甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

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具体的にそれが何なのかは彼女にも分からない。
しかし、それを翔子が聞いてしまったら良くないと思えた。
すぐに止めなくてはならない。

「あ、あのっ……!」

「私、今よりももっと翔子と仲良くなりたいのっ!」

駄目だ。
間に合わなかった。
真優の声など意図も容易くかき消してしまう美成実の言葉。
それが発せられてしまった。

「今よりももっと……?」
いまいち理解出来ていない様子の翔子。
首を傾げる。

「そう……いっぱいいる中の一人じゃなくて……たった一人になりたい……。」

「……え?」

「私、かすみの特別になりたいの!」

「……。」
心臓がうるさい。
吐き気がする。
美成実のかすみに対する気持ちの吐露。
それを聞いて、不快感しかない真優。
ただ彼女を睨むしか出来なかった。

なぜここで言った?
なぜ二人きりの時に言わなかった?
なぜそんなことを言った?
なぜこれ以上翔子を苦しめようとする?

不快感。
ただただ不愉快。

真優には、分かったことがあった。
それは、自身が美成実のことを嫌いだということだ。

そして、もう一つある。
そんな彼女に、翔子を奪われたくない。
特別な存在になどさせない。
むしろ、自分がなってやる。
そういう気持ちがあるということだ。

あぁ、そうか。
分かった。
理解した。
なぜこんな気持ちになるのか。


真優の視線に気づいた美成実。
ギロリ。
彼女もまた、鋭い視線をぶつけた。

故意だ。
これは宣戦布告だ。
そのことを理解した真優。

先手を取られてしまった。
しかし、ここで引き下がるわけにはいかない。

「しょ、翔子さん!」
真優も声を上げる。

「わっ、ま、真優ちゃんも?どうしたの?」

「つ、つまらない話だったらすみません……。」

「うん?」

「私、高校に入学するまでは、自分の見た目で判断されてそれが不快で不快で堪らなかったんです。」

「……。」
真優を見つめる翔子。
そんな彼女の表情は真剣なものであった。

彼女が、そのただならぬ雰囲気を察したということもある。
しかし、それよりももっと、大きな要因があった。

自身と同じだったのだ。
見た目とのギャップに苦しんで来たのだろう。
そう思ったからだ。

「自分のこの幼い容姿……それが本当に嫌だった……。もちろん、今もそう。でも、でもね?今はそれだけじゃないんだ。」

「……。」
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