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蟻喜多利奈の、自称ありきたりな夏休み
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何が起きたのか?
キョロキョロもとい、ガシャンガシャンと乱暴で心配になるくらい激しい動き。
首をぐるりと回し、辺りを見渡す路歩子。
ここは、愛すべき利奈の部屋。
いずれ自分の居場所にもなるであろう場所だ。
しかし、肝心の彼女はいない。
「……良かったー。目覚ましたんだね。」
ニコニコ。
扉を開けて入ってきたのは利奈だった。
彼女の方を見て、嬉しさと怒りが同時にやって来る。
そして、すぐに疑問をぶつけた。
「……なぜ私と利奈の家にあんたがいるの?」
一部虚偽がある。
ここは利奈の家であって、路歩子の家などではない。
しかし、曇りない声で彼女は言っている。
「きゃー、先輩!庵銅さんが恐いですー。」
わざとらしく甘く媚びた声。
それで利奈の背後に回り込む。
今をときめくトップアイドルにして、彼女らのクラスメイト。
藍堂流奈だ。
夏休み。
登校はしないものの、彼女にとっては仕事に力を入れられる重要な期間だ。
忙しい合間を縫って、ここへ訪問したのだった。
だから、これまで以上に利奈へ会いにこれない。
今日もたまたま仕事が早く終わったから来れたのだ。
明日からはどうなるか分からない。
「もう、二人とも仲良くしてね?」
ふふふ。
両者のいがみ合いなど慣れている利奈が微笑みながら言う。
「……分かった。」
「……はーい。」
口ではそう言っている。
しかし、声色とその表情、総評して態度が仲良くするということを拒んでいるのは明白であった。
「分かれば良いよ。」
ふふふ。
笑ってみせる利奈。
彼女らは、いがみ合いながらもこうして同じ場所に留まっている。
つまり、きっと心の底から憎み合っているわけではないのだろう。
自己完結する利奈であった。
この時、彼女は二つのミスを犯していた。
一つは彼女らに対するそのような思い込みだ。
そして、もう一つ。
それがより重大なものであった。
明日から数日間、留守にする。
そして、それを二人に話していなかったのだ。
決してわざとというわけではない。
単純に、この休み期間で怠けてしまい、忘れてしまっていたのだ。
ただ、それだけだったのだ。
ただのうっかりだ。
利奈のことを知り尽くしている路歩子。
そんな彼女が気づけなかったのも、そんな理由からだ。
毎年恒例蕩けた彼女がそこにあった。
見慣れた姿があった為、今年も例年通り家に引きこ籠るものだと思っていたのだ。
キョロキョロもとい、ガシャンガシャンと乱暴で心配になるくらい激しい動き。
首をぐるりと回し、辺りを見渡す路歩子。
ここは、愛すべき利奈の部屋。
いずれ自分の居場所にもなるであろう場所だ。
しかし、肝心の彼女はいない。
「……良かったー。目覚ましたんだね。」
ニコニコ。
扉を開けて入ってきたのは利奈だった。
彼女の方を見て、嬉しさと怒りが同時にやって来る。
そして、すぐに疑問をぶつけた。
「……なぜ私と利奈の家にあんたがいるの?」
一部虚偽がある。
ここは利奈の家であって、路歩子の家などではない。
しかし、曇りない声で彼女は言っている。
「きゃー、先輩!庵銅さんが恐いですー。」
わざとらしく甘く媚びた声。
それで利奈の背後に回り込む。
今をときめくトップアイドルにして、彼女らのクラスメイト。
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夏休み。
登校はしないものの、彼女にとっては仕事に力を入れられる重要な期間だ。
忙しい合間を縫って、ここへ訪問したのだった。
だから、これまで以上に利奈へ会いにこれない。
今日もたまたま仕事が早く終わったから来れたのだ。
明日からはどうなるか分からない。
「もう、二人とも仲良くしてね?」
ふふふ。
両者のいがみ合いなど慣れている利奈が微笑みながら言う。
「……分かった。」
「……はーい。」
口ではそう言っている。
しかし、声色とその表情、総評して態度が仲良くするということを拒んでいるのは明白であった。
「分かれば良いよ。」
ふふふ。
笑ってみせる利奈。
彼女らは、いがみ合いながらもこうして同じ場所に留まっている。
つまり、きっと心の底から憎み合っているわけではないのだろう。
自己完結する利奈であった。
この時、彼女は二つのミスを犯していた。
一つは彼女らに対するそのような思い込みだ。
そして、もう一つ。
それがより重大なものであった。
明日から数日間、留守にする。
そして、それを二人に話していなかったのだ。
決してわざとというわけではない。
単純に、この休み期間で怠けてしまい、忘れてしまっていたのだ。
ただ、それだけだったのだ。
ただのうっかりだ。
利奈のことを知り尽くしている路歩子。
そんな彼女が気づけなかったのも、そんな理由からだ。
毎年恒例蕩けた彼女がそこにあった。
見慣れた姿があった為、今年も例年通り家に引きこ籠るものだと思っていたのだ。
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