8 / 34
天枝美佳絵と愛熊佐多江の日常
4
しおりを挟む
「……。」
駄目だ。
勇気が出ない。
彼女の名前を呼んだは良いが、その後が続かない。
伝えるべき本題が彼女に伝わらない。
「佐多江?」
再度彼女の促す言葉を紡ぐ美佳絵。
「その……。」
駄目だ。
未だ勇気が出ない。
「何よ?」
「こ、これっ!」
美佳絵の前に差し出す。
それは、ビニール袋に入ったスポーツドリンクであった。
ペットボトルのそれは、表面に水滴が着いている。
今朝買ってきたものなのだろう。
「なに、これ?」
彼女の行動に、きょとんとする美佳絵。
「……あ、上げる……!」
緊張のせいか。
情けなく声が上擦ってしまう佐多江。
「……え?」
「ほら、熱中症にでもなったらその……め、迷惑だし!早く飲みなよ!」
「……。」
「な、なに?」
「ふふふ、ありがとう。」
「なっ!?べ、別にあんたの為じゃ……たまたま余っただけだし……。」
そんなことを言う佐多江は、自身でも分かるほどに顔が熱い。
それと同時に彼女自身、赤面しているのが分かるほどであった。
「はいはい、分かってるわよ。」
軽くいなすように美佳絵が微笑んだ。
「そ、それとさ……。」
「……?」
言いづらそうにしている佐多江。
美佳絵は、そんな彼女の次の言葉を無言で待っていた。
「さ、さっきは……その……。」
「佐多江?」
それほどに言い淀むほどのことなのだろうか?
心配になり、彼女を促す。
「いや……い、言い過ぎた……というか……。」
「……え?」
「ごめん……。あんたを困らせたかっただけ……。」
「……。」
「え、園芸部の子達も……その……あんたには感謝してると思うし……。」
しどろもどろになりながらも言葉を紡ぐ。
「……ふふふ、何だ、そんなことか。」
「なっ!?何で笑うんだよ!」
「別に、あんたって昔からあんなこと言ってたでしょ?慣れたわ。」
微笑みながら美佳絵が言う。
気にしていないわけではない。
慣れているわけではない。
もしかすると、彼女の方が正しいのかもしれない。
しかし、美佳絵にはもうどうでも良かった。
朝から利奈の声を聞けた。
彼女の耳に自身の声が届いた。
それだけで、文字通りに天にも昇るような気分だったのだ。
「そ、そっか……えへへ。」
「佐多江?」
「な、何でもない。」
昔からで慣れた。
そんな彼女の言葉に、つい口角が上がってしまった佐多江は、俯いてしまった。
駄目だ。
勇気が出ない。
彼女の名前を呼んだは良いが、その後が続かない。
伝えるべき本題が彼女に伝わらない。
「佐多江?」
再度彼女の促す言葉を紡ぐ美佳絵。
「その……。」
駄目だ。
未だ勇気が出ない。
「何よ?」
「こ、これっ!」
美佳絵の前に差し出す。
それは、ビニール袋に入ったスポーツドリンクであった。
ペットボトルのそれは、表面に水滴が着いている。
今朝買ってきたものなのだろう。
「なに、これ?」
彼女の行動に、きょとんとする美佳絵。
「……あ、上げる……!」
緊張のせいか。
情けなく声が上擦ってしまう佐多江。
「……え?」
「ほら、熱中症にでもなったらその……め、迷惑だし!早く飲みなよ!」
「……。」
「な、なに?」
「ふふふ、ありがとう。」
「なっ!?べ、別にあんたの為じゃ……たまたま余っただけだし……。」
そんなことを言う佐多江は、自身でも分かるほどに顔が熱い。
それと同時に彼女自身、赤面しているのが分かるほどであった。
「はいはい、分かってるわよ。」
軽くいなすように美佳絵が微笑んだ。
「そ、それとさ……。」
「……?」
言いづらそうにしている佐多江。
美佳絵は、そんな彼女の次の言葉を無言で待っていた。
「さ、さっきは……その……。」
「佐多江?」
それほどに言い淀むほどのことなのだろうか?
心配になり、彼女を促す。
「いや……い、言い過ぎた……というか……。」
「……え?」
「ごめん……。あんたを困らせたかっただけ……。」
「……。」
「え、園芸部の子達も……その……あんたには感謝してると思うし……。」
しどろもどろになりながらも言葉を紡ぐ。
「……ふふふ、何だ、そんなことか。」
「なっ!?何で笑うんだよ!」
「別に、あんたって昔からあんなこと言ってたでしょ?慣れたわ。」
微笑みながら美佳絵が言う。
気にしていないわけではない。
慣れているわけではない。
もしかすると、彼女の方が正しいのかもしれない。
しかし、美佳絵にはもうどうでも良かった。
朝から利奈の声を聞けた。
彼女の耳に自身の声が届いた。
それだけで、文字通りに天にも昇るような気分だったのだ。
「そ、そっか……えへへ。」
「佐多江?」
「な、何でもない。」
昔からで慣れた。
そんな彼女の言葉に、つい口角が上がってしまった佐多江は、俯いてしまった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる