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「主ってどんな人? ……あれ」
声が聞こえない。姿が見えない。
「おいリリー? どこ行った?」
辺りを見渡しても、どこにもいない。
「え? 待ってどこに……」
走り出そうとすると、上から声が聞こえた。
「やぁ、少年」
この妙にカッコつけた声は……。
「はは、やっほー。元気ー? ご機嫌は如何かな」
華麗に建物の屋根から降りて、着地した。
「あぁ心配しないで。あのお嬢さんにはちょっとだけ、どいててもらってるから。ここはそうだな、透明な風船の中みたいなものだよ。君と俺を隔離させてもらった。話が終わったらすぐ会えるから」
「格好は違うけど、お前さっきの奴か?」
「ふふふ、良かった。覚えててくれたんだね。忘れられてたら、更にインパクト増やさなきゃなんて思ってたよ」
「……はぁ」
パチンッと指を鳴らすと、花びらが舞い上がった。何がしたいんだ。
「……何か用ですか」
「やだなーそんな他人行儀、気楽に接してよ。それに何の用か、何て酷いんじゃない?」
突然パッと姿が消えた。今まで正面にいたのに、急に後ろから話しかけられた。
「おい! い、いきなりこっち来るなよ」
「さっき置いていったから拗ねてるのかい? ごめんごめん。色々野暮用があったのさ」
高らかに笑うと、今度はメリーゴーランドの馬の上に飛び乗った。どうバランスを取っているんだろう。なんで落ちないんだ。後ろの馬へ誘導された。メリーゴーランドなんて久しぶりだ……動いてないけど。
「で、その格好は?」
もっとつっこむべきところはあるんだろうけど、目に入って仕方ない。先程のスーツとは違って、やけに洒落た派手な格好をしている。
「ああ、あれはただの従者ごっこだよ。いやーあんな固い口調の奴はよく疲れないよね。いちいち細かいってー。お気になさらずーなんて、肩凝っちゃうよ。でもさ、なかなか決まってたでしょ? ふふふ、暇だったから練習したんだ」
俺は騙されていたのだろうか。従者だと信じていたのに。こいつの暇つぶしだったなんて。
「こっちが本当の俺だよ。そうだな……帽子屋とでも呼んで頂けたら。あの子にちなんでね。うん、そんなわけで従者ごっこはおしまい。えっとね、最初はあの子がやってること面白いなーって思ってしばらく側にいたんだけど、君と会ったら君のが面白そうだったから、観察させてもらうことにしたんだ」
再びパチリと指を鳴らすと、メリーゴーランドが動きだした。慌てて馬に捕まる。
「お前はどういう立ち位置なんだよ」
「そうだね、とにかく暇だからねぇ。面白ければ何でもいいのさ。なーんてね。因みに俺は、この遊園地に関係しているけどいない、唯一の存在って感じかな」
「……どういうことだ」
「そんなに俺のこと気になる? 嬉しいなぁ」
耳元で囁かれ、からかうなと叫ぶと、いつの間にか後ろの馬に移動していた。全く話に集中できない。
「ははは、ごめんごめん。久しぶりに退屈から抜け出せたからさぁ。それに君、何でも全力で応えてくれて面白いし。そんな少年に、この場所の秘密を教えちゃおっかなぁ」
「ちゃんと話してくれるんだろうな」
「ちゃんと、だけどお話しは楽しくなきゃね」
いつのまにかティーカップを持たされていて、上からお茶を注いだ。こちらにはねることなく全てがそこに収まる。見事だけど、マジシャンなのだろうか、この男は。
「さぁそれでも飲んで。何から話そうかなぁ……やっぱりアリスのことかな?」
うーんと悩んでいる間、ペンを回すぐらいの軽い気持ちで指の隙間から花やら風船やらを出していた。それには興味ないのか、視線を向けることなく、ぼとぼとと下に落としている。風船と鳩はどこかへ飛んでいった。それの一種なのか、いつの間にかこちらの手にもチョコレートが現れていた。せっかくだから有り難く頂戴しようかな。口に入れるスレスレで、帽子屋が笑った。
「ねぇ、それに毒が入ってたらどうする?」
思わず落としそうになると、帽子屋が掴んでそのまま口に入れられた。
「おっとと、危ない危ない。冗談だよー。俺は自分が食べるものに毒なんか仕込まないよ。っていうか毒なんて実際滅多にお目にかかることなんてないでしょ? まぁ持ってたとしても君は殺さないよ。つまらないからね」
「本当だな? って、お前睡眠薬は持ってたくせに」
「はは、あれは俺も飲んでるものだからね。安全だよ。んじゃせっかくだからその辺の話をしよっか。実はこの空間、遊園地にはね……ちょっと不思議な成分が入った薬みたいなものが振りまかれているのさ。それを吸った人達はふわふわした気分になる。麻薬とまではいかないだろうけど、自分をコントロールできなくなって、みんな帰ることなんて忘れちゃうんじゃないかな」
「そ、そんなことが……」
「まぁもちろん普通に遊んでも退屈知らずで楽しめるはずだよ。だって最初はそうだったんだから。帰りたくないって人たちを宥める為に薬を撒いたんだ。その人たちは今も内部にいるよ。君のお友達もきっとそこさ。……覚めちゃう夢はいらないんだって。因みに俺は厄介な身分でねー。君とも、ここの人とも近いけど違う。他の世界から来た余所者だから、俺のことは例外として聞いてくれ。俺はずっとここにいてもお薬が効かない」
「どういうことだ? 露骨に怪しい」
「えぇー今は君の味方なんだけどなぁー」
ポケットからピンク色の瓶を取り出した。手に納まるぐらいの大きさだ。
「もう少し先にでっかい建物があってさ、そこの地下は研究施設になってるんだ。そこで作られたみたいだよ。怪しいよねー。俺はそういうの興味ないから詳しくは知らないけど。この薬、こんな風に惚れ薬って名前の香水として、お土産ショップで売られているんだ」
「悪趣味だな」
「ははは、本当その通りだよ。君は今のところ、その影響は受けてないみたいだね? やっぱり君は特別なんだ。それかアリスが何かしてる……のか。相変わらず厄介なお嬢さんだなぁ」
「ん? アリスって誰だよ」
「あれ知らないの? あぁ君達が見てたのは替え玉か。オープンの時に派手なドレスを着てた女だろ? あいつは価値がないね。アリスの代わりで、万が一死んでも良い奴を選んだってのにさ、あの女馬鹿みたいに喜びやがって。しばらく笑い転げたよ」
「替え玉? でも代表者っぽかったぞ」
「そう見えたなら良かったな。あんなセンスの欠片も無い、金や地位にしか目がない女、こっちじゃ誰も相手にしないよ。あの開会セレモニー? あれはあいつらが考えたんだぜ? 悪趣味すぎて笑っちまうだろ。自分の成功じゃないくせにあそこまでできるなんて、逆に尊敬だね」
嫌いな相手であってもさらりと交わしそうなのに、ここまで言うなんてよっぽどのようだ。
「だからね、君のような純粋な人間は好きなんだよ」
またからかわれたのかと思ったけど、帽子屋は少し悲しそうな顔をしていた。
「そ、それにしても随分な言いようだな。その人と何かあったのか?」
「あぁ……見ているだけで不愉快だったね。ま、ここはそんな奴ばっかりだけど。この女はもういいよ。つまらない話して悪かったね」
帽子屋は立ち上がって、両手を広げた。様々な色の花びらが舞っている。
「アリスの話をしよう。君が一番知るべき相手だ」
一通り花を撒き散らすと、大きな帽子で顔を隠した。
「あの子……アリスは、可哀想な子だ」
声が聞こえない。姿が見えない。
「おいリリー? どこ行った?」
辺りを見渡しても、どこにもいない。
「え? 待ってどこに……」
走り出そうとすると、上から声が聞こえた。
「やぁ、少年」
この妙にカッコつけた声は……。
「はは、やっほー。元気ー? ご機嫌は如何かな」
華麗に建物の屋根から降りて、着地した。
「あぁ心配しないで。あのお嬢さんにはちょっとだけ、どいててもらってるから。ここはそうだな、透明な風船の中みたいなものだよ。君と俺を隔離させてもらった。話が終わったらすぐ会えるから」
「格好は違うけど、お前さっきの奴か?」
「ふふふ、良かった。覚えててくれたんだね。忘れられてたら、更にインパクト増やさなきゃなんて思ってたよ」
「……はぁ」
パチンッと指を鳴らすと、花びらが舞い上がった。何がしたいんだ。
「……何か用ですか」
「やだなーそんな他人行儀、気楽に接してよ。それに何の用か、何て酷いんじゃない?」
突然パッと姿が消えた。今まで正面にいたのに、急に後ろから話しかけられた。
「おい! い、いきなりこっち来るなよ」
「さっき置いていったから拗ねてるのかい? ごめんごめん。色々野暮用があったのさ」
高らかに笑うと、今度はメリーゴーランドの馬の上に飛び乗った。どうバランスを取っているんだろう。なんで落ちないんだ。後ろの馬へ誘導された。メリーゴーランドなんて久しぶりだ……動いてないけど。
「で、その格好は?」
もっとつっこむべきところはあるんだろうけど、目に入って仕方ない。先程のスーツとは違って、やけに洒落た派手な格好をしている。
「ああ、あれはただの従者ごっこだよ。いやーあんな固い口調の奴はよく疲れないよね。いちいち細かいってー。お気になさらずーなんて、肩凝っちゃうよ。でもさ、なかなか決まってたでしょ? ふふふ、暇だったから練習したんだ」
俺は騙されていたのだろうか。従者だと信じていたのに。こいつの暇つぶしだったなんて。
「こっちが本当の俺だよ。そうだな……帽子屋とでも呼んで頂けたら。あの子にちなんでね。うん、そんなわけで従者ごっこはおしまい。えっとね、最初はあの子がやってること面白いなーって思ってしばらく側にいたんだけど、君と会ったら君のが面白そうだったから、観察させてもらうことにしたんだ」
