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『ヘヴン』の『帝国』(上)
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「アリス様、アリス様!見て見てー!アリス様の似顔絵描いたのー!上手に出来たから上げるねー!」
そう言うと、一人の少女が自身が描いたであろう絵を彼女に見せた。
それは、お世辞にも上手いとは言えないものであった。
塗りムラも多数あり、対比も滅茶苦茶だ。
しかし、それを見るとアリスは口角を上げ、声を出した。
「……ふむ、拙いながらも私の特徴をしっかりと捉えているな。『帝国』である私の威厳だけでなく、美しさまでも見事に表現されている。素晴らしい作品だ。是非とも頂こう。」
ガシッ。
わしゃわしゃ。
アリスが彼女の頭を撫でる。
やや乱暴ながらも確かに愛情を感じられるものだった。
「やったー!」
彼女に褒められ目を細め、撫でられ気持ち良さそうにしている。
「自室に飾らせてもらうとしよう。」
少女から絵を受けとると、アリスは彼女の目を真っ直ぐ見て言うのであった。
そのようなやり取りの後も、彼女の周りには人々が溢れていた。
それは、彼女が国民から愛されている証拠であった。
アリスらのいる通りに面した店の一つ。
八百屋があった。
そこに並べられている品々の中には形が不揃いだったり不恰好なものもある。
しかし、どれも新鮮で瑞々しく、丹精込めて作られたものだと容易に分かるようなものばかりであった。
「おっと……!」
店主が品出ししていた時、手が滑って並べていた果物を一つ落としてしまった。
「あ、落ちましたよ。」
イオリがそれを拾い上げる。
「す、すみません!『アイドル』の方にこんなことをさせてしまって……!」
慌てる店主。
へこへこと何度も頭を下げる。
「い、いえいえ……。」
大袈裟すぎる謝罪に戸惑ってしまうイオリ。
「せっかく『ヘヴン』へ来て頂いたのに何ということを……。」
「で、ですから大丈夫です……。」
キクリに助け舟を出してほしい。
そう願っていたイオリが彼女へ視線を移す。
しかし、依然として彼女は『帝国』へ釘付けだ。
助けてほしいタイミング。
そんな時にすら今まで一緒にいた自分よりも、まだ会話すらしたことのない者に視線を奪われている。
イオリの胸中は穏やかではなかった。
「……どうした?」
イオリらに向けられた声。
それは、小さくもこの喧騒でもはっきり聞こえるものであった。
「あ、アリス様……。」
「……どうも。」
深々と頭を下げる店主。
そして、軽い会釈のイオリ。
そう言うと、一人の少女が自身が描いたであろう絵を彼女に見せた。
それは、お世辞にも上手いとは言えないものであった。
塗りムラも多数あり、対比も滅茶苦茶だ。
しかし、それを見るとアリスは口角を上げ、声を出した。
「……ふむ、拙いながらも私の特徴をしっかりと捉えているな。『帝国』である私の威厳だけでなく、美しさまでも見事に表現されている。素晴らしい作品だ。是非とも頂こう。」
ガシッ。
わしゃわしゃ。
アリスが彼女の頭を撫でる。
やや乱暴ながらも確かに愛情を感じられるものだった。
「やったー!」
彼女に褒められ目を細め、撫でられ気持ち良さそうにしている。
「自室に飾らせてもらうとしよう。」
少女から絵を受けとると、アリスは彼女の目を真っ直ぐ見て言うのであった。
そのようなやり取りの後も、彼女の周りには人々が溢れていた。
それは、彼女が国民から愛されている証拠であった。
アリスらのいる通りに面した店の一つ。
八百屋があった。
そこに並べられている品々の中には形が不揃いだったり不恰好なものもある。
しかし、どれも新鮮で瑞々しく、丹精込めて作られたものだと容易に分かるようなものばかりであった。
「おっと……!」
店主が品出ししていた時、手が滑って並べていた果物を一つ落としてしまった。
「あ、落ちましたよ。」
イオリがそれを拾い上げる。
「す、すみません!『アイドル』の方にこんなことをさせてしまって……!」
慌てる店主。
へこへこと何度も頭を下げる。
「い、いえいえ……。」
大袈裟すぎる謝罪に戸惑ってしまうイオリ。
「せっかく『ヘヴン』へ来て頂いたのに何ということを……。」
「で、ですから大丈夫です……。」
キクリに助け舟を出してほしい。
そう願っていたイオリが彼女へ視線を移す。
しかし、依然として彼女は『帝国』へ釘付けだ。
助けてほしいタイミング。
そんな時にすら今まで一緒にいた自分よりも、まだ会話すらしたことのない者に視線を奪われている。
イオリの胸中は穏やかではなかった。
「……どうした?」
イオリらに向けられた声。
それは、小さくもこの喧騒でもはっきり聞こえるものであった。
「あ、アリス様……。」
「……どうも。」
深々と頭を下げる店主。
そして、軽い会釈のイオリ。
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