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私には現実世界の方に十四年間片思いをする幼馴染がいた。彼の名は『黒崎悠(くろさきゆう)』、彼とは生まれた月、生まれた時刻が同じということに運命を感じていた。幼稚園から小学四年まではよく2人で遊んでいた。あちこちに探検に行っては迷子になり、よく両方の家族から怒られていたが楽しい毎日を過ごしていた。(このとき恋心は隠していた。)
高学年から中学生にかけてはお互いそれぞれの仲のいい友達と過ごすようになり、一緒に過ごす時間は家族ぐるみの付き合い以外では減った。
小学六年生のときにバレンタインの日に彼に初めて告白をし、振られてしまった。理由は「他に好きな子がいるから無理。」ということだった。
これを聞いたとき、しばらく私はショックで夜な夜な枕を涙で濡らし、彼のことを避けていた。でも恋心は諦められなかった。
中学になり、同じ学校ではあったが彼とは別のクラスで三年間過ごした。そのとき、部活や友達との雑談や噂話で彼の好みの見た目を耳にした。彼は当時人気だったショートカットが似合うボーイッシュな見た目の女優が好みだという。私はそれを聞いて、学校のない日はその好みの外見になるように無理をしない程度に努力した。そして中学卒業の時に彼に告白するもまた振られてしまった。彼の好みになったことを伝えても「もう好みじゃないし」と一蹴されてしまった。
高校になってからは、お互い別の高校に通うことになり会う頻度はめっきり減った。それでも彼への恋心は諦めていなかった。この頃になると彼のSNSで彼のアカウントをこっそり覗き、彼の好みを探っていた。清楚系アイドルが好みと判明し、イメチェンをした。そしてまた彼に告白しに行こうと彼の家を訪問しようとしたところ、彼の家から見知らぬ女子と仲睦まじく、恋人繋ぎをしているところを目撃してしまい、気配を殺してすぐに家に帰宅してしまった。
目の前で自分以外の女子と付き合っている姿はなぜか振られた時よりも、衝撃が強く心を締め付けられた。そして彼の好みになることを諦め、その努力を受験勉強に充て何とか偏差値の高い大学に合格した。
大学生になってからは自分の為の時間に費やしていたが、どこかまだ彼への思いが小さい炎のように燻っていた。だから私はこれを最後の告白にして、振られたら完全に諦めることを決意した。
ある日講義が早く終わり、私は彼の元へ向かうべくまっすぐ帰宅する最中、繁華街のビルで爆発事故があり現場の近くにいたせいで爆風に巻き込まれ、背中に強い衝撃を受けてしまい、そのまま視界が真っ暗になってしまった。
そして現在に至る。心はどこかユウに傾いていた。でも悠ももしかしたら事故に巻き込まれた私を心配してくれてるかもしれないという期待の気持ちもあった。
「よかったら現実の方の君の状態を見せてあげよう。」
彼が杖を軽く振ると巨大な鏡が出てきた。鏡の中には現実の景色が映し出された。そこはどこかの病室のようだ。ベッドには昏睡状態の私の体とその隣にはずっと私を見つめる姿があった。それは幼馴染の悠だった。
彼は昏睡状態の私の体を見つめ、何か話しかけていた。残念ながら何を言っているのかは分からない。しかし彼の表情からわかることは謝罪にと予想できた。
「あっちの彼は・・・どうやら君を大切にしなかったことに後悔しているようだね。」
「・・・っ!」
私の心は大きく揺れた。私をとても大切にしてくれる勇者と後悔しながらも私が目が覚めること待っていてくれる幼馴染に揺れていた。
それを察した彼は指をパチンと鳴らした。すると私と魔術師は白い空間に包まれた。
高学年から中学生にかけてはお互いそれぞれの仲のいい友達と過ごすようになり、一緒に過ごす時間は家族ぐるみの付き合い以外では減った。
小学六年生のときにバレンタインの日に彼に初めて告白をし、振られてしまった。理由は「他に好きな子がいるから無理。」ということだった。
これを聞いたとき、しばらく私はショックで夜な夜な枕を涙で濡らし、彼のことを避けていた。でも恋心は諦められなかった。
中学になり、同じ学校ではあったが彼とは別のクラスで三年間過ごした。そのとき、部活や友達との雑談や噂話で彼の好みの見た目を耳にした。彼は当時人気だったショートカットが似合うボーイッシュな見た目の女優が好みだという。私はそれを聞いて、学校のない日はその好みの外見になるように無理をしない程度に努力した。そして中学卒業の時に彼に告白するもまた振られてしまった。彼の好みになったことを伝えても「もう好みじゃないし」と一蹴されてしまった。
高校になってからは、お互い別の高校に通うことになり会う頻度はめっきり減った。それでも彼への恋心は諦めていなかった。この頃になると彼のSNSで彼のアカウントをこっそり覗き、彼の好みを探っていた。清楚系アイドルが好みと判明し、イメチェンをした。そしてまた彼に告白しに行こうと彼の家を訪問しようとしたところ、彼の家から見知らぬ女子と仲睦まじく、恋人繋ぎをしているところを目撃してしまい、気配を殺してすぐに家に帰宅してしまった。
目の前で自分以外の女子と付き合っている姿はなぜか振られた時よりも、衝撃が強く心を締め付けられた。そして彼の好みになることを諦め、その努力を受験勉強に充て何とか偏差値の高い大学に合格した。
大学生になってからは自分の為の時間に費やしていたが、どこかまだ彼への思いが小さい炎のように燻っていた。だから私はこれを最後の告白にして、振られたら完全に諦めることを決意した。
ある日講義が早く終わり、私は彼の元へ向かうべくまっすぐ帰宅する最中、繁華街のビルで爆発事故があり現場の近くにいたせいで爆風に巻き込まれ、背中に強い衝撃を受けてしまい、そのまま視界が真っ暗になってしまった。
そして現在に至る。心はどこかユウに傾いていた。でも悠ももしかしたら事故に巻き込まれた私を心配してくれてるかもしれないという期待の気持ちもあった。
「よかったら現実の方の君の状態を見せてあげよう。」
彼が杖を軽く振ると巨大な鏡が出てきた。鏡の中には現実の景色が映し出された。そこはどこかの病室のようだ。ベッドには昏睡状態の私の体とその隣にはずっと私を見つめる姿があった。それは幼馴染の悠だった。
彼は昏睡状態の私の体を見つめ、何か話しかけていた。残念ながら何を言っているのかは分からない。しかし彼の表情からわかることは謝罪にと予想できた。
「あっちの彼は・・・どうやら君を大切にしなかったことに後悔しているようだね。」
「・・・っ!」
私の心は大きく揺れた。私をとても大切にしてくれる勇者と後悔しながらも私が目が覚めること待っていてくれる幼馴染に揺れていた。
それを察した彼は指をパチンと鳴らした。すると私と魔術師は白い空間に包まれた。
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