放蕩事情譚

ゴんざェもん

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間奏1

バス

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バスの揺れ方で人生の意味が分かってたまるもんか。

やり直して、それでもやり直す。最初は自分が嫌になって、所謂、自己嫌悪って奴をグッと抑え込む自分を不甲斐無く思っていた。そんな不格好な自分を認めるやら諦めるやら、そんな事をしているうち大して思うこともなくなった。自分というものの一端を垣間見ることを重ねて、自分の本当の姿を予想していく。結局、予想の形からはみ出したり、足りなかったりするのだが。

バスが大通りから外れたバス停に差し掛かる。

それでも、撫で付けられて、叩かれて、押さえつけられた、奥の方には硬い底があって、いつでもそこから再始動できると信じていいだろうか。

バスは坂を下り切り、道を迂回し、また同じ通りに戻って行く。

諦めてるわけじゃあないんだ。それは不純物を含むとしても、本当なんだ。

バスは教会の横を抜ける。

信じる。

バスを降りた。
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