再びパチリと指を鳴らすと、メリーゴーランドが動きだした。慌てて馬に捕まる。
「お前はどういう立ち位置なんだよ」
「そうだね、とにかく暇だからねぇ。面白ければ何でもいいのさ。なーんてね。因みに俺は、この遊園地に関係しているけどいない、唯一の存在って感じかな」
「……どういうことだ」
「そんなに俺のこと気になる? 嬉しいなぁ」
耳元で囁かれ、からかうなと叫ぶと、いつの間にか後ろの馬に移動していた。全く話に集中できない。
「ははは、ごめんごめん。久しぶりに退屈から抜け出せたからさぁ。それに君、何でも全力で応えてくれて面白いし。そんな少年に、この場所の秘密を教えちゃおっかなぁ」
「ちゃんと話してくれるんだろうな」
「ちゃんと、だけどお話しは楽しくなきゃね」
いつのまにかティーカップを持たされていて、上からお茶を注いだ。こちらにはねることなく全てがそこに収まる。見事だけど、マジシャンなのだろうか、この男は。
「さぁそれでも飲んで。何から話そうかなぁ……やっぱりアリスのことかな?」
うーんと悩んでいる間、ペンを回すぐらいの軽い気持ちで指の隙間から花やら風船やらを出していた。それには興味ないのか、視線を向けることなく、ぼとぼとと下に落としている。風船と鳩はどこかへ飛んでいった。それの一種なのか、いつの間にかこちらの手にもチョコレートが現れていた。せっかくだから有り難く頂戴しようかな。口に入れるスレスレで、帽子屋が笑った。
「ねぇ、それに毒が入ってたらどうする?」
思わず落としそうになると、帽子屋が掴んでそのまま口に入れられた。
「おっとと、危ない危ない。冗談だよー。俺は自分が食べるものに毒なんか仕込まないよ。っていうか毒なんて実際滅多にお目にかかることなんてないでしょ? まぁ持ってたとしても君は殺さないよ。つまらないからね」
「本当だな? って、お前睡眠薬は持ってたくせに」
「はは、あれは俺も飲んでるものだからね。安全だよ。んじゃせっかくだからその辺の話をしよっか。実はこの空間、遊園地にはね……ちょっと不思議な成分が入った薬みたいなものが振りまかれているのさ。それを吸った人達はふわふわした気分になる。麻薬とまではいかないだろうけど、自分をコントロールできなくなって、みんな帰ることなんて忘れちゃうんじゃないかな」
「そ、そんなことが……」
「まぁもちろん普通に遊んでも退屈知らずで楽しめるはずだよ。だって最初はそうだったんだから。帰りたくないって人たちを宥める為に薬を撒いたんだ。その人たちは今も内部にいるよ。君のお友達もきっとそこさ。……覚めちゃう夢はいらないんだって。因みに俺は厄介な身分でねー。君とも、ここの人とも近いけど違う。他の世界から来た余所者だから、俺のことは例外として聞いてくれ。俺はずっとここにいてもお薬が効かない」
「どういうことだ? 露骨に怪しい」
「えぇー今は君の味方なんだけどなぁー」
ポケットからピンク色の瓶を取り出した。手に納まるぐらいの大きさだ。
「もう少し先にでっかい建物があってさ、そこの地下は研究施設になってるんだ。そこで作られたみたいだよ。怪しいよねー。俺はそういうの興味ないから詳しくは知らないけど。この薬、こんな風に惚れ薬って名前の香水として、お土産ショップで売られているんだ」
「悪趣味だな」
「ははは、本当その通りだよ。君は今のところ、その影響は受けてないみたいだね? やっぱり君は特別なんだ。それかアリスが何かしてる……のか。相変わらず厄介なお嬢さんだなぁ」
「ん? アリスって誰だよ」
「あれ知らないの? あぁ君達が見てたのは替え玉か。オープンの時に派手なドレスを着てた女だろ? あいつは価値がないね。アリスの代わりで、万が一死んでも良い奴を選んだってのにさ、あの女馬鹿みたいに喜びやがって。しばらく笑い転げたよ」
「替え玉? でも代表者っぽかったぞ」
「そう見えたなら良かったな。あんなセンスの欠片も無い、金や地位にしか目がない女、こっちじゃ誰も相手にしないよ。あの開会セレモニー? あれはあいつらが考えたんだぜ? 悪趣味すぎて笑っちまうだろ。自分の成功じゃないくせにあそこまでできるなんて、逆に尊敬だね」
嫌いな相手であってもさらりと交わしそうなのに、ここまで言うなんてよっぽどのようだ。
「だからね、君のような純粋な人間は好きなんだよ」
またからかわれたのかと思ったけど、帽子屋は少し悲しそうな顔をしていた。
「そ、それにしても随分な言いようだな。その人と何かあったのか?」
「あぁ……見ているだけで不愉快だったね。ま、ここはそんな奴ばっかりだけど。この女はもういいよ。つまらない話して悪かったね」
帽子屋は立ち上がって、両手を広げた。様々な色の花びらが舞っている。
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