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18 Rip Stick ~After side
Rip Stick 28
「川島君にそんなこと言う権利があるの? わたしのこと傷つけてでも、みっこのこと、撮りたいの?」
「昨夜のことだったらあやまるよ。だけど、みっこのことを考えたら、ああするしかなかったんだ」
「『みっこ』『みっこ』って… わたしのことはどうでもいいの?」
「この場合、いちばん傷ついているのは、みっこだろ」
「目の前で抱きあってるの見せられて、キスするの見せられて、わたしが全然傷ついてないとでも思うの?」
「あんな状況で、拒むわけにもいかないだろう」
「はん。言い訳が上手よね。ほんとは嬉しかったんでしょ。あんな綺麗な子からキスされて、『好き』って言われて…」
「そんなことないよ」
「嘘!」
「…」
「わたし、騙されてた。みっこが好きな人は藤村さんだって、信じてた。
川島君からも騙されてた。
忙しいふりして、東京じゃみっことデートばかりしてたなんて!」
「デートばかりって…」
「『忙しい忙しい』って。みっこに会うのに忙しくて、電話もロクにかけられなかったんでしょ」
「ほんとに仕事で忙しかったんだよ!」
「川島君ちにみっこも来たの? 泊まったりしたの?」
「そんなこと…」
「でもみっこは、川島君のアパートを知ってたじゃない。川島君も最初、わたしをアパートに入れてくれなかった。なにか秘密があったからじゃないの? わたしに隠したいものがあったからでしょ!」
「そんなの、ないよ」
「もういいじゃない、嘘つかなくても。
アパートにはみっこがよく泊まりにきてて、みっこの服とか下着とかを置いてたって言われても、わたしもう、驚かないから」
「くだらない妄想ばかりしないでくれよ。だいたいみっこがぼくのことを好きだなんて… 今まで全然、気づかなかったくらいなんだから」
「よかったじゃない。みっこみたいに綺麗で素敵な女の子をモデルにして、しかも恋人にもできるなんて。川島君にはもう、わたしなんて必要ないわよね。もう、わたしのことなんて、どうでもいいわよね」
「さつきちゃんはぼくのこと、そんな風にしか思ってないのか? なんだかがっかりだな」
「ひどいわ! どうしたらそんな風に言えるの?」
「…」
「そんなにがっかりなら、義理固くわたしを送ったりしないで、さっさとみっこの部屋に戻ればいいじゃない! わたしなんかにつきあうことないわよ。みっこだって、川島君が戻ってくれば喜ぶわ。わたしから好きな人を奪えるんだから」
「さつきちゃんはみっことは親友だろ? そんな言い方するなよ」
「あっきれた! よくそんなこと言えるわね。
親友も恋人も、わたしの大事にしていたものを、ふたりして次から次に壊していったくせに!」
「…」
「なにも言い返せないでしょ。だってほんとのことだもん」
「さつきちゃん。もうちょっと落ち着いて話そうよ。これじゃまともな会話ができない」
「『まともな会話』って、なにを話したいっていうのよ」
「文化祭のときに言ったじゃないか。『あとで話す』って」
「星川先生の『返事』のこと?」
「そうだよ」
「じ今話してよ。わたし、落ち着いてるから」
「また今度、ゆっくりしたときに話すよ」
「またそうやって、わたしにないしょにするの? どうせロクな話じゃないんでしょ!」
「もういいから」
「そこまで言って話さないのって、ないでしょ。今言ってよ!」
「またな」
「話してよっ! 今すぐ!」
「う… ん。 …まあ、早く返事しないといけないし…
実は、今日が星川先生に返事する日なんだ」
「だから、なんの返事?」
「さつきちゃんにも相談したかったんだけど、昨日はあんなことになったから、言いそびれちゃって」
「いいから、早く話して」
「実は、星川先生から、『自分の東京のスタジオで働かないか?』って、誘われてて…」
「嘘つきっ!」
思わず、大声が出た。
つづく
「昨夜のことだったらあやまるよ。だけど、みっこのことを考えたら、ああするしかなかったんだ」
「『みっこ』『みっこ』って… わたしのことはどうでもいいの?」
「この場合、いちばん傷ついているのは、みっこだろ」
「目の前で抱きあってるの見せられて、キスするの見せられて、わたしが全然傷ついてないとでも思うの?」
「あんな状況で、拒むわけにもいかないだろう」
「はん。言い訳が上手よね。ほんとは嬉しかったんでしょ。あんな綺麗な子からキスされて、『好き』って言われて…」
「そんなことないよ」
「嘘!」
「…」
「わたし、騙されてた。みっこが好きな人は藤村さんだって、信じてた。
川島君からも騙されてた。
忙しいふりして、東京じゃみっことデートばかりしてたなんて!」
「デートばかりって…」
「『忙しい忙しい』って。みっこに会うのに忙しくて、電話もロクにかけられなかったんでしょ」
「ほんとに仕事で忙しかったんだよ!」
「川島君ちにみっこも来たの? 泊まったりしたの?」
「そんなこと…」
「でもみっこは、川島君のアパートを知ってたじゃない。川島君も最初、わたしをアパートに入れてくれなかった。なにか秘密があったからじゃないの? わたしに隠したいものがあったからでしょ!」
「そんなの、ないよ」
「もういいじゃない、嘘つかなくても。
アパートにはみっこがよく泊まりにきてて、みっこの服とか下着とかを置いてたって言われても、わたしもう、驚かないから」
「くだらない妄想ばかりしないでくれよ。だいたいみっこがぼくのことを好きだなんて… 今まで全然、気づかなかったくらいなんだから」
「よかったじゃない。みっこみたいに綺麗で素敵な女の子をモデルにして、しかも恋人にもできるなんて。川島君にはもう、わたしなんて必要ないわよね。もう、わたしのことなんて、どうでもいいわよね」
「さつきちゃんはぼくのこと、そんな風にしか思ってないのか? なんだかがっかりだな」
「ひどいわ! どうしたらそんな風に言えるの?」
「…」
「そんなにがっかりなら、義理固くわたしを送ったりしないで、さっさとみっこの部屋に戻ればいいじゃない! わたしなんかにつきあうことないわよ。みっこだって、川島君が戻ってくれば喜ぶわ。わたしから好きな人を奪えるんだから」
「さつきちゃんはみっことは親友だろ? そんな言い方するなよ」
「あっきれた! よくそんなこと言えるわね。
親友も恋人も、わたしの大事にしていたものを、ふたりして次から次に壊していったくせに!」
「…」
「なにも言い返せないでしょ。だってほんとのことだもん」
「さつきちゃん。もうちょっと落ち着いて話そうよ。これじゃまともな会話ができない」
「『まともな会話』って、なにを話したいっていうのよ」
「文化祭のときに言ったじゃないか。『あとで話す』って」
「星川先生の『返事』のこと?」
「そうだよ」
「じ今話してよ。わたし、落ち着いてるから」
「また今度、ゆっくりしたときに話すよ」
「またそうやって、わたしにないしょにするの? どうせロクな話じゃないんでしょ!」
「もういいから」
「そこまで言って話さないのって、ないでしょ。今言ってよ!」
「またな」
「話してよっ! 今すぐ!」
「う… ん。 …まあ、早く返事しないといけないし…
実は、今日が星川先生に返事する日なんだ」
「だから、なんの返事?」
「さつきちゃんにも相談したかったんだけど、昨日はあんなことになったから、言いそびれちゃって」
「いいから、早く話して」
「実は、星川先生から、『自分の東京のスタジオで働かないか?』って、誘われてて…」
「嘘つきっ!」
思わず、大声が出た。
つづく
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