アイ'ドール(上)

あさまる

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プリメロ村の『イロハ団』

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逃げ惑う山賊。
そして、それを追いかけ回す村人達。
立場が完全に逆転していた。

「……キクリさん、無事かしら?」

「ハヅキちゃん!来てくれたんだね!」

動乱の中。
スコップ片手にハヅキがキクリらに近寄る。
そして、キクリも彼女の元へと駆け寄る。

「えぇ、もちろんよ。」
ニコニコ。
先ほどと同じく笑顔なハヅキ。
しかし、前回とは違い、圧力の類はない。
優しく温かいものであった。

「ハヅキ!ありがとう!」

「ちょっとハヅキ!早く助けなさいよ!」

安堵するイオリ、ロココ。
そして、彼女らもキクリ同様に駆け寄る。

「……。」
無視。
まるで本当に聞こえていないように笑顔を絶やさずにハヅキはキクリの方を見ている。

「あ、あれ?ハヅキ……?何か言いなさいよ……。」

「お、おーい、ハヅキー?」

流石に無視されたわけではないだろう。
そのはずだ。
そう思い、二人はキクリの方へとスススと近寄る。
そうすることで強制的にハヅキの視界に入ろうとしたのだ。

「……ふんっ!」

「は、ハヅキちゃん……。」

「キクリさんは被害者だから仕方ないわ。……でもこの二人は私の忠告を無視しての結果だから自業自得よ。そこで反省してなさいな。」

「そ、そんな……二人とも、私を助けに来てくれて……その……。」
あわあわ。
上手く言葉を紡げない。
それでもキクリは必死にイオリ、ロココの弁護をしようとする。

「……はぁ、今回はキクリさんに免じて許すわ……。皆、少し離れて。」
ため息。
そして、ハヅキはキクリらが少し後退りしたのを確認。

目の前にスコップを振る。
すると、檻の一面がバラバラと崩れ落ちる。
これで三人は脱出可能となった。


よいしょ、よいしょ。
そんな様子で檻に触れないように脱出するキクリら。

「……ところで村はどうなったの?」
イオリが何の気なしにハヅキに聞いてみた。

「……。」
ニコニコ。
再び無言なハヅキ。

「……あ、あれ?」
また無視されたのだろうか。
ドキリとするイオリ。

「……あぁ、安心しなさいな、イオリ。無視してるわけじゃないわ。でも……知りたい?」

「……え?」

「本当に知りたい?」
ニコニコ。
依然笑顔なハヅキ。

「そ、それは……。」

そう言えば、とふとイオリはあることを思い出した。
笑顔というのは今でこそ喜びの感情を表す時に自然と用いられる表情である。
しかし、元来それは威嚇等の意味を為していたとう説。
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