本当はあまり見せたくないですけど」
白く均整の取れた東吾さんの身体は、美術館に飾ってあってもおかしくない美しさ。そんな彼に自分の身体を見せるのは恥ずかしかった。でも、どこか興奮もあった。
実際、着替えさせてもらったから一度は見られているんだけど、僕の意識がない時だったし感覚としては全然違う。東吾さんも同じ気持ちなのか、僕の衣服を脱がす指先は微かに震えていた。
真剣な顔、カッコイイ。そんなカッコイイ顔で、指が震えるくらい緊張しながら僕の服を脱がすんだ。なんだろう。なんかヤバイな。何がとか言えないけど、やたらムラムラする。
「綺麗だ」
「うわっ、さすがにそれはやめてください! 恥ずかしい!」
「素直な感想をのべただけなのに」
こんな貧相な身体が綺麗とか絶対にない。もし、そう感じるのだとしたら、それは東吾さんが僕のことを好きだから。
「なら、ちゃんと。僕の身体で欲情できます?」
「してる」
「本当に?」
「うん。でも乱暴にしたら、壊れてしまいそうだ」
「したいんですか、乱暴」
「まさか。優しくする」
確かに東吾さんはそういうタイプ。
僕としては多少乱暴にしてくれても構わないんだけど。
というか、何かしてくれるつもりなのかな。服を脱がすだけで精一杯っぽいけど……。
次はいよいよズボンってところで固まってるし。強引さの欠片もない。
そもそも、さっきの台詞は東吾さんが言うってよりは。
「僕も、優しくします……ね?」
「それは全力でお願いしたい」
「ふふ……。ハイ」
脱がしやすいように身体を浮かせると、ようやく手を進め始めた。
うわ、まだ何もしてないのに、僕の普通に勃ってるし。
僕も東吾さんの服を少しずつ脱がせてこ。
色素が薄いからか透明度のある肌なんだよな。手のひらに吸い付きそうだ。
「東吾さん、下着脱がせたら、僕の握ってくれます? ……ん、そう」
優しくするって言ったくせに、ちょっと強い気がする。でも気持ちいい。背中から爪先までぞくぞくする。
「ん……う」
思わず声を漏らすと、東吾さんがごくりと喉を鳴らした。僕を見て興奮してくれてるのかと思うと、煽られる。
形のいい唇を食べるように塞いで、東吾さんの身体をまさぐった。
肩、胸、腰。ゆっくり撫でて、太股を下から持ち上げる。
「……冷たっ」
「すみません。僕の体温が低いからですね。凄く興奮してるはずなんだけどな」
「私がそれ以上に、興奮してるからかな」
「してるんですか?」
「えっ。そ、それは、するだろう……」
わかってて訊いた。言わせたかった。
まだ冷たいのか、東吾さんがぶるりと身を震わせる。でも、腿から手は離さない。
東吾さんの肌……白いから柔らかいようにも見えるけど、実際はやっぱり固いな。このままお尻を揉んでも、似たようなものなんだろう。
女性的な柔らかさを求めているわけではないし、充分すぎるほど、興奮する。
……きっと僕は、元から男も恋愛対象にできる人間だったんだ。それとも、王子様が特別なのかな。これが初恋だから、よくわからないや。
「東吾さん、少し冷たいかもしれないけど、僕の手だと上手く温まらないと思うので……ちょっと我慢してくださいね」
出したローションを申し訳程度に手でぬめらせてから、太股の裏へ塗りつける。そのまま、前へ。
「わ……ぬるぬるして……」
「きもちーですか?」
「ん……」
東吾さんが目をつぶって僕にしがみつく。
睫毛まで金色だ。綺麗だなあ。こんな、王子様みたいな人を、これから抱いていいんだ。なんだか信じられない。
この人に対する感情、初めは食費や好奇心だけだったのに、いつの間にかすっかり骨抜きにされちゃったな。でも可愛いから仕方ない。
声を殺すように喘ぐ唇を唇で塞いであげると、くぐもった悲鳴が喉の奥で響いた。
「東吾さん、手が止まってますよ」
「だっ……、君が、色々するから」
「しごきながらキスしただけじゃないですか」
東吾さんが唇をきゅっと引き結んで、顔を近づけてくる。キスしてくれるのかなと思ったけど、僕をじっと見たまま手の動きを再開させた。
「わっ……」
綺麗な顔に見られながら擦られるの、想像以上に興奮する。
もっと……気持ちよくしたい。なりたい。
僕はローションでぬめる東吾さんのソレに擦り付けるように腰を動かした。
「そんな、押しつけられたら上手く擦れない……」
「うん。だから、一緒にこう、重ねて握って……」
いつも僕の手をにぎにぎしてくる手のひらで握ってるんだと思うと、なんかもうたまらない。
「そのまま、緩く握っててくれたら、後は僕が動くので」
「動……っ、わ。ひ……、やだ、ちょっと待って、せーた」
「は……っ。すご。きもちい……」
腰を前後に揺らすと、東吾さんが作った輪の中に卑猥な形をした棒がズポズポと出入りする。
まあ、東吾さんのも、大きさでいえばえげつないんだけど……。やっぱり綺麗なんだよな。押しつけて擦るだけで、イッちゃいそう。
「私のも、こ……っ、擦れてるから……!」
そんなことを悲痛な声で叫ばれて、思わず噴き出しそうになってしまった。
「擦ってるんですけど」
「あ……ああ、そうか」
「一緒にすると、気持ちいいでしょ?」
