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いつも通りの朝。
そのはずの朝。
ゆっくりと目を開ける。
不快。
不愉快。
辛い。
憎い。
我が物顔でこの世を照らす太陽。
ヒリヒリと焼けるような痛み。
カーテンで遮られている。
それなのにその光が部屋の中にまで侵入している。
思わず舌打ちしてしまう。
これほど気持ちに変化が出るとは思わなかった。
しかし、今さらどうこう言っても仕方がない。
足音。
二人分のものだ。
誰のものだか見ずとも分かる。
以前よりも聴力も向上しているようだ。
彼女らの呼吸音、心臓の音すら分かってしまう。
「……おはよう、かすみちゃん。」
「おはようございます!かすみさん!」
「おはよう、ゆかりちゃん、エルちゃん。……朝ってこんなに嫌なものだったんだね。」
苦笑い。
その目は彼女らと同じように禍々しい光を放っていた。
玄関の先。
一人待つ人物がいる。
美咲だろう。
窓から確認。
そこにいたのは私服の彼女であった。
どうやら今日は校内にはいかないらしい。
食欲はない。
朝食を食べる必要はないだろう。
むしろ、食べればきっと、体調が悪くなってしまう。
登校準備をしているかすみに母が話しかけている。
しかし、その内容が全く入ってこない。
無関心。
昨日まで、家族仲は決して悪いものではなかったはずだ。
それなのに、今のかすみにとってはどうでも良い存在となってしまっていた。
玄関の扉を開く。
肌を刺すような痛みが増す。
「かすみ、おはよう。」
微笑みながらそう言うのは美咲であった。
「おはようみさちゃん。」
「気分はどう?」
「最悪。」
「ふふふ、そっか。でも大丈夫。すぐに慣れるから。」
「どれくらい?」
「うーん、だいたい百年くらい?」
「うげぇ……。」
心底辟易した表情を浮かべるかすみ。
「あっという間だよ……あっという間。」
「ふふふ、そうかも。」
美咲の言葉に今度は微笑むかすみ。
「……ねぇ。」
ぐいっ。
かすみの制服の袖を引っ張るゆかり。
その顔は不機嫌に頬を膨らましていた。
「ど、どうしたの、ゆかりちゃん?」
「……二人だけで話さないで。」
「ゆかりさんの言う通りです!私達がいるのを忘れてませんか!?」
愚問だ。
「忘れてないよ。……忘れるわけがない……二人は……違う、みさちゃんも含めて皆はかけがえのない存在だもん。」
「……そっか。」
「なら良いですけど……。」
そのはずの朝。
ゆっくりと目を開ける。
不快。
不愉快。
辛い。
憎い。
我が物顔でこの世を照らす太陽。
ヒリヒリと焼けるような痛み。
カーテンで遮られている。
それなのにその光が部屋の中にまで侵入している。
思わず舌打ちしてしまう。
これほど気持ちに変化が出るとは思わなかった。
しかし、今さらどうこう言っても仕方がない。
足音。
二人分のものだ。
誰のものだか見ずとも分かる。
以前よりも聴力も向上しているようだ。
彼女らの呼吸音、心臓の音すら分かってしまう。
「……おはよう、かすみちゃん。」
「おはようございます!かすみさん!」
「おはよう、ゆかりちゃん、エルちゃん。……朝ってこんなに嫌なものだったんだね。」
苦笑い。
その目は彼女らと同じように禍々しい光を放っていた。
玄関の先。
一人待つ人物がいる。
美咲だろう。
窓から確認。
そこにいたのは私服の彼女であった。
どうやら今日は校内にはいかないらしい。
食欲はない。
朝食を食べる必要はないだろう。
むしろ、食べればきっと、体調が悪くなってしまう。
登校準備をしているかすみに母が話しかけている。
しかし、その内容が全く入ってこない。
無関心。
昨日まで、家族仲は決して悪いものではなかったはずだ。
それなのに、今のかすみにとってはどうでも良い存在となってしまっていた。
玄関の扉を開く。
肌を刺すような痛みが増す。
「かすみ、おはよう。」
微笑みながらそう言うのは美咲であった。
「おはようみさちゃん。」
「気分はどう?」
「最悪。」
「ふふふ、そっか。でも大丈夫。すぐに慣れるから。」
「どれくらい?」
「うーん、だいたい百年くらい?」
「うげぇ……。」
心底辟易した表情を浮かべるかすみ。
「あっという間だよ……あっという間。」
「ふふふ、そうかも。」
美咲の言葉に今度は微笑むかすみ。
「……ねぇ。」
ぐいっ。
かすみの制服の袖を引っ張るゆかり。
その顔は不機嫌に頬を膨らましていた。
「ど、どうしたの、ゆかりちゃん?」
「……二人だけで話さないで。」
「ゆかりさんの言う通りです!私達がいるのを忘れてませんか!?」
愚問だ。
「忘れてないよ。……忘れるわけがない……二人は……違う、みさちゃんも含めて皆はかけがえのない存在だもん。」
「……そっか。」
「なら良いですけど……。」
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