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第1章 魔術学院編
第11話 いけない個人授業
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やっとの休日だ!
マリエス学院は一週間に一日生徒に休日を与えている。その理由は羽を伸ばしてこいとかリラックスしてこいとかいう優しいものじゃない。休日で色んな体験をして、その体験が魔術の才能を向上させられるかもしれないというものだ。
そう、魔術の才能を向上させる。俺の場合はつまりキスのテクニックを磨くことだ。あと、俺のS級魔術―『キス魔』を改良して、なにかほかの魔術を派生させられないか、セレスにヒントをもらいながら研鑽する必要がある。
なにせ、今のままだと少し不便だ。もし、いきなり不審者に襲われて、セレスが気づいてなかったら、俺は簡単に殺されてしまうだろう。キスする暇もなく。
『キス魔』って名前はセレスにダメ出しされたが、セレスのつけてくれた名前―調教の接吻より幾分マシな気がするから、そのまま名付けた。
それは置いといて、俺の今日の予定はもう埋まっている。天使のアイリスに個人授業をすることになっているからな。
少し早めに準備して、セレスに自分の家と男子寮の俺の部屋を分離させたあと、女子寮に向かう。
別に女子寮だからって男子禁制というわけではない。
マリエス学院はむしろ男女交際を推奨しているのだ。貴族の男女の仲人みたいな役割を果たして、貴族に恩を売るという意図なのだろう。
だが、恥ずかしがり屋の俺はなんの理由もなく、女子寮に入るわけにはいかない。レイナを助けたことで英雄と呼ばれたり、教室では紳士として振舞ってるから、おいそれと女子寮を訪ねていいわけがない。
チャラいとか思われたら心外だ。
でも、今日は口実がある。アイリスを迎えにいくという絶好の口実が。
恐る恐る男子寮から少し離れた女子寮の玄関に入ると、これでもかという甘美な香りが漂ってくる。これが花園の香りというやつか。実に素晴らしい。
少し奥に入ると、これはまたさっきとは別の香りがする。なんというか、風呂上がりのセレスと同じような香り。そうか、女子寮も男子寮と同じで、一階に大浴場があるのか。
いつも、セレスの家の風呂場を使ってるから、大浴場に行ってないのだが。
そうこうしているうちに、淡い水色のドレスを着たアイリスがやってきた。水色の髪とよく似合ってて、ほんとに物語に出てくるお姫様みたい。
でも、欲を言えば、もうちょっと遅く来てくれてもよかったのだが。もう少し、花園の香りと空気を堪能していたかったな。
「おはようございます。フィリ様」
アイリスはドレスの袖をつかんで、軽く一礼した。
「おはようございます。アイリスさん」
俺も紳士らしく、腰を曲げて一礼し返した。
まるでダンスの誘いみたいだが、残念ながら、場所が女子寮だからムードがない。
「では、行きましょう。お嬢様」
キザっぽくそう言ってみたら、アイリスの顔が真っ赤になった。
「お、お嬢様って言い方はくすぐったいから、やめてください」
そういうけど、アイリスはまんざらでもない感じ。
ほんと、女の子は建前の塊である。
セレスみたいに変態丸出しのほうが気が楽でいいんだけどね。
「分かりました。お嬢様」
「もう、フィリ様はいじわるです~」
可愛いな、セレスと同じ口調なのに、なぜこんなに感じ方が違うのだろう。
からかった甲斐があったってもんだ。
男子寮に入ると、アイリスはきょろきょろしだした。
「こ、これが殿方が生活している場所ですか?」
「はい、女子寮と違いますか?」
「はい、においが違います」
おいおい、やめて? それじゃ、アイリスも俺とは同じ変態だと勘違いしてしまうじゃない? アイリスは天使だから、きっと別の意味で言ってるのだろう。うん、そう信じたい。
自分が邪な気持ちで女子寮のにおいを堪能しただけに、アイリスの発言には不信感を感じてしまう。