東吾さんが頷いて、握る手に強弱をつける。ただでさえぬるぬるしてて気持ちがいいのに、腰が砕けそうになった。
まだ……。まだ、僕のほうはイクわけにはいかない。
東吾さんの先端にだけ指先をすべらせて、先を撫でるようにするとびくびくと身体を跳ねさせた。
「……っ、んんッ」
東吾さんが、握っているのとは別の手でシーツを掴んで浅く喘ぐ。
「あ、や……ッ」
どろりとした白濁が、東吾さんの白い肌に飛び散る。僕のほうはなんとかこらえた。
そのまま腰を止めずに揺らすと、東吾さんが短く叫んで僕の身体を押し返す。
「ま、待って。今、だ、ダメ……ッ」
とろけた顔を見続けていたい気もしたけど、イッてすぐがつらいのは同じ男としてよくわかる。
あまり虐めすぎると二度目がないかもしれない。僕はおとなしく身体を引いた。
「はあ、は……。ああ、わ、私だけ先に。すまない」
「大丈夫ですよ。僕は東吾さんの中で出しますから」
こめかみにキスをして、ローションやら体液やらでどろどろになった下肢を探る。これなら冷たいってこともないだろう。
「んっ……」
あれ。割りとすんなり、指が入ったような。
「東吾さん、ココ、自分でしました?」
「してない。でも……洗ってはきた。約束、していたしな……今日はすると」
どれだけ洗ったのか、結構柔らかくなっている。これなら、割りとすぐに入りそうかも。
いやいや。優しくするって言ったし、指でちゃんと気持ちよくさせてから……。
「でも、残念だな。初めてここへ入るのは、僕の指が良かった」
「あ……初めて、ではないんだ」
まさかの爆弾発言。
「ええっ!? こういうことをするのは、僕が初めてって」
「その。子供の頃、ドクターに座薬を入れられたことが」
「座薬」
せっかくの初えっちなのに、笑わせにかかるのはやめてほしい。
恥じらってみせるだけでいいのに、何故わざわざ申告して過去を暴露した。萎えてない自分を褒めたいぞ。
……あああ。もう、本当、好き。王子様らしいや。
「いいですね。今度僕にも入れさせてください」
「へ、変態か、君は」
「ダメですか?」
「…………風邪を引いて、熱が出たら……」
させてくれるの。優しい。可愛い。素直で可愛い。
「嬉しいな。でも、風邪は引かないでくださいね。引かないように、今から僕があっためてあげますから」
「う、んんっ……。暖かいというか、もう熱い……」
指を一本第二間接あたりまで入れただけなのに、恥ずかしさからか東吾さんは発熱してるみたいに熱くなってる。肌が汗ばんで仄かに赤く、凄く扇情的だ。
……座薬とはいえ、やっぱりちょっと悔しいな。でも、大人になってから他人の指が入るのはこれが初めてだろうし。……指より、大きいモノも入れちゃうし。
小さなくぐもった息が漏れる他は、あまり喘いだりしない。東吾さんは手で口を押さえて、声を出さないようにしている。
「気持ちよかったら、声を出してください」
「だ、だけど、私は男だし……気分が萎えてしまわないか?」
「まさか。興奮します」
少し低めの声が甘く掠れるのを聞くと、たまらない気分になる。
「それに、気持ちのイイトコロ、ちゃんと知りたいし」
「……隣に、聞こえてしまわないだろうか。声が」
「あー……」
隙間風の見事なおんぼろアパート。下手をしたら、隣どころか外まで丸聞こえだ。
僕が聞きたいからといって、王子様を辱しめるのはよろしくない。……僕以外に、聞かせたくないし。
「あまり大きくならない程度に喘いでください。僕にだけ聞こえる感じで」
「む、難しいな」
東吾さんは僕の身体をぎゅっと抱き寄せた。耳元に熱い息がかかってぞくりとする。
確かにこれなら、僕にだけ東吾さんの密やかな喘ぎが聞こえるだろうけど……。
「これで……どうかな」
「ちょっと、上手く、動けませんかね……」
「あっ、そ、そうか」
天然可愛い。
せっかく抱き寄せてもらったので、唇にちゅっとキスをしてから再び指を動かした。
中の壁を探るように、ゆっくりゆっくり。声は上げてもらえなさそうだから、身体や表情の変化を少しでも見逃さないように注意しながら。
「……あ!」
「ここですか?」
「わからない。で、でも何か……っ。あ、あ、だめ……。声、が……ッ」
東吾さんは可哀想なくらい狼狽えて、近くにあった自分の服を引き寄せて口にくわえた。
「ん、ん……ッ、ん」
うわああ。逆にエロイ。超やらしい。
「服、痛んじゃいますよ」
「でもそれ、いつもと違う。声が、抑えられな……っ、あうッ!」
口を開いた瞬間を見計らってイイトコロを刺激すると、高い声をあげて涙目で睨んできた。
「せーたの意地悪……!」
「それ、煽ってる台詞でしかありませんからね? ああー……。もう、全身舐めちゃいたい」
お姫様をエスコートするのが当たり前みたいなキラキラした王子様を身体の下に組み敷くのは、男の征服欲を想像以上に満足させる。
僕にはそんな……そういう欲求はないと思っていたんだけど。
相手が東吾さんだから、なのかな。
恥ずかしそうにする東吾さんの身体を宣言通り舐めながら、僕を迎え入れる場所が開くまでじっとりと愛撫を続けた。
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