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申し遅れた

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 どうだったであろうか?






 これが『HHHスリェッチ』の活動の一部、日常報告会である。





 月に何度かこういった報告会を設け、お互いの『日常』と言うものを見直すのだ。













 え?ところどころ気になるところがあった?














 何をいまさら。

 事前に伝えていたではないか。




 彼女らの『日常』は、我々にとっての『非日常』なのだと。





 仕方がない。


 君のために、部員についてもう少し詳しく説明してあげよう。












 まずは皆藤 蓮叶かいとう れんかから紹介しよう。



 2年A組。好きな食べ物はパンケーキ。

 『HHHスリェッチ』の創設者である。



 誰にでも社交的で明るい性格な彼女は友達も多く、流行りものなどにもとても詳しい。
 いわゆる普通の女子高生だ。









 ただ一つ違うところは、彼女の“体温”である。









 蓮叶は自分の体温を50℃~2000℃まで変化させることが出来るのだ。

 しかし、自分でも未だ調整が難しいらしく感情が高まると温度が上がってしまうらしい。


 本人曰く、この能力について「飴玉がすぐ溶けちゃう!」と言っている。











 では次に、篠崎 莉湖しのざき りこの紹介をしよう。






 2年B組。好きな食べ物はパクチーサラダ。



 『HHHスリェッチ』には杏奈に誘われ入部し、今は部長を務めている。


 父が某有名大学病院の院長であり、母は世界で活躍するジュエリーデザイナー。


 莉湖自身も国際的な交流が多い生粋のお嬢様である。









 彼女は、瞬間移動をすることができる。



 1度訪れたことのある地点から半径10kmの範囲はいつでも自由に行き来することが可能。


 母の仕事の関係で外国に行く機会の多い莉湖は、ありとあらゆる国に行くことが可能なのである。




 本人曰く、「日本が1番」らしい。










 次に辻 杏奈つじ あんなの紹介を。



 2年A組。好きな食べ物は肉全般。




 莉湖とは小学2年生から幼馴染だ。


 男勝りな性格であり、自分のことを「アタイ」と呼ぶ。


 曲がったことが嫌いで校外で男と喧嘩してしまうこともしばしば。

 だが、根は優しいところもあり後輩にも慕われる姉御的存在だ。








 彼女の能力はライオンに変身できるというものだ。


 月に一度の新月の日に限り、完全な姿に変わることが出来る。


 それ以外の日は爪だけ、牙だけなどの一部分のみしか変化させることが出来ない。


 本人曰く、「爪だけあれば十分」らしい。











 次に紹介するのは山尾 静音やまお しずねだ。




 1年A組。好きな食べ物はサバの味噌煮。

 『HHHスリェッチ』入部後、すぐに蓮叶に「なんか副部長っぽい雰囲気だから!」という理由で1年生ながら副部長を務めている。





 物静かで言葉数は少ない。無意識の内に毒舌になることがあり、それが原因で度々杏奈に注意されることがある。







 彼女は動植物と会話をすることができる能力を持つ。


 根を生やしている草木や動物の声が彼女には聞こえるのだ。


 そのせいで野菜や動物の肉などを口にすることが出来なくなってしまった。

 しかし、魚類の言葉だけを聞き取ることができないため、魚は食べれる。



 本人曰く、「・・・猫科はうるさい」らしい。









 最後に平原 望ひらはら のぞみの紹介をするとしよう。



 1年C組。好きな食べ物はシュークリーム。


 『HHHスリェッチ』の書記担当だ。



 掴みどころのない性格で、常に笑顔を見せている。


 天然なところもあり、先輩達からは可愛がられる反面、同級生にはあざといようにも見えるその言動にしばしば敬遠されることもあるが、本人は無自覚である。





 そんな望は、夢で見たものを現実に具現化することができる。


 眠っている間に見た夢の中の食べ物や生き物を夢から覚めた時に、目の前に出すことが出来るのだ。

 ただし、この能力は夢を見るとその中の1つを“必ず”具現化しなければならない。


 つまり凶暴な猛獣しか出てこない夢を見てしまった場合、嫌でも猛獣を1匹現実世界に連れてこなければならないのだ。



 そうなった時は、その都度杏奈が撃退してくれる。



 本人曰く、「かわいい夢しか見たくない」んだそうだ。











 君のために、こんなにも長い説明をすることになるとは。


 これで理解してもらえただろうか?





 彼女らがどういった存在であるかを。





 我々は彼女らの存在を世界中に隠し、極秘に監察していたのだが、まさかそのうちの5人が同じ高校の同じ部活に集まるとは予想もしていなかった。




 
 我々は彼女たちの能