「フィリ様の部屋はどちらですか?」
「二階にあります。案内しますね」
「はい」
アイリスを二階の使っていない自分の部屋に案内すると、アイリスは目を大きく見開いた。
「荷物少ないんですね」
「ああ、シンプルなのが好きなので」
荷物は全部セレスの家の俺とセレスの部屋にあるからなんてとうてい言えるわけもなく、紳士らしくごまかした。
アイリスにベッドの上に座ってもらって、カップにコーヒーミルクを注いで渡す。
ちなみに、コーヒーというのはすごく高価な飲み物で、平民には縁がないものだ。
コーヒーミルクは事前にお湯を沸かして、淹れといたもので、セレスの魔術で保温してある。
「おいしいですね」
アイリスは一口啜ると、思わず顔が綻んだ。
可愛い笑顔だ。
まあ、いうほどのことじゃないけど、そのカップは予め俺がなめまわして、しっかりと俺の唾液をなじませてある。別に変態行為とかじゃないよ? ただ、俺の唾液がしっかりと馴染んだほうがコーヒーミルクもうまくなると思っただけだよ? 気遣いなのだ。
それを知らずに度々カップに口をつけているアイリスを見て、俺の中のなにかが満たされていく。
あーあ、たまらない。
ほんと、この子に関しては『キス魔』を使わずに、ゆっくり時間をかけて恋に落ちてもらいたいものだ。せっかく天使みたいなのに、『キス魔』を使ったら、恋愛の楽しさが半減してしまうからな。
「それでは、魔術の使い方を教えましょうか?」
「はい、お願いします」
「アイリスさんは十分魔術の使い方がうまいのですから、俺にどんなことを教わりたいのですか?」
とりあえずほめる。ほめて損はないのだ。
ちなみに、セレスにラーちゃんを堕としたときみたいに、アイリスの攻略法を聞こうとしたら、ふん! って言われて、教えてくれなかった。
なんてたって、『キス魔』を使わず正々堂々と落としたいというアイリスへの特別視が気に食わないらしい。
ったく、女心ってめんどくさいな。
「あの、実技訓練の時に、フィリ様が使った魔術の性質や形を変換する方法が知りたくて」
「は、はは」
思わず、苦笑いしてしまった。
それは全部、セレスの気まぐれだったんだよね。
火の壁の時は絶対防御とか言って、火で俺を囲むし、水の光線の時はプラズマのほうが綺麗だよ~ とか言って、本来の水のビームを無理やり魔改造して、イナズマが光ってるような水で出来たボールを作り出して放った。
確かに綺麗だったが、ビームの意味が……
俺じゃ、答えられないから、セレスにパス。
『おい、パンツ! 答えろ』
『はーい』
うん、いい子だ! すっかり自分のあだ名がパンツだと覚えたみたい。犬より賢いんじゃない?
『えっとね、魔術の性質と形を変えるには……』
『変えるには?』
『魔力をぐにょっと練って、ふにゃっと曲げて、ドタンッと放てばいいよ~』
ごめん、俺が間違った。セレスは犬以下だ。
こうなったら、俺がなんとかごまかすしかない。
「えっとですね、魔力をイメージするんですよ」
「イメージ?」
「はい、呪文を唱えると、魔術が発動するんじゃないですか? 呪文を唱えながら頭で魔術の形をイメージするのです」
『さすが、ご主人様、正解~』
って正解かよ。適当にそれっぽいこと言っただけなのだが。
てか、それなら最初からそう説明してくれよ、セレスさん。
「なるほど、次はどうすればいいですか?」
つ、次? 次ってあんの? ふにゃっと曲げるんだったっけ。どう説明すればいいの?
『セレス、真面目に頼む』
困ったときのセレス頼みだ。
『えっ? 詳しくは分かんないもん。だってやろうと思えばできたから~』
なるほど、感覚派で天才か。いらないんだよ! 今は。
「えっとね、それで魔術を曲げてですね……」
はあ、また適当なことをいうしかないか。
「フィリ様……」
俺が説明を再開したとたん、なぜかアイリスはうっとりした目で俺を見つめてきた。顔も赤い。
もしかして、熱?
俺はそっと手をアイリスの額に添えた。
そんなに熱くはないよな。どうしたんだろう。
「……フィリ様、あ、あの、手を触ってもいいですか?」
「えっ? いいですよ」
すると、アイリスは俺の手を握って触りだした。
いやらしい手つきだ。こういう風に表現するしかない触り方。
俺の指の合間を縫って、自分の指を絡ませる。
そして、いきなり、俺の人差し指を口に入れてなめだした。
「ひぇっ!?」
思わずびっくりして声を出した。
『セレス、これはどうなってんだ!?』
『あれ? 言ってなかったっけ? ご主人様の唾液にも魔力がたくさん含まれているので、ご主人様の唾液まみれのカップに口をつけてるときに、それがアイリスさんの体内に流れ込んだのでしょう』
『それってつまり?』
『つまりキスほどの効果はないが、相手の理性を壊すのに十分だよ~ さすがご主人様~』
『……』
俺の変態行為、いや、気遣いがこんなとこで裏目に出るとは……
反省だ。今度は一舐めにとどめておこう。
でも、今の状況をどうにかしないといけない。
「あ、あの、アイリスさん、何をしているのですか?」
「おいしい……」
もはや、アイリスには俺の声が届かない。夢中に俺の指を舐めしゃぶってる。
指の付け根まで丁寧に舌で舐める。
どちらかというと、舐めるなら別のところをなめてほしかったな。
って違う。アイリスを止めないと。このまま純愛どころじゃなくなる。
「アイリスさん、やめてください!」
「やめにゃいもん」
アイリスはいつもの雰囲気と違って、かなり積極的な感じになっている。
こうなったら……
『セレス、頼む、なんとかしてくれ』
『いいじゃないの~』
『よくない! やれ!』
『はい……催眠』
すると、アイリスは急にそのままベッドに倒れこんで眠ってしまった。
あっぶない。俺の理性も吹っ飛ぶところだったわ。
だが、これで新しい魔術のアイディアがひらめいた。唾をかけると名付けよう。
マリエス学院は一週間に一日生徒に休日を与えている。その理由は羽を伸ばしてこいとかリラックスしてこいとかいう優しいものじゃない。休日で色んな体験をして、その体験が魔術の才能を向上させられるかもしれないというものだ。
そう、魔術の才能を向上させる。俺の場合はつまりキスのテクニックを磨くことだ。あと、俺のS級魔術―『キス魔』を改良して、なにかほかの魔術を派生させられないか、セレスにヒントをもらいながら研鑽する必要がある。
なにせ、今のままだと少し不便だ。もし、いきなり不審者に襲われて、セレスが気づいてなかったら、俺は簡単に殺されてしまうだろう。キスする暇もなく。
『キス魔』って名前はセレスにダメ出しされたが、セレスのつけてくれた名前―調教の接吻より幾分マシな気がするから、そのまま名付けた。
それは置いといて、俺の今日の予定はもう埋まっている。天使のアイリスに個人授業をすることになっているからな。
少し早めに準備して、セレスに自分の家と男子寮の俺の部屋を分離させたあと、女子寮に向かう。
別に女子寮だからって男子禁制というわけではない。
マリエス学院はむしろ男女交際を推奨しているのだ。貴族の男女の仲人みたいな役割を果たして、貴族に恩を売るという意図なのだろう。
だが、恥ずかしがり屋の俺はなんの理由もなく、女子寮に入るわけにはいかない。レイナを助けたことで英雄と呼ばれたり、教室では紳士として振舞ってるから、おいそれと女子寮を訪ねていいわけがない。
チャラいとか思われたら心外だ。
でも、今日は口実がある。アイリスを迎えにいくという絶好の口実が。
恐る恐る男子寮から少し離れた女子寮の玄関に入ると、これでもかという甘美な香りが漂ってくる。これが花園の香りというやつか。実に素晴らしい。
少し奥に入ると、これはまたさっきとは別の香りがする。なんというか、風呂上がりのセレスと同じような香り。そうか、女子寮も男子寮と同じで、一階に大浴場があるのか。
いつも、セレスの家の風呂場を使ってるから、大浴場に行ってないのだが。
そうこうしているうちに、淡い水色のドレスを着たアイリスがやってきた。水色の髪とよく似合ってて、ほんとに物語に出てくるお姫様みたい。
でも、欲を言えば、もうちょっと遅く来てくれてもよかったのだが。もう少し、花園の香りと空気を堪能していたかったな。
「おはようございます。フィリ様」
アイリスはドレスの袖をつかんで、軽く一礼した。
「おはようございます。アイリスさん」
俺も紳士らしく、腰を曲げて一礼し返した。
まるでダンスの誘いみたいだが、残念ながら、場所が女子寮だからムードがない。
「では、行きましょう。お嬢様」
キザっぽくそう言ってみたら、アイリスの顔が真っ赤になった。
「お、お嬢様って言い方はくすぐったいから、やめてください」
そういうけど、アイリスはまんざらでもない感じ。
ほんと、女の子は建前の塊である。
セレスみたいに変態丸出しのほうが気が楽でいいんだけどね。
「分かりました。お嬢様」
「もう、フィリ様はいじわるです~」
可愛いな、セレスと同じ口調なのに、なぜこんなに感じ方が違うのだろう。
からかった甲斐があったってもんだ。
男子寮に入ると、アイリスはきょろきょろしだした。
「こ、これが殿方が生活している場所ですか?」
「はい、女子寮と違いますか?」
「はい、においが違います」
おいおい、やめて? それじゃ、アイリスも俺とは同じ変態だと勘違いしてしまうじゃない? アイリスは天使だから、きっと別の意味で言ってるのだろう。うん、そう信じたい。
自分が邪な気持ちで女子寮のにおいを堪能しただけに、アイリスの発言には不信感を感じてしまう。
「フィリ様の部屋はどちらですか?」
「二階にあります。案内しますね」
「はい」
アイリスを二階の使っていない自分の部屋に案内すると、アイリスは目を大きく見開いた。
「荷物少ないんですね」
「ああ、シンプルなのが好きなので」
荷物は全部セレスの家の俺とセレスの部屋にあるからなんてとうてい言えるわけもなく、紳士らしくごまかした。
アイリスにベッドの上に座ってもらって、カップにコーヒーミルクを注いで渡す。
ちなみに、コーヒーというのはすごく高価な飲み物で、平民には縁がないものだ。
コーヒーミルクは事前にお湯を沸かして、淹れといたもので、セレスの魔術で保温してある。
「おいしいですね」
アイリスは一口啜ると、思わず顔が綻んだ。
可愛い笑顔だ。
まあ、いうほどのことじゃないけど、そのカップは予め俺がなめまわして、しっかりと俺の唾液をなじませてある。別に変態行為とかじゃないよ? ただ、俺の唾液がしっかりと馴染んだほうがコーヒーミルクもうまくなると思っただけだよ? 気遣いなのだ。
それを知らずに度々カップに口をつけているアイリスを見て、俺の中のなにかが満たされていく。
あーあ、たまらない。
ほんと、この子に関しては『キス魔』を使わずに、ゆっくり時間をかけて恋に落ちてもらいたいものだ。せっかく天使みたいなのに、『キス魔』を使ったら、恋愛の楽しさが半減してしまうからな。
「それでは、魔術の使い方を教えましょうか?」
「はい、お願いします」
「アイリスさんは十分魔術の使い方がうまいのですから、俺にどんなことを教わりたいのですか?」
とりあえずほめる。ほめて損はないのだ。
ちなみに、セレスにラーちゃんを堕としたときみたいに、アイリスの攻略法を聞こうとしたら、ふん! って言われて、教えてくれなかった。
なんてたって、『キス魔』を使わず正々堂々と落としたいというアイリスへの特別視が気に食わないらしい。
ったく、女心ってめんどくさいな。
「あの、実技訓練の時に、フィリ様が使った魔術の性質や形を変換する方法が知りたくて」
「は、はは」
思わず、苦笑いしてしまった。
それは全部、セレスの気まぐれだったんだよね。
火の壁の時は絶対防御とか言って、火で俺を囲むし、水の光線の時はプラズマのほうが綺麗だよ~ とか言って、本来の水のビームを無理やり魔改造して、イナズマが光ってるような水で出来たボールを作り出して放った。
確かに綺麗だったが、ビームの意味が……
俺じゃ、答えられないから、セレスにパス。
『おい、パンツ! 答えろ』
『はーい』
うん、いい子だ! すっかり自分のあだ名がパンツだと覚えたみたい。犬より賢いんじゃない?
