蟻喜多利奈のありきたりな日常

あさまる

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海部照姉妹の日常

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「ここに来る途中、泥だらけの子達が走って行ったけど……。」

「それには訳があるんです!」

「良いよ、もう帰りな。」

「で、でも……。」

「良いから……私の自己満足だし……あんたを助けた訳じゃないから……。」

「……あずさちゃん、ありがとうね!」
あずさの意思を汲み取ったのだろう。
彼女は深々と頭を下げた後、走ってその場を去るのであった。

「だからあんたの為じゃ……ってもういないか……。」

「あずさ……あんた、またこんな揉め事起こして……。」
呆れ気味に言う蜜柑。

「はいはい、悪う御座いました、品行方正なお姉様。」
悪びれる様子もなく、あずさが返す。

反省の色はない。
それどころか、どこか彼女を挑発しているような態度だ。

「あんたね、そんな他人にばかり……。」

「はいはい、お説教は良いよ。また反省文書けば良いんでしょ?」
蜜柑の言葉を遮り、あずさが声を被せた。

「……もう良い。行きなさい。」

「はいはい……言われなくてもそうするよ……。」
呟くようにそう言うと、あずさは本当にその場を立ち去ってしまうのであった。


そろそろ自分も戻ってしまおう。
そう思い、生徒会室へ向かおうとした蜜柑。

「あ、あのっ!」
そんな彼女へ届いた声。
先ほどあずさに庇われていた女子生徒だ。

彼女はもう立ち去ったはずだ。
それなのに、まだこの場にいた。

「……どうしたの?」

「あずさちゃん、私を助けてくれたんです!」

「……。」
知ってる。
そんなこと、言われなくても分かっている。

「生徒会長が誤解したままあずさちゃんを怒ってしまうのは嫌だったので……。」

違う。
そんなことで怒っていたわけではない。

「そう。ありがとう、教えてくれて。」

「で、では失礼します……。」
そう言い、彼女が去ろうとする。

「あ、ちょっと良い?」
それを止めるのは、蜜柑。

「……?」

「今回は、たまたまあの子が助けてくれたようだけど……。」

「……。」

「次からは他人の助けを期待しない方が良いわよ?」

「は、はい……。」

「なら良いわ。じゃあね。」

「はい、失礼します……。」


蜜柑は知っていた。
一度でも助けてしまえば、それがやがて当たり前になってしまう。
そして、今度も助けてもらえると勝手に期待し、断れば勝手に失望して憎しみが生まれる。
だから、過度に干渉してはいけないのだ。
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