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18 Rip Stick ~before side
Rip Stick 8
西蘭女子大学園祭のメインイベントのひとつ、『1991 Seiran Women's University Fashion Show』は、1時間半程度のイベントだが、みんなのすべてのパワーが注ぎ込まれている。
それはまるで、打ち上げ花火。
華々しい一瞬のために、たくさんの手間と人数と時間をかけて、いろんな仕掛けを作り上げていく。
半年以上も前から、わたしもこのイベントのお手伝いをしているけど、ひとつのショーにこれだけの手間ひまがかかるんだと知り、それをやり遂げようとするみんなの情熱に、ただ感嘆するばかりだった。
わたしなんてたいした仕事をしていないけど、服を作るチームのみんな、ステージに立つモデルさん、それを支える照明さんや音響さん、MCさんをはじめとする、たくさんのスタッフさんに支えられて、ショーはできあがっているのだ。
だれが欠けても、ショーの成功はない。
なのでどうあっても、このイベントは成功させたい。
ファッションショーは5時半開場6時開演で、最後の通し稽古は3時半からの予定だったけど、今になって構成が一部変わったとかで、30分ほど繰り上げてリハーサルをすることになった。
今までのリハーサルは、衣装が完成してなくてモデルが普段着のままだったり、メイクもしていなかったり、照明や舞台のいろんな効果も端折られていたけど、この本番直前のリハーサルは、照明やMCをはじめ、衣装もメイクも本番通りで、ノンストップで進めていくドレスリハーサル。
当然楽屋裏は、幕間の着替えやヘアチェンジなんかで、大わらわになってくる。
わたしたちは本番さながらの緊張感で、最後のリハーサルに臨んだ。
「ふう~っ。あとは本番だけかぁ。それまで少しゆっくりしときましょ」
ドレスリハを無事に終えた『Misty Pink』のリーダー小池さんは、両腕を挙げて大きく息をすると、チームのみんなに告げた。
そのひとことで、みんな肩の力が抜けて、表情も緩んでくる。
ドレスリハーサルを終えたあとの楽屋は、それぞれのチームが固まって、開演までの短い時間を思い思いに過ごしている。
オープニングのダンスの練習に余念のないモデルさんや、緊張で表情を固くして、控え室の隅でうずくまってブツブツつぶやいている人。かと思えば、舞台前の腹ごしらえに、屋台で買った焼きそばなんかを食べているチームもいた。
「結局、衣装が全部完成しなかったグループが出てね。
その部分の台本書き換えて、演出を削ったり他で埋めたりしたから、その確認のために、リハを早めたんだって。
でも、無念だろうな~、そのグループ。ショーに出品できないのって」
衣装の最終チェックをしながら、小池さんは同情するように、今回のリハーサルの変更理由を説明してくれた。
鏡台の前に座ってメイクを直していたみっこは、申し訳なさそうにあやまる。
「すみません。あたしのせいで、去年は小池さんに、そんな無念を味わわせてしまって」
「あっ。ごめん、みっこちゃん。別に責めてるわけじゃないから」
小池さんはそう言って、みっこに明るく微笑みかけたけど、ひと息おいて、続けた。
つづく
それはまるで、打ち上げ花火。
華々しい一瞬のために、たくさんの手間と人数と時間をかけて、いろんな仕掛けを作り上げていく。
半年以上も前から、わたしもこのイベントのお手伝いをしているけど、ひとつのショーにこれだけの手間ひまがかかるんだと知り、それをやり遂げようとするみんなの情熱に、ただ感嘆するばかりだった。
わたしなんてたいした仕事をしていないけど、服を作るチームのみんな、ステージに立つモデルさん、それを支える照明さんや音響さん、MCさんをはじめとする、たくさんのスタッフさんに支えられて、ショーはできあがっているのだ。
だれが欠けても、ショーの成功はない。
なのでどうあっても、このイベントは成功させたい。
ファッションショーは5時半開場6時開演で、最後の通し稽古は3時半からの予定だったけど、今になって構成が一部変わったとかで、30分ほど繰り上げてリハーサルをすることになった。
今までのリハーサルは、衣装が完成してなくてモデルが普段着のままだったり、メイクもしていなかったり、照明や舞台のいろんな効果も端折られていたけど、この本番直前のリハーサルは、照明やMCをはじめ、衣装もメイクも本番通りで、ノンストップで進めていくドレスリハーサル。
当然楽屋裏は、幕間の着替えやヘアチェンジなんかで、大わらわになってくる。
わたしたちは本番さながらの緊張感で、最後のリハーサルに臨んだ。
「ふう~っ。あとは本番だけかぁ。それまで少しゆっくりしときましょ」
ドレスリハを無事に終えた『Misty Pink』のリーダー小池さんは、両腕を挙げて大きく息をすると、チームのみんなに告げた。
そのひとことで、みんな肩の力が抜けて、表情も緩んでくる。
ドレスリハーサルを終えたあとの楽屋は、それぞれのチームが固まって、開演までの短い時間を思い思いに過ごしている。
オープニングのダンスの練習に余念のないモデルさんや、緊張で表情を固くして、控え室の隅でうずくまってブツブツつぶやいている人。かと思えば、舞台前の腹ごしらえに、屋台で買った焼きそばなんかを食べているチームもいた。
「結局、衣装が全部完成しなかったグループが出てね。
その部分の台本書き換えて、演出を削ったり他で埋めたりしたから、その確認のために、リハを早めたんだって。
でも、無念だろうな~、そのグループ。ショーに出品できないのって」
衣装の最終チェックをしながら、小池さんは同情するように、今回のリハーサルの変更理由を説明してくれた。
鏡台の前に座ってメイクを直していたみっこは、申し訳なさそうにあやまる。
「すみません。あたしのせいで、去年は小池さんに、そんな無念を味わわせてしまって」
「あっ。ごめん、みっこちゃん。別に責めてるわけじゃないから」
小池さんはそう言って、みっこに明るく微笑みかけたけど、ひと息おいて、続けた。
つづく
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