『えっとね、魔術の性質と形を変えるには……』
『変えるには?』
『魔力をぐにょっと練って、ふにゃっと曲げて、ドタンッと放てばいいよ~』
ごめん、俺が間違った。セレスは犬以下だ。
こうなったら、俺がなんとかごまかすしかない。
「えっとですね、魔力をイメージするんですよ」
「イメージ?」
「はい、呪文を唱えると、魔術が発動するんじゃないですか? 呪文を唱えながら頭で魔術の形をイメージするのです」
『さすが、ご主人様、正解~』
って正解かよ。適当にそれっぽいこと言っただけなのだが。
てか、それなら最初からそう説明してくれよ、セレスさん。
「なるほど、次はどうすればいいですか?」
つ、次? 次ってあんの? ふにゃっと曲げるんだったっけ。どう説明すればいいの?
『セレス、真面目に頼む』
困ったときのセレス頼みだ。
『えっ? 詳しくは分かんないもん。だってやろうと思えばできたから~』
なるほど、感覚派で天才か。いらないんだよ! 今は。
「えっとね、それで魔術を曲げてですね……」
はあ、また適当なことをいうしかないか。
「フィリ様……」
俺が説明を再開したとたん、なぜかアイリスはうっとりした目で俺を見つめてきた。顔も赤い。
もしかして、熱?
俺はそっと手をアイリスの額に添えた。
そんなに熱くはないよな。どうしたんだろう。
「……フィリ様、あ、あの、手を触ってもいいですか?」
「えっ? いいですよ」
すると、アイリスは俺の手を握って触りだした。
いやらしい手つきだ。こういう風に表現するしかない触り方。
俺の指の合間を縫って、自分の指を絡ませる。
そして、いきなり、俺の人差し指を口に入れてなめだした。
「ひぇっ!?」
思わずびっくりして声を出した。
『セレス、これはどうなってんだ!?』
『あれ? 言ってなかったっけ? ご主人様の唾液にも魔力がたくさん含まれているので、ご主人様の唾液まみれのカップに口をつけてるときに、それがアイリスさんの体内に流れ込んだのでしょう』
『それってつまり?』
『つまりキスほどの効果はないが、相手の理性を壊すのに十分だよ~ さすがご主人様~』
『……』
俺の変態行為、いや、気遣いがこんなとこで裏目に出るとは……
反省だ。今度は一舐めにとどめておこう。
でも、今の状況をどうにかしないといけない。
「あ、あの、アイリスさん、何をしているのですか?」
「おいしい……」
もはや、アイリスには俺の声が届かない。夢中に俺の指を舐めしゃぶってる。
指の付け根まで丁寧に舌で舐める。
どちらかというと、舐めるなら別のところをなめてほしかったな。
って違う。アイリスを止めないと。このまま純愛どころじゃなくなる。
「アイリスさん、やめてください!」
「やめにゃいもん」
アイリスはいつもの雰囲気と違って、かなり積極的な感じになっている。
こうなったら……
『セレス、頼む、なんとかしてくれ』
『いいじゃないの~』
『よくない! やれ!』
『はい……催眠』
すると、アイリスは急にそのままベッドに倒れこんで眠ってしまった。
あっぶない。俺の理性も吹っ飛ぶところだったわ。
だが、これで新しい魔術のアイディアがひらめいた。唾をかけると名付けよう。
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