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『ヘヴン』の『帝国』(上)
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「もちろん、あなた方が望む額を提示する予定です。」
「……ちょ、ちょっと待って、ちょっと待ってくれない?それって、私達がロス・パイスの国民であることを辞めろと仰ってるんですか?」
困惑しながらハヅキが言う。
「えぇ、その通りです。」
当たり前だろう。
そう言いたげなサクラ。
「そ、そんな……。」
「そんな要求、飲めるわけないでしょ!」
イオリとロココ。
彼女らが割って入る。
「……ふ、二人とも止めなさい!」
ハヅキが彼女らを止める。
二人が介入することで話がややこしくなり、揉めることを避けたかったのだ。
「……お二人はなぜ拒絶してるのです?この話は皆さんにとって、悪くない……いえ、とても素晴らしい提案だと思うんですが……。」
キョトンとするサクラ。
「……仲間が失礼しました……。しかし、それは本当に私達にとって素晴らしい提案でしょうか?」
「えぇ、だってそうでしょう?あなた方ロス・パイスの『アイドル』は皆、国民から抑圧され、監視されています。しかし、『ヘヴン』では違う。ある程度、秩序は守って頂く必要はありますが、今よりも遥かに自由であることは保証します。」
「で、でも……。」
言葉が詰まるハヅキ。
なるほど、これは確かに悪くない。
いや、彼女の言うように、素晴らしい提案なのかもしれない。
『アイドル』は人智を越えた力を持つ。
それが、自身らを守ってくれている内は良い。
しかし、もしもこちらにその力の刃が向かうことがあれば、と国民は戦々恐々としている。
サクラが言うことは事実であり、『イロハ団』が不満に思っていることでもあった。
「そんな……で、でも駄目!駄目です!私達『イロハ団』は、プリメロ村を守る『アイドル』なんです!私達がここから離れるわけにはいかないんです!」
イオリが真っ直ぐにサクラ達を見つめ、言う。
「……へぇ。」
サクラの瞳が鋭く光る。
「っ!?」
ビクッ。
イオリが身震いする。
そんな彼女の手をぎゅっとロココが握った。
そして、口を開く。
「私もイオリとは理由が違うけど、反対よ!あんたらのその態度が気に入らない!仲良くなれないような奴らの言うことなんて聞かないんだから!」
「……子供。」
ボソリ。
ロココの発言に対し、ツバキが呟いた。
「な、なんですって!?」
その小さな声は、ロココに届いていた。
真っ赤な顔で激怒するロココ。
「……ちょ、ちょっと待って、ちょっと待ってくれない?それって、私達がロス・パイスの国民であることを辞めろと仰ってるんですか?」
困惑しながらハヅキが言う。
「えぇ、その通りです。」
当たり前だろう。
そう言いたげなサクラ。
「そ、そんな……。」
「そんな要求、飲めるわけないでしょ!」
イオリとロココ。
彼女らが割って入る。
「……ふ、二人とも止めなさい!」
ハヅキが彼女らを止める。
二人が介入することで話がややこしくなり、揉めることを避けたかったのだ。
「……お二人はなぜ拒絶してるのです?この話は皆さんにとって、悪くない……いえ、とても素晴らしい提案だと思うんですが……。」
キョトンとするサクラ。
「……仲間が失礼しました……。しかし、それは本当に私達にとって素晴らしい提案でしょうか?」
「えぇ、だってそうでしょう?あなた方ロス・パイスの『アイドル』は皆、国民から抑圧され、監視されています。しかし、『ヘヴン』では違う。ある程度、秩序は守って頂く必要はありますが、今よりも遥かに自由であることは保証します。」
「で、でも……。」
言葉が詰まるハヅキ。
なるほど、これは確かに悪くない。
いや、彼女の言うように、素晴らしい提案なのかもしれない。
『アイドル』は人智を越えた力を持つ。
それが、自身らを守ってくれている内は良い。
しかし、もしもこちらにその力の刃が向かうことがあれば、と国民は戦々恐々としている。
サクラが言うことは事実であり、『イロハ団』が不満に思っていることでもあった。
「そんな……で、でも駄目!駄目です!私達『イロハ団』は、プリメロ村を守る『アイドル』なんです!私達がここから離れるわけにはいかないんです!」
イオリが真っ直ぐにサクラ達を見つめ、言う。
「……へぇ。」
サクラの瞳が鋭く光る。
「っ!?」
ビクッ。
イオリが身震いする。
そんな彼女の手をぎゅっとロココが握った。
そして、口を開く。
「私もイオリとは理由が違うけど、反対よ!あんたらのその態度が気に入らない!仲良くなれないような奴らの言うことなんて聞かないんだから!」
「……子供。」
ボソリ。
ロココの発言に対し、ツバキが呟いた。
「な、なんですって!?」
その小さな声は、ロココに届いていた。
真っ赤な顔で激怒するロココ。
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