甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

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「翔子さん!大丈夫ですか!?遅刻して、どうしたの!?何かあったんですか!?」

無用な騒ぎを起こしたくない。
そう思い、教室にこっそり入る翔子。
今は、二時限目が終わった頃だ。
まさか、これほど早く気づかれてしまうとは、翔子も思っていなかった。

彼女に一番先に気づいたのは、真優であった。
焦っていたせいだろう。
ですます口調で話さないと決めたはずなのに、それを使ってしまっている。

彼女の声を皮切りに、クラスメイト達が彼女を取り囲む。
その中に、美成実の姿はなかった。
彼女は、渦中の翔子を、自身の席からジッと見つめるだけであったのだ。

「心配かけてごめんね……その……寝坊しちゃって……。」
あはは。
苦笑いしながらそう返す翔子。

「そっか……。何もなかったのだったら良かったよ。」
そう言うと、そのまま引っ込んでしまう真優。

彼女なら、翔子が嘘をついていることが分かったはずだ。
そして、それが分かるのなら、当然言及するはずだ。
翔子自身、そう思っていたし、心の片隅ではそれを期待していた。

彼女なら、気づいてくれる。
構ってくれる。
そのはずだ。
そう思っていたのだ。

彼女自身、それに気づけていなかった。
真優に依存してしまっている。

以前、美成実に依存していた時と、何ら変わりない。
真優が彼女の支えとなっていた。

「しょ、翔子……?」

「……っ!?」
ドクン!
心臓が跳ね上がる。
その声に、一気に緊張してしまう翔子。

転入してから一度も彼女と話すことのなかった美成実。
彼女が、翔子へ話しかけたのだ。

「きょ、今日……どうしたの?その……遅刻して来たけど……。」

「あっ、えっと……その……。」
駄目だ。
言葉が出ない。

恐い。
思い出されるのは、あの時の美成実の姿。
信じていた優しい彼女ではない、狂暴な一面。
どうしても、それを忘れることが出来ないのだ。

「私で良かったら……。」

これは駄目だ。
止めないといけない。
二人のやり取りを見ていた真優。
席へ戻っていたが、すぐに引き返して間に入ろうとする。

「あれ?弓浜さん、翔子ちゃんと知り合いだったの?」

「えー?そうなの!?知らなかった!」

二人のやり取りを聞いていたのは、真優だけではなかった。
クラスメイト達が、彼女らの周りに集まる。

「し、知り合いというか……その……。」
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