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5.物語は続く
しおりを挟む「ねえ、ドレスは白でもいいわ。でも花は赤にしたいの」
「言っただろう、フェリシアス家では結婚式に赤は絶対取り入れてはいけないんだ」
何度話しても、彼女は納得しないようだった。確かに華やかな赤に憧れるのは理解できる。友人の結婚式に二人で参列したときにも、彼女はしきりに羨ましがっていた。
「城に棲む幽霊が怒るからって、きっとそれは迷信よ」
彼女は少し怒ったように言う。目に見えないものは信じないという人間だからだ。
「迷信なんかじゃない。決まりを破った結婚式は恐ろしいことが起きる」
「例えば? 」
「そうだな、決まり事を破って花を真っ赤な薔薇にしたらしい。そうしたら、誓いの言葉の後に花嫁を殺そうとしたんだ。……元婚約者だった女性がね」
そんな話は無い、という答えを期待していたのだろう。彼女の表情は怯えている。
「それで、どうなったの?」
「元婚約者はその場で首を切られてしまった。その血が白いドレスを赤く染めたって言う話だよ」
「……彼女が怒るから赤はだめなの?」
「彼女たちだよ」
「……」
「なんてね、怖がらせちゃったかな。古くから伝わる話だから、御伽噺みたいなものだろう。でも、この決まりもそろそろ見直さないといけないよな。俺たちの時代で変えてみる?」
朝食のコーンスープを飲み干して、彼はいつも通りの優しい表情で笑った。
結婚式まであと一ヶ月もないというのに。
彼は相変わらず呑気だ。花の色についてはまた話し合おう。
フェリシアス家の夫人になるのなら、これくらいのことで不安になってはいけない。お守りにもらった小さな青い石を握り締める。
大丈夫、私はこれから幸せになれる。
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