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藍堂流奈の日常
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「……次の就職先……考えないとなぁ……でもまぁ、流奈のコンサートも成功したし、とりあえず今は一人で打ち上げでもするかなー……。」
会場から出たマネージャーは一人言を呟き繁華街へと消えていった。
一人歩いていた流奈。
どこかでタクシーに乗ろう。
そう思っていた彼女の元へ幸運なことに、タクシーが通りかかった。
「へい、タクシー!」
サムズアップで巡回していたそのタクシーを止める流奈。
彼女のジェスチャーに気づいた運転手。
彼女の目の前で停車した。
「……平盆市駅までお願いします。」
乗り込んだ彼女が開口一番に言う。
「……平盆市駅ね……うん?あんたまさかルナルーか?」
ルナルー。
ファンの間で呼ばれている彼女のニックネームだ。
それを知っているということは、少なからず彼女についての認知があるということになる。
ある程度、変装をしていた。
それなりに自信があった。
しかし、瞬時に気づかれてしまった。
「あ、あははー……バレちゃいましたかー。じゃあ、平盆市駅までー。」
多少強引だろうか。
言葉を発した彼女もそんなことを思ってしまう言動だ。
「いやー、うちの娘がルナルーのファンでねぇ、後でサイン貰えませんかね?」
「い、いやー……事務所に確認しないとですねー……。」
多少の強引さは気にしていないようだ。
そろそろ面倒になってきた。
苛立つ流奈。
「まぁまぁ、そう言わずにさぁ、黙っててやるからさ?」
「……。」
「……ルナルー?」
「この星の人は……もっと心が綺麗だと思っていたが……どうやら認識が間違っていたようだ……。」
ボソリ。
今までの可愛らしい彼女の態度からは想像出来ないほどに冷たい声と態度。
「ど、どうした、ルナルー?」
ぶつぶつ……。
運転手に聞き取れない声で呟く流奈。
聞き取れない。
それは、小さな声だっただけというわけではない。
この国はおろか、この星の言葉ではい。
そんなものを彼女が呟いていたのだ。
その言葉は、認識されなかった。
しかし、無意識に聞こえてしまった。
流奈にとってはそれだけで十分であった。
それだけで、彼女の目的は達成されるのだ。
「ごちゃごちゃうるさい。早く平盆市駅へ向かえ。」
「……はい。」
まるで覇気がない。
その後、車内には会話はなかった。
運転手は黙々と運転をし、流奈は自身の携帯電話を見ている。
会場から出たマネージャーは一人言を呟き繁華街へと消えていった。
一人歩いていた流奈。
どこかでタクシーに乗ろう。
そう思っていた彼女の元へ幸運なことに、タクシーが通りかかった。
「へい、タクシー!」
サムズアップで巡回していたそのタクシーを止める流奈。
彼女のジェスチャーに気づいた運転手。
彼女の目の前で停車した。
「……平盆市駅までお願いします。」
乗り込んだ彼女が開口一番に言う。
「……平盆市駅ね……うん?あんたまさかルナルーか?」
ルナルー。
ファンの間で呼ばれている彼女のニックネームだ。
それを知っているということは、少なからず彼女についての認知があるということになる。
ある程度、変装をしていた。
それなりに自信があった。
しかし、瞬時に気づかれてしまった。
「あ、あははー……バレちゃいましたかー。じゃあ、平盆市駅までー。」
多少強引だろうか。
言葉を発した彼女もそんなことを思ってしまう言動だ。
「いやー、うちの娘がルナルーのファンでねぇ、後でサイン貰えませんかね?」
「い、いやー……事務所に確認しないとですねー……。」
多少の強引さは気にしていないようだ。
そろそろ面倒になってきた。
苛立つ流奈。
「まぁまぁ、そう言わずにさぁ、黙っててやるからさ?」
「……。」
「……ルナルー?」
「この星の人は……もっと心が綺麗だと思っていたが……どうやら認識が間違っていたようだ……。」
ボソリ。
今までの可愛らしい彼女の態度からは想像出来ないほどに冷たい声と態度。
「ど、どうした、ルナルー?」
ぶつぶつ……。
運転手に聞き取れない声で呟く流奈。
聞き取れない。
それは、小さな声だっただけというわけではない。
この国はおろか、この星の言葉ではい。
そんなものを彼女が呟いていたのだ。
その言葉は、認識されなかった。
しかし、無意識に聞こえてしまった。
流奈にとってはそれだけで十分であった。
それだけで、彼女の目的は達成されるのだ。
「ごちゃごちゃうるさい。早く平盆市駅へ向かえ。」
「……はい。」
まるで覇気がない。
その後、車内には会話はなかった。
運転手は黙々と運転をし、流奈は自身の携帯電話を見ている。
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