はりぼてスケバン弐

あさまる

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丸雄達の用事がどのようなものか分からない。
しかし、蝶華は華子の護衛として今日隣を歩いて良かったと考えていた。
もし、彼女が一人だったらと考えるとゾッとしてしまう。

番長である彼女が襲撃されたとする。
そうなれば、当然黒龍高校全体の問題となるだろう。

停戦協定を結んでいる白辰高校にも影響が出るはずだ。
そんなことで辰美を煩われるわけにはいかない。

今日一日、必ず彼女を安全に自宅まで送り届ける。
自身の命に代えてでも、だ。

……ふんすっ!
決意は固い。
鼻息荒く、自身を鼓舞する蝶華であった。


「ほら、私達の番だよっ!蝶華ちゃん、注文、注文!」

「……え?あ、は、はい……じゃない、うん。」

結論。
この日も、華子を襲撃するということはなかった。


同時刻。
とある寂れた喫茶店。
そこに、丸雄と亥玄はいた。

「……明らかに、協定への反対派だろうな。」

「やっぱ……そうっすよねー……。」

二人の会話の中心。
それは、もちろん華子の周りをうろつく者達のことについてであった。

「今は大人しいが、必ず何か仕出かすだろうな。」

「まぁ、妥当っすね……けど、どうするんっすか?」

「……。」

「……あっ、何もない感じっすか。」

「っ!?な、ならお前は何かあるのかっ!?」

「いや……無いっすけど……。」

「……。」

「……。」


沈黙。
無音。
それを打ち破ったのは二人の内のどちらかではなかった。

「なら、待ち伏せすれば良いね。」

「……っ!?」

「……わっ!?びっくりした……っす。生徒会長さん?」

そこに割って入ったのは、心司であった。
全く気配を感じなかった。
そのせいで、二人はこれほどの接近を許してしまったのだ。

「もう一度言うけどー、奴らが来そうな所、待ち伏せすれば良いんじゃないかなー?」
再度の言葉。
それは、先ほどよりも具体的なものであった。

「待ち伏せ……。しかし、そんなこと出来るのか?」
亥玄が問う。

「簡単だよー。要は鼬原ちゃんの行くであろう場所に居れば良いんだよー。」

「……。」
なるほど。
確かにその通りだ。
心司の言葉に納得し、言葉が出ない亥玄であった。

「なら、姐さんに言って……。」

「それは駄目ー。」

「え?な、何でっすか?」

「あの子、考え過ぎちゃう節あるからねー。それで態度に出ちゃうと向こうにバレちゃうから。」
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