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あの双葉を倒した者。
そんな強者が、この場にいる。
確かに存在しているのだ。
そうであれば、白辰高校との抗争にも勝利出来る。
浮かれた考えが、周囲に蔓延する。
しかし、その中で亥玄は違っていた。
「それが本当なら、どうして今まで名乗りを上げなかった?……武蔵野を倒したそいつなら、頭になっても誰も文句はないだろ?」
彼の言葉で周囲が再度、静かになる。
「……君もそう言える?本当に?文句、なかった?けしかけに行かなかったって言える?」
亥玄へ対して心司が言う。
この言葉は、きっと彼だけでなく、周囲へ聞かせる為のものだったのだろう。
彼だけでなく、辺りを見渡しながら口を動かしていた。
「……。」
「そう、つまり、彼女はそれが恐かったんだ。」
「……ちょっと待て、彼女って……。」
彼女。
双葉を倒したのは、女子生徒ということだ。
予想外な返答に、戸惑いを隠せない亥玄。
もちろん、周囲も困惑していた。
冷静でない今がチャンスだ。
心司が追撃を仕掛ける。
「……と、言うわけで……紹介しよう!彼女こそ、武蔵野双葉を倒し、次期黒龍高校の番長となる存在!鼬原華子!」
主役と言われていた。
しかし、まさかこれほど大々的に名前を呼ばれると思っていなかった華子は戸惑いキョロキョロと周囲を見てしまう。
皆の視線が、彼女へと集まる。
華子がどこを見ても、誰かしらと目が合う。
そんな状況になってしまっていたのだ。
「あ……あはは……ど、どうも……。成り行きにはなってしまうんですけど……どうやら私、次期番長……みたいです……。」
ようやく出てきた言葉は、そんなものであった。
一瞬の静寂。
その後、これまで以上に館内が騒々しくなった。
丸雄プロデュースにより、ずいぶんとあか抜けた。
その結果、クラスメイト達を中心に、少し有名になった。
しかし、それはあくまで清楚な美少女である生徒としてだ。
喧嘩が強い。
そんなものは小さな噂ですら立つわけがなかった。
皆が彼女へ口々に言葉をぶつける。
その大半が、疑いの含まれているものであった。
「生徒会長さんの言ってることと!姐さんが言ってること!本当のことっす!」
張り上げた声。
丸雄のものだ。
かつて、双葉一派の一人であった。
そんな彼が言っている。
説得力のあるものであった。
「……。」
何か思うところがあるのだろう。
彼の言葉に鋭い視線を送る亥玄。
そんな強者が、この場にいる。
確かに存在しているのだ。
そうであれば、白辰高校との抗争にも勝利出来る。
浮かれた考えが、周囲に蔓延する。
しかし、その中で亥玄は違っていた。
「それが本当なら、どうして今まで名乗りを上げなかった?……武蔵野を倒したそいつなら、頭になっても誰も文句はないだろ?」
彼の言葉で周囲が再度、静かになる。
「……君もそう言える?本当に?文句、なかった?けしかけに行かなかったって言える?」
亥玄へ対して心司が言う。
この言葉は、きっと彼だけでなく、周囲へ聞かせる為のものだったのだろう。
彼だけでなく、辺りを見渡しながら口を動かしていた。
「……。」
「そう、つまり、彼女はそれが恐かったんだ。」
「……ちょっと待て、彼女って……。」
彼女。
双葉を倒したのは、女子生徒ということだ。
予想外な返答に、戸惑いを隠せない亥玄。
もちろん、周囲も困惑していた。
冷静でない今がチャンスだ。
心司が追撃を仕掛ける。
「……と、言うわけで……紹介しよう!彼女こそ、武蔵野双葉を倒し、次期黒龍高校の番長となる存在!鼬原華子!」
主役と言われていた。
しかし、まさかこれほど大々的に名前を呼ばれると思っていなかった華子は戸惑いキョロキョロと周囲を見てしまう。
皆の視線が、彼女へと集まる。
華子がどこを見ても、誰かしらと目が合う。
そんな状況になってしまっていたのだ。
「あ……あはは……ど、どうも……。成り行きにはなってしまうんですけど……どうやら私、次期番長……みたいです……。」
ようやく出てきた言葉は、そんなものであった。
一瞬の静寂。
その後、これまで以上に館内が騒々しくなった。
丸雄プロデュースにより、ずいぶんとあか抜けた。
その結果、クラスメイト達を中心に、少し有名になった。
しかし、それはあくまで清楚な美少女である生徒としてだ。
喧嘩が強い。
そんなものは小さな噂ですら立つわけがなかった。
皆が彼女へ口々に言葉をぶつける。
その大半が、疑いの含まれているものであった。
「生徒会長さんの言ってることと!姐さんが言ってること!本当のことっす!」
張り上げた声。
丸雄のものだ。
かつて、双葉一派の一人であった。
そんな彼が言っている。
説得力のあるものであった。
「……。」
何か思うところがあるのだろう。
彼の言葉に鋭い視線を送る亥玄。
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