40 / 46
ご褒美追加
飴と飴
しおりを挟む
「直人さんが自炊してるって、凄い意外ですよね。自炊のレベル越えてる出来映えだし……」
オシャレなイタリアンとか完璧な和食とかなんでも作る。もし彼が料理人だというなら僕はそれを信じたと思う。
「手料理を振る舞うのは嫌いじゃない。男を騙すにはいい手段だしな」
そういえば、僕と直人さんが初めて結ばれた時も料理を作ってくれたっけ。あのシチューは凄い美味しかったなあ。釣った魚に餌を与えないスタイルだから、最近は僕が作ってばかりだけど。
「散々苛め抜いてコトが終わった後はご馳走を作って甘やかしてやるんだ。まあ、飴と鞭ってやつだ」
「なるほど……って、僕全然甘やかされてませんけど!?」
今は人間椅子の真っ最中。四つん這いになった僕の背中に直人さんが乗っている。そんな僕の尻を、直人さんが渾身の力を込めて叩いた。
「あっ……あん!」
「俺はお前が喜ぶことをしてやっているだけだが?」
「はい、嬉しいですぅ……」
「サドのSはサービスのS。マゾにとっての飴を見極めてやるのが大切なんだ。ドMのお前には甘さなんて必要ないんだよ」
確かに僕は割りとどんな痛みも快楽に変えてしまうマゾだ。尽くすのも大好き。でもたまには僕を甘やかす直人さんも見てみたいと思ってしまう。
常日頃から殴る蹴るされたい、罵られたいとしか思ってこなかった僕がこんな感情を抱くなんて産まれて初めて。これが好きってことなんだろうな。こんな気持ちになれるなんて、恋って凄い。
「僕もたまには直人さんの手料理が食べたいし、優しくされたいです」
「気持ち悪い」
ああ、即答……。イイ……。
「そんなに優しくされたければ、ネコをやるんだな。そうしたら甲斐甲斐しく優しく世話してやるよ」
「あ、常に冷たくていいです。むしろそれがイイです」
「……というような会話を、出会って少し経った頃にしましたよねえ。まだ僕が花も恥じらう処女だった頃に」
「なんだ、唐突に」
「人間椅子させていただいてたら思い出しました。今日は僕がネコ、しかも無理矢理だったのにこの仕打ちじゃないですか!? ハアハア……優しさはどこへ!?」
「興奮しながら言う台詞じゃないな」
クールな切り返しもたまんない。もう直人さん大好き!
「ヤッた後、一服するのにちょうどいいんだよ。そのまま灰皿にできるしな」
「アッー! ハァハァ……イイ……」
背中に煙草を押し付けられた。ことが終わった後で素っ裸だ。これを何回かされて僕の背中は煙草の跡だらけ……これが愛の歴史か。とか思っていたら、この前まったく残ってないことが判明した。我ながら凄い回復力だ。
「それに、背中に尻の感触を感じられるのは嬉しいだろう?」
「は、はいぃ。重さも幸せです……」
ちなみに直人さんはきっちり服を着ている。生尻だったらもっと嬉しいのに。僕だけ全裸とか……。興奮せざるをえない。
「むしろお前にとっては鞭が存在しないんじゃないか? されること全部飴だろう」
「苦痛を感じるから気持ちいいんですよ!」
「セルフで鞭と飴か。さすがだな」
……本当は、ネコをさせられることが唯一の鞭なんだけど、それを言ったら飴の比率が多すぎるからなとか言われて回数が増えそうだから黙っていよう。
僕にとっての一番の飴は、貴方を抱かせてくれることなんですけどね!
愛しい人の存在には、どんな痛みも快感も罵りも敵わない。
オシャレなイタリアンとか完璧な和食とかなんでも作る。もし彼が料理人だというなら僕はそれを信じたと思う。
「手料理を振る舞うのは嫌いじゃない。男を騙すにはいい手段だしな」
そういえば、僕と直人さんが初めて結ばれた時も料理を作ってくれたっけ。あのシチューは凄い美味しかったなあ。釣った魚に餌を与えないスタイルだから、最近は僕が作ってばかりだけど。
「散々苛め抜いてコトが終わった後はご馳走を作って甘やかしてやるんだ。まあ、飴と鞭ってやつだ」
「なるほど……って、僕全然甘やかされてませんけど!?」
今は人間椅子の真っ最中。四つん這いになった僕の背中に直人さんが乗っている。そんな僕の尻を、直人さんが渾身の力を込めて叩いた。
「あっ……あん!」
「俺はお前が喜ぶことをしてやっているだけだが?」
「はい、嬉しいですぅ……」
「サドのSはサービスのS。マゾにとっての飴を見極めてやるのが大切なんだ。ドMのお前には甘さなんて必要ないんだよ」
確かに僕は割りとどんな痛みも快楽に変えてしまうマゾだ。尽くすのも大好き。でもたまには僕を甘やかす直人さんも見てみたいと思ってしまう。
常日頃から殴る蹴るされたい、罵られたいとしか思ってこなかった僕がこんな感情を抱くなんて産まれて初めて。これが好きってことなんだろうな。こんな気持ちになれるなんて、恋って凄い。
「僕もたまには直人さんの手料理が食べたいし、優しくされたいです」
「気持ち悪い」
ああ、即答……。イイ……。
「そんなに優しくされたければ、ネコをやるんだな。そうしたら甲斐甲斐しく優しく世話してやるよ」
「あ、常に冷たくていいです。むしろそれがイイです」
「……というような会話を、出会って少し経った頃にしましたよねえ。まだ僕が花も恥じらう処女だった頃に」
「なんだ、唐突に」
「人間椅子させていただいてたら思い出しました。今日は僕がネコ、しかも無理矢理だったのにこの仕打ちじゃないですか!? ハアハア……優しさはどこへ!?」
「興奮しながら言う台詞じゃないな」
クールな切り返しもたまんない。もう直人さん大好き!
「ヤッた後、一服するのにちょうどいいんだよ。そのまま灰皿にできるしな」
「アッー! ハァハァ……イイ……」
背中に煙草を押し付けられた。ことが終わった後で素っ裸だ。これを何回かされて僕の背中は煙草の跡だらけ……これが愛の歴史か。とか思っていたら、この前まったく残ってないことが判明した。我ながら凄い回復力だ。
「それに、背中に尻の感触を感じられるのは嬉しいだろう?」
「は、はいぃ。重さも幸せです……」
ちなみに直人さんはきっちり服を着ている。生尻だったらもっと嬉しいのに。僕だけ全裸とか……。興奮せざるをえない。
「むしろお前にとっては鞭が存在しないんじゃないか? されること全部飴だろう」
「苦痛を感じるから気持ちいいんですよ!」
「セルフで鞭と飴か。さすがだな」
……本当は、ネコをさせられることが唯一の鞭なんだけど、それを言ったら飴の比率が多すぎるからなとか言われて回数が増えそうだから黙っていよう。
僕にとっての一番の飴は、貴方を抱かせてくれることなんですけどね!
愛しい人の存在には、どんな痛みも快感も罵りも敵わない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
運命じゃない人
万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。
理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる