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もしも時を戻せるなら、彼女とまた隣を歩いていた頃に戻りたい。
そして、また隣を歩きたい。
また、彼女の笑みを見たい。
不可能なのは分かっている。
しかし、そんな考えが出てしまうほど、今のゆかりには正常な考えが出来なかった。
場所は移り、かすみの家。
そして、その中の、彼女の部屋。
かすみと美咲。
二人が向かい合って座っていた。
彼女らの浮かべている表情は、穏やかであった。
それまるで、長い時間会えなかったことを埋めるように話をしていたような、ゆっくりとした時間が流れていた。
現実逃避。
エルとゆかり。
二人のことを忘れたい。
そんな思いもあったかもしれない。
「まさかみさちゃんが女優やってるなんて驚きだよー。」
「そうかな?」
えへへ。
嬉しいのか、微笑みながら返す美咲。
「うん、だって、人見知りでいつも私の後ろに隠れてたじゃん。」
懐かしい。
彼女と遊んでいた日々を思い出す。
彼女にの印象は大きく変わっていた。
人見知りであったはずの彼女が、今や誰もが憧れる女優だ。
手の届かない存在だと思っていた。
しかし、話をして分かった。
あの時から変わっていない。
大丈夫。
これは偽物ではない。
本当の記憶だ。
「今は違うんだよ?多分、かすみが緊張しちゃうような場所でも私、堂々としていられるよ?」
ふふふ。
妖しく笑う美咲。
彼女のそんな姿は、エルのように妖艶で、ゆかりのように無邪気な雰囲気を纏っていた。
「そりゃあそうだよー。でも私だってそんなに大規模じゃなければしっかりしていられるよ?」
ふふん。
得意気に言うかすみ。
「本当に?」
「え?」
「本当にしっかりしていられるの?」
いつの間にか分からない。
先ほどまで正面にいた美咲。
その彼女が真横にいた。
「えっ、あの、み、みさちゃん……?」
「私の目、よく見て?」
「え?」
「良いから。」
優しく落ち着いた声。
それがかすみの耳を通り、脳に直接響くような感覚。
それがやがて、ふわふわとした不思議な感覚に変化していく。
「う、うん……。」
トロン。
ゆかりの目が蕩けている。
彼女の声も、すっかり腑抜けてしまっている。
今なら彼女のどのような命令も聞いてしまうかもしれない。
それほど、彼女の胸中は言い様のない心地の良いもので満たされていた。
ゆっくりと顔が近づく。
このままキスされてしまうのだろうか?
それでも良い。
ゆっくりと目を瞑るかすみ。
そして、また隣を歩きたい。
また、彼女の笑みを見たい。
不可能なのは分かっている。
しかし、そんな考えが出てしまうほど、今のゆかりには正常な考えが出来なかった。
場所は移り、かすみの家。
そして、その中の、彼女の部屋。
かすみと美咲。
二人が向かい合って座っていた。
彼女らの浮かべている表情は、穏やかであった。
それまるで、長い時間会えなかったことを埋めるように話をしていたような、ゆっくりとした時間が流れていた。
現実逃避。
エルとゆかり。
二人のことを忘れたい。
そんな思いもあったかもしれない。
「まさかみさちゃんが女優やってるなんて驚きだよー。」
「そうかな?」
えへへ。
嬉しいのか、微笑みながら返す美咲。
「うん、だって、人見知りでいつも私の後ろに隠れてたじゃん。」
懐かしい。
彼女と遊んでいた日々を思い出す。
彼女にの印象は大きく変わっていた。
人見知りであったはずの彼女が、今や誰もが憧れる女優だ。
手の届かない存在だと思っていた。
しかし、話をして分かった。
あの時から変わっていない。
大丈夫。
これは偽物ではない。
本当の記憶だ。
「今は違うんだよ?多分、かすみが緊張しちゃうような場所でも私、堂々としていられるよ?」
ふふふ。
妖しく笑う美咲。
彼女のそんな姿は、エルのように妖艶で、ゆかりのように無邪気な雰囲気を纏っていた。
「そりゃあそうだよー。でも私だってそんなに大規模じゃなければしっかりしていられるよ?」
ふふん。
得意気に言うかすみ。
「本当に?」
「え?」
「本当にしっかりしていられるの?」
いつの間にか分からない。
先ほどまで正面にいた美咲。
その彼女が真横にいた。
「えっ、あの、み、みさちゃん……?」
「私の目、よく見て?」
「え?」
「良いから。」
優しく落ち着いた声。
それがかすみの耳を通り、脳に直接響くような感覚。
それがやがて、ふわふわとした不思議な感覚に変化していく。
「う、うん……。」
トロン。
ゆかりの目が蕩けている。
彼女の声も、すっかり腑抜けてしまっている。
今なら彼女のどのような命令も聞いてしまうかもしれない。
それほど、彼女の胸中は言い様のない心地の良いもので満たされていた。
ゆっくりと顔が近づく。
このままキスされてしまうのだろうか?
それでも良い。
ゆっくりと目を瞑るかすみ。
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