87 / 118
7
6
しおりを挟む
「秋姫がいて良かったね。」
チェアー型の椅子に腰掛け、華子が口を開く。
「……まぁ、俺はこんな小洒落た店に来たことはなかったからな。お前はこういう場所なれてるもんだと思ってたから……意外だな。」
ふふふ。
華子の見たことのない微笑みを見せる亥玄。
何だかんだ言って、彼も楽しんでいるようだった。
「そうかな?私……秋姫の後ろに着いて行ってばっかりだったし、こういうところは苦手だったから……。」
「そうか。」
「……何その返事ー。嘘でももっと興味あるフリしてよー。ほらほら、黒校の頭の自分語りだよー?」
ぶーぶー。
不貞腐れた様子で華子が言う。
「……別に興味がないわけではないが……。」
「えー?本当ー?」
「本当だ。」
「本当に本当?」
ニヤニヤ。
ここが攻め時。
そう思った華子が彼へと詰め寄る。
「……う、うるさい。」
「ふふふ、番長は寛大だから見逃して上げるよ。」
「はいはい、お二人さん、お待たせしましたよー。」
三人分の飲み物を持ち、秋姫がやって来た。
それぞれ異なるものであった。
「ありがとう、いくらだった?」
「こちらもいくらか教えてくれ。」
「いや、大丈夫。私の奢りってことで。」
各々の前に飲み物を差し出しながら秋姫が言う。
「いや、そういうわけにはいかないだろ。」
「そうだよ、秋姫。これで足りる?」
二人が財布から千円札を取り出す。
しかし、秋姫は依然として拒否している。
「これは……その……今までの贖罪というか、その……。」
ボソボソ。
呟くように話す秋姫。
「……しょ、食材?もう調理されてない?」
「いや、待て、鼬原。飲み物は調理と言うのか?加工ではないのか?」
「……。」
駄目だ。
この二人には、通じないようだ。
苦笑いするしか出来ない秋姫であった。
自身の嫉妬心から取り返しのつかない過ちを犯してしまった。
もちろん、こんなもので償えるとは思ってはいない。
しかし、少しでも華子の為に何かをしたいと思った。
全てを打ち明けた。
自身の黒く醜い部分も曝け出した。
「……。」
「……。」
何かを思案している華子。
そして、何を考えているか分からない亥玄。
恐い。
逃げ出したい。
今回、華子を遊びに誘った目的はこれだ。
懺悔だ。
しかし、やはりいざこうして実際に行動すると、恐くて堪らない。
「えっと、秋姫?」
華子が口を開いた。
チェアー型の椅子に腰掛け、華子が口を開く。
「……まぁ、俺はこんな小洒落た店に来たことはなかったからな。お前はこういう場所なれてるもんだと思ってたから……意外だな。」
ふふふ。
華子の見たことのない微笑みを見せる亥玄。
何だかんだ言って、彼も楽しんでいるようだった。
「そうかな?私……秋姫の後ろに着いて行ってばっかりだったし、こういうところは苦手だったから……。」
「そうか。」
「……何その返事ー。嘘でももっと興味あるフリしてよー。ほらほら、黒校の頭の自分語りだよー?」
ぶーぶー。
不貞腐れた様子で華子が言う。
「……別に興味がないわけではないが……。」
「えー?本当ー?」
「本当だ。」
「本当に本当?」
ニヤニヤ。
ここが攻め時。
そう思った華子が彼へと詰め寄る。
「……う、うるさい。」
「ふふふ、番長は寛大だから見逃して上げるよ。」
「はいはい、お二人さん、お待たせしましたよー。」
三人分の飲み物を持ち、秋姫がやって来た。
それぞれ異なるものであった。
「ありがとう、いくらだった?」
「こちらもいくらか教えてくれ。」
「いや、大丈夫。私の奢りってことで。」
各々の前に飲み物を差し出しながら秋姫が言う。
「いや、そういうわけにはいかないだろ。」
「そうだよ、秋姫。これで足りる?」
二人が財布から千円札を取り出す。
しかし、秋姫は依然として拒否している。
「これは……その……今までの贖罪というか、その……。」
ボソボソ。
呟くように話す秋姫。
「……しょ、食材?もう調理されてない?」
「いや、待て、鼬原。飲み物は調理と言うのか?加工ではないのか?」
「……。」
駄目だ。
この二人には、通じないようだ。
苦笑いするしか出来ない秋姫であった。
自身の嫉妬心から取り返しのつかない過ちを犯してしまった。
もちろん、こんなもので償えるとは思ってはいない。
しかし、少しでも華子の為に何かをしたいと思った。
全てを打ち明けた。
自身の黒く醜い部分も曝け出した。
「……。」
「……。」
何かを思案している華子。
そして、何を考えているか分からない亥玄。
恐い。
逃げ出したい。
今回、華子を遊びに誘った目的はこれだ。
懺悔だ。
しかし、やはりいざこうして実際に行動すると、恐くて堪らない。
「えっと、秋姫?」
華子が口を開いた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる