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小学校低学年編
夏祭りとチョコバナナ
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夏祭り。弟の手を引いて歩く。
何でも買ってあげる。楽しいことは何でも教えてあげる。
だから、友人たちとじゃなくて、是非俺と、デートをしてください。
学校の友人より俺を選んで夏祭りに来てくれて凄く嬉しい。幸せ絶頂期。
まあ小学校一年生じゃ、友達同士で夜出歩くなんてダメだからな。俺の天下だ。
「何が食べたい?」
「チョコバナナ!」
それはちょっと兄さんには刺激が強い……。
うっかり歩けない事態になってしまったらどうしよう。
可愛らしい浴衣姿を見ているだけで結構危険なのに。
「たこやきとかわたあめとかは?」
「チョコバナナがいい!」
弟よ。どうしてそんなにバナナに固執するんだ。
どうせなら俺のバナナを……と言い出したい気分になっても無理がないレベルだ。
「じゃあ、金魚すくいとか射的とかやって、たっぷり楽しんでからね」
「うん!」
もし帰らなければいけない事態になってしまった時のために、先にたっぷり楽しんでおくことにした。
一緒に金魚をすくって、すくった金魚は店に返す。
射的は支えて撃たせてあげた。一個も取れなかった。
「お兄ちゃん、取って?」
首を傾げて、可愛い顔でおねだりされた。
任せてくれ! お兄ちゃん、そんな顔で頼まれたら頼まれなくても君のハートを狙い撃ち!
張り切った結果、一個も取れなかった。
「元気出して、そんな日もあるよ」
慰められた。弟は優しい。余計に惨めになってくるけど。
俺があまりに気落ちしていたからか、射的のオジサンが残念賞と言ってキャラメルを一箱くれた。それを二人で食べた。とても甘かった。
「じゃあチョコバナナ!」
「はいはい」
はしゃぐ弟の手を引いて、チョコバナナを買いに行く。
実は俺、疚しい意味じゃなくてバナナは好きだったりするんだ。だから本当は食べたかった。
これを卑猥な物として見てしまう俺がおかしいんだ……。
だって弟が小さな口でくわえる……。どうしても性的に見てしまうのは、もう仕方のないことだ。
一本ずつ買って、神社の方へ行って二人で座って食べた。
下手をすると座っていても立ち食い状態になりそうだったので誘導した。座っていれば少なくとも最悪の事態は防げる。
「美味しいね」
弟はにこにことチョコバナナを頬張る。口の横にチョコがついていて、ドキドキする。
それにやっぱり、凄く……卑猥だ。
頭の中で念仏を唱えながら、俺もチョコバナナを頬張る。
弟がじいっと俺を見る。まさか俺と同じようなことを考えているんじゃ……。いや小学校一年でそれはない。
まさか俺も、チョコがついてる? そっと拭ってみた。
「お兄ちゃん」
「な、何?」
「美味しい?」
「うん。美味しい……」
「良かった。お兄ちゃんバナナ好きだもんね。だから絶対、今日は一緒に食べたいって思ってたんだ」
……邪な兄でごめんなさい。
弟の可愛い言葉に、俺は自分を恥じた。
弟はこんなに純粋に、俺に懐いてくれているのに。
本当に本当にごめん。これからは頑張って、少しでも君をそんな目で見ないようにするから。だから……。
結局やっぱり、立てなくなっている今日の失態を、どうか見逃してください。
「お兄ちゃん疲れちゃったの?」
そう純粋な顔をして聞いてくる弟に、俺は頷くことしかできなかった。
何でも買ってあげる。楽しいことは何でも教えてあげる。
だから、友人たちとじゃなくて、是非俺と、デートをしてください。
学校の友人より俺を選んで夏祭りに来てくれて凄く嬉しい。幸せ絶頂期。
まあ小学校一年生じゃ、友達同士で夜出歩くなんてダメだからな。俺の天下だ。
「何が食べたい?」
「チョコバナナ!」
それはちょっと兄さんには刺激が強い……。
うっかり歩けない事態になってしまったらどうしよう。
可愛らしい浴衣姿を見ているだけで結構危険なのに。
「たこやきとかわたあめとかは?」
「チョコバナナがいい!」
弟よ。どうしてそんなにバナナに固執するんだ。
どうせなら俺のバナナを……と言い出したい気分になっても無理がないレベルだ。
「じゃあ、金魚すくいとか射的とかやって、たっぷり楽しんでからね」
「うん!」
もし帰らなければいけない事態になってしまった時のために、先にたっぷり楽しんでおくことにした。
一緒に金魚をすくって、すくった金魚は店に返す。
射的は支えて撃たせてあげた。一個も取れなかった。
「お兄ちゃん、取って?」
首を傾げて、可愛い顔でおねだりされた。
任せてくれ! お兄ちゃん、そんな顔で頼まれたら頼まれなくても君のハートを狙い撃ち!
張り切った結果、一個も取れなかった。
「元気出して、そんな日もあるよ」
慰められた。弟は優しい。余計に惨めになってくるけど。
俺があまりに気落ちしていたからか、射的のオジサンが残念賞と言ってキャラメルを一箱くれた。それを二人で食べた。とても甘かった。
「じゃあチョコバナナ!」
「はいはい」
はしゃぐ弟の手を引いて、チョコバナナを買いに行く。
実は俺、疚しい意味じゃなくてバナナは好きだったりするんだ。だから本当は食べたかった。
これを卑猥な物として見てしまう俺がおかしいんだ……。
だって弟が小さな口でくわえる……。どうしても性的に見てしまうのは、もう仕方のないことだ。
一本ずつ買って、神社の方へ行って二人で座って食べた。
下手をすると座っていても立ち食い状態になりそうだったので誘導した。座っていれば少なくとも最悪の事態は防げる。
「美味しいね」
弟はにこにことチョコバナナを頬張る。口の横にチョコがついていて、ドキドキする。
それにやっぱり、凄く……卑猥だ。
頭の中で念仏を唱えながら、俺もチョコバナナを頬張る。
弟がじいっと俺を見る。まさか俺と同じようなことを考えているんじゃ……。いや小学校一年でそれはない。
まさか俺も、チョコがついてる? そっと拭ってみた。
「お兄ちゃん」
「な、何?」
「美味しい?」
「うん。美味しい……」
「良かった。お兄ちゃんバナナ好きだもんね。だから絶対、今日は一緒に食べたいって思ってたんだ」
……邪な兄でごめんなさい。
弟の可愛い言葉に、俺は自分を恥じた。
弟はこんなに純粋に、俺に懐いてくれているのに。
本当に本当にごめん。これからは頑張って、少しでも君をそんな目で見ないようにするから。だから……。
結局やっぱり、立てなくなっている今日の失態を、どうか見逃してください。
「お兄ちゃん疲れちゃったの?」
そう純粋な顔をして聞いてくる弟に、俺は頷くことしかできなかった。
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