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07 Carnival Night
Carnival Night 9
「きゃあ!
本当に本格的なファッションショーなんだわ!」
思わず声をあげたわたしは、ドキドキしながらステージを見つめた。
モデルたちがスカートの裾をひらひらと翻しながら、次々とランウェイを進んでいく。カメラのストロボがバシバシと光り、シャッターとフィルムを巻き上げるモータードライブの音が、甲高い金属音を上げる。
「No.1 スプリングカーニバル。チーム『GoGoHeaven』 モデル、河合奈保美」
作品紹介のナレーションが入ると同時に、ステージでモデルがくるりと回る。
わぁ。最初からナオミじゃない。
彼女はランウェイを弾むように歩くと、センターステージでクルクルと二回転する。
クリノリンの入った、チューリップを逆さにしたようなポップなスカートが、ふわりと広がる。見るからに春らしくて明るい色。
ナオミって色白で背も高いから、遠くの2階席から見ても目立っていて、とってもステージ映えする。華やかで印象が強い娘。
「No.2 ボン・ボヤージュ。チーム『マヌカンピス』 モデル、姫野愛子」
「No.3 ルージュ。チーム…」
こうして明るい色の春のファッションが続いたあと、BGMは『TUBE』に変わって、夏の装いになった。
5番目に出たナオミは、原色のサマードレスの前ボタンを開けて、インナーには派手な花柄のハイレッグのビキニ。ビーチボールのような巨乳を弾ませ、モンローウォークみたいに『しな』を作りながらランウェイを進むと、センターステージでドレスの肩を抜いてターン。大きく開いた背中がとってもセクシー。
やっぱりこの子はすごい。
したたかというか大胆というか…
とにかく自分のからだを魅せるのがうまい。彼女が出てくると、カメラのシャッター音もいちだんと高まった。
秋のファッションのBGMは竹内まりあ。
枯葉模様のカントリー調のドレスに、ちょっとせつないキャンパスソングが似合っている。
さすがに『西蘭女子大のミスコン』といわれるショーだけあって、モデルはみんな綺麗でスタイルがよく、目を惹かれる女の子たちばかり。
だけどわたしは今、このステージの上に森田美湖がいないことが、とても残念だった。
確かにパンフレットのプロフィール写真は、どの女の子も綺麗に写っているけど、実際に服を着て歩き、ポーズをとった時、やっぱり、みっこに敵う女の子はいないと思うからだ。
それほどまでに、この前みっこが見せてくれたウォーキングは、印象的で美しかった。
「残念ね。わたし、みっこがモデルしてるとこ、やっぱり見たかったな」
そう言うと、わたしはみっこの方を振り向いた。
真剣な眼差しで、彼女はじっとステージを見つめていた。わたしの声も聞こえなかったみたい。両手はひざの上に置かれて、ギュッと握られている。
まばたきもしない。
そのまま2分… 3分…
「みっこ、ずいぶん真剣に見るのね」
「え? あ… ああ。そうね…」
みっこはチラッとわたしに視線を投げかけたが、すぐにステージの方に戻した。しかし、それも長くは続かず、突然立ち上がった。
「さつき。もう出よ」
「え? まだ終わってないわよ」
わたしはステージに目をやる。純白のウエディングドレス姿のモデルたちが、次々とステージに上がっているところだった。
「さつきは最後まで見てていいわ。あたし、外で待ってる」
わたしにかまわず、みっこは出口へ向かう。
「み、みっこ?!」
わたしもあわてて席を立った。
フィナーレの近づいたクライマックス。会場いっぱいの拍手が鳴り渡る中を、わたしとみっこは退場した。
つづく
本当に本格的なファッションショーなんだわ!」
思わず声をあげたわたしは、ドキドキしながらステージを見つめた。
モデルたちがスカートの裾をひらひらと翻しながら、次々とランウェイを進んでいく。カメラのストロボがバシバシと光り、シャッターとフィルムを巻き上げるモータードライブの音が、甲高い金属音を上げる。
「No.1 スプリングカーニバル。チーム『GoGoHeaven』 モデル、河合奈保美」
作品紹介のナレーションが入ると同時に、ステージでモデルがくるりと回る。
わぁ。最初からナオミじゃない。
彼女はランウェイを弾むように歩くと、センターステージでクルクルと二回転する。
クリノリンの入った、チューリップを逆さにしたようなポップなスカートが、ふわりと広がる。見るからに春らしくて明るい色。
ナオミって色白で背も高いから、遠くの2階席から見ても目立っていて、とってもステージ映えする。華やかで印象が強い娘。
「No.2 ボン・ボヤージュ。チーム『マヌカンピス』 モデル、姫野愛子」
「No.3 ルージュ。チーム…」
こうして明るい色の春のファッションが続いたあと、BGMは『TUBE』に変わって、夏の装いになった。
5番目に出たナオミは、原色のサマードレスの前ボタンを開けて、インナーには派手な花柄のハイレッグのビキニ。ビーチボールのような巨乳を弾ませ、モンローウォークみたいに『しな』を作りながらランウェイを進むと、センターステージでドレスの肩を抜いてターン。大きく開いた背中がとってもセクシー。
やっぱりこの子はすごい。
したたかというか大胆というか…
とにかく自分のからだを魅せるのがうまい。彼女が出てくると、カメラのシャッター音もいちだんと高まった。
秋のファッションのBGMは竹内まりあ。
枯葉模様のカントリー調のドレスに、ちょっとせつないキャンパスソングが似合っている。
さすがに『西蘭女子大のミスコン』といわれるショーだけあって、モデルはみんな綺麗でスタイルがよく、目を惹かれる女の子たちばかり。
だけどわたしは今、このステージの上に森田美湖がいないことが、とても残念だった。
確かにパンフレットのプロフィール写真は、どの女の子も綺麗に写っているけど、実際に服を着て歩き、ポーズをとった時、やっぱり、みっこに敵う女の子はいないと思うからだ。
それほどまでに、この前みっこが見せてくれたウォーキングは、印象的で美しかった。
「残念ね。わたし、みっこがモデルしてるとこ、やっぱり見たかったな」
そう言うと、わたしはみっこの方を振り向いた。
真剣な眼差しで、彼女はじっとステージを見つめていた。わたしの声も聞こえなかったみたい。両手はひざの上に置かれて、ギュッと握られている。
まばたきもしない。
そのまま2分… 3分…
「みっこ、ずいぶん真剣に見るのね」
「え? あ… ああ。そうね…」
みっこはチラッとわたしに視線を投げかけたが、すぐにステージの方に戻した。しかし、それも長くは続かず、突然立ち上がった。
「さつき。もう出よ」
「え? まだ終わってないわよ」
わたしはステージに目をやる。純白のウエディングドレス姿のモデルたちが、次々とステージに上がっているところだった。
「さつきは最後まで見てていいわ。あたし、外で待ってる」
わたしにかまわず、みっこは出口へ向かう。
「み、みっこ?!」
わたしもあわてて席を立った。
フィナーレの近づいたクライマックス。会場いっぱいの拍手が鳴り渡る中を、わたしとみっこは退場した。
つづく
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