イケメンと五月病

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本編

初めてだ

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 俺は正直、今まで誰とも付き合ったことがない。そして風俗へ行ったこともない。
 つまりどこへ出しても恥ずかしい童貞というやつだ。
 付き合うことだって初めてだが、支倉はそんな俺と違ってイケメンで彼女も星の数……いたらしい。だから、まさか初めてだなんてことはないだろう。
 そんな男が俺の前でだけ照れたり恥ずかしがったり、動揺したりするのは見ていて心地がいいし、とても可愛く映る。

 今日は週末。家へ誘われて、なんとなくそんな日だって判る。
 俺もさすがに緊張して緊張して仕方ない。

 会話もどこか上滑り。ふとした時に指が触れて、目が合う。
 ああ、キスされるなと思った。
 やっぱり整った顔してるよなとジッと見ていると、支倉は俺の頬へ手をかけたまま止まってしまった。
 
「しないのか?」
「目、閉じろよ」
「嫌だね。俺、お前の顔見てたいもん。お前こそ閉じたらいい。俺の顔なんて見てても楽しくないだろ」
「そんなことない。俺にとっては、凄く……」
 
 熱っぽい響きと共に声を詰まらせる。
 そういう表情も、狡いと思う。
 ただでさえかっこいいんだから、決め顔作るな。くらくらする。

 落ちてきたキスはそれこそ真綿のように柔らかくて、何だかこっちが照れる。
 初めてキスをした感想は、こんなもんかな、くらいだったが、何度も繰り返されるうち幸福感が溢れてきた。
 手慣れてるだろうに舌も入れない清純なキスをしてくる支倉が可愛くって。
 
「んっ……」
 
 思わず俺から入れた。もれた呻きに興奮して、身体を寄せる。
 
「まずい、って」
「どうしてだ。今日、そのつもりで呼んだんだろ?」
「その気がなかったとは言わない。でも、その……お前はそれで」
「いい」
 
 先に答えを言ってキスをもう一度。
 俺は初めてする深いキスに夢中になった。
 口の中ぐちゃぐちゃに掻き混ぜて、舌先を甘く噛む。支倉に触れられた口の中から快感が広がって、指の先まで伝わっていく。
 何より支倉が気持ち良さそうにするのが、たまんなくヨかった。
 繰り返すキスのあと、ようやく一息ついて顔を離す。
 少し上気した顔が色っぽい。そんな表情のまま、支倉が笑った。
 
「余裕ないな、隆弘」
「笑うなよ。仕方ないだろ、俺……お前が初めてなんだから」
 
 恥ずかしくはあるが、どうせばれてることだしと拗ね気味に言ってみる。
 
「うん、俺も……お前が初めてだ」
「は? さすがに嘘だろ、このイケメンが」
 
 支倉が俺を見つめて、低く甘い声で囁く。
 
「これほどまでに愛しい相手とするのは、お前が初めてだ」
 
 狡い。それはかっこよすぎて狡い。卑怯の領域だ。
 どさくさに紛れて熱い愛の告白までしやがって。
 でも、まあ……肩に触れてくる指先が震えているのが愛しいから、とりあえずは許してやるよ。 
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