はりぼてスケバン

あさまる

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「……お、おぉ……。」

「うん?」

「尾谷さん!いや、蝶華ちゃん!」

「うわっ!?」
その緩急。
そして、名前呼び。
それら全てに驚く蝶華。

「私は感動したよっ!」

「……え?」
予想外の言葉に目を白黒させる蝶華。

「そうだよね!?争い事は良くないよね!?」
目をキラキラと輝かせながら華子が言う。

ここ最近、野蛮な行動を飽きるほど見てきた。
しかし、本来そんなことは良くないのだ。
ようやく意思を共有出来る存在が出来た。
都合の良い場所しか聞こえていないかのように華子は喜んでいる。

「ま、まぁ、一時的なものだし、辰美さんの意向で……。」

「御託は良いよ!私は感動したんだからっ!」

「ご、御託!?ちょっと、聞いてよ!」
暴走しだした華子の圧に押されながらも蝶華が言う。
しかし、それは徒労に終わってしまう。

「一緒に目指そう!平和な高校生生活!」

「聞いてってー!」
そんな蝶華の叫びは華子に届くことはなかった。


閑話休題。


「……じゃあ、頼むね。」

「うん、任せてよ!」

「……。」
本当に彼女に任せて良いものなのだろうか?
ただただ不安でしかない蝶華。

「ちなみになんだけどさ。」

「……?」

「辰美さんって誰?」

「え……?」

「えっと……誰なのかなって……。」

「……っ!?」
華子の発言に、驚愕する蝶華。

信じられない。
あり得ない。

現在進行形で争っている場所の番長を知らないなどあり得るのだろうか?
白辰高校にて不良文化に染まってしまった蝶華。
そんな彼女にとっては理解出来ないものであったのだ。

「え、えっと……ごめん、その人って……もしかして、そんなに有名な人なの?」
言いづらい。
もしかしたら物凄く恥ずかしい質問なのかもしれない。
恐る恐る彼女へ聞く華子。

「……。」
呆れてものも言えない蝶華。
絶句。
それは、まさにこのことを言うのだろう。

「お、おーい……。」
唖然とする蝶華の目の前でヒラヒラと手を振る華子。

「あ、あぁ……辰美さんだよね?うん、うちの番長……要は頭ね。」

「へー、そうなんだね。」
黒龍高校でいうところの、かつての双葉のポジションの人物ということだろう。

「あの人、本当に凄いんだ……一年の頃から一人で行動して……白辰を統一したんだ……。」

「へー。」
華子の何気ない相槌。
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