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7.その手をとって
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「こんばんは、スーザン。お招き頂けて光栄です」
深く頭を下げると、スーザンは久しぶりの再会に嬉しそうに笑った。あまりに喜んでくれるので、もっと早く晩餐会に参加していれば良かったと思うほどだった。
「会いたかったわ、シャロン。相変わらず綺麗ね」
ころころと笑うスーザンも変わらず美しかった。むしろ昔に比べて随分と若返った様な印象だった。きっちりと纏められた白髪は艶めいていて、肌のキメも細かい。声にはハリがあるし、動きもキビキビとしていた。オーウェンが"魔女"だとこっそり揶揄うのも分かる。
「アーサー、ローアル王国のシャロン・ヴァーレイ王女だ。俺の従兄妹だ」
背のすらりと高い、ほっそりとした青年だった。緊張しているのだろうか、にこりともしない。
「シャロン王女、私はアーサー・ミーシャと申します。お会い出来て光栄でございます」
恭しく膝を折ろうとするのを、シャロンは慌てて制した。
「アーサー様、どうかお顔を上げてください。私のことはシャロンと呼んで」
なるほど、オーウェンが"真面目過ぎる"と言ったのも頷けた。目が合うと、頬を染めながら視線を逸らしてしまう。ふわふわと柔らかそうな栗色の髪に、同じ色の優しそうな瞳。
「オーウェンの友人だと聞いています」
そう言って安心させるように笑ってみせると、緊張が解けたのか口元を綻ばせた。笑うと少しだけ幼く見える。
「シャロン、私のことも……どうかアーサーとお呼びください」
「ええ、アーサー」
物腰も柔らかく上品だった。あまり女性慣れしていないようなところを物足りないと言ってしまう女性もいるかもしれないが、シャロンには誠実そうで好感が持てた。
名前を呼ぶと今度はしっかりと視線が重なった。アーサーの目がキラキラと輝いている。二人はしばらく見つめ合ってしまった。
「すみません、貴方に見惚れてしまって……」
「まあ、お上手ね」
あまりにストレートな物言いに、シャロンも頬が緩む。
ーーマルセルとは正反対のタイプね。
マルセルも女性慣れしてないが、彼はそれを隠そうとし過ぎて無愛想になってしまう。
そんな彼の特別になりたかった。王女でも、友人の妹でもなく、弟でもなく、一人の女性として。
「シャロン、良かったら私と踊って頂けませんか?」
アーサーが丁寧な仕草で手を差し出した。その手を取ると、大切な壊れ物でも扱うようにシャロンを優しく引き寄せてくれる。
こんな風に一人の女性として扱われたのはどれくらいぶりだろう。そのことを今までずっと逃げてきたのに、今はとても心地良い。
「ええ、喜んで」
音楽が始まる。ふと、視線を向けるとオーウェンが満足そうに微笑んでいた。
深く頭を下げると、スーザンは久しぶりの再会に嬉しそうに笑った。あまりに喜んでくれるので、もっと早く晩餐会に参加していれば良かったと思うほどだった。
「会いたかったわ、シャロン。相変わらず綺麗ね」
ころころと笑うスーザンも変わらず美しかった。むしろ昔に比べて随分と若返った様な印象だった。きっちりと纏められた白髪は艶めいていて、肌のキメも細かい。声にはハリがあるし、動きもキビキビとしていた。オーウェンが"魔女"だとこっそり揶揄うのも分かる。
「アーサー、ローアル王国のシャロン・ヴァーレイ王女だ。俺の従兄妹だ」
背のすらりと高い、ほっそりとした青年だった。緊張しているのだろうか、にこりともしない。
「シャロン王女、私はアーサー・ミーシャと申します。お会い出来て光栄でございます」
恭しく膝を折ろうとするのを、シャロンは慌てて制した。
「アーサー様、どうかお顔を上げてください。私のことはシャロンと呼んで」
なるほど、オーウェンが"真面目過ぎる"と言ったのも頷けた。目が合うと、頬を染めながら視線を逸らしてしまう。ふわふわと柔らかそうな栗色の髪に、同じ色の優しそうな瞳。
「オーウェンの友人だと聞いています」
そう言って安心させるように笑ってみせると、緊張が解けたのか口元を綻ばせた。笑うと少しだけ幼く見える。
「シャロン、私のことも……どうかアーサーとお呼びください」
「ええ、アーサー」
物腰も柔らかく上品だった。あまり女性慣れしていないようなところを物足りないと言ってしまう女性もいるかもしれないが、シャロンには誠実そうで好感が持てた。
名前を呼ぶと今度はしっかりと視線が重なった。アーサーの目がキラキラと輝いている。二人はしばらく見つめ合ってしまった。
「すみません、貴方に見惚れてしまって……」
「まあ、お上手ね」
あまりにストレートな物言いに、シャロンも頬が緩む。
ーーマルセルとは正反対のタイプね。
マルセルも女性慣れしてないが、彼はそれを隠そうとし過ぎて無愛想になってしまう。
そんな彼の特別になりたかった。王女でも、友人の妹でもなく、弟でもなく、一人の女性として。
「シャロン、良かったら私と踊って頂けませんか?」
アーサーが丁寧な仕草で手を差し出した。その手を取ると、大切な壊れ物でも扱うようにシャロンを優しく引き寄せてくれる。
こんな風に一人の女性として扱われたのはどれくらいぶりだろう。そのことを今までずっと逃げてきたのに、今はとても心地良い。
「ええ、喜んで」
音楽が始まる。ふと、視線を向けるとオーウェンが満足そうに微笑んでいた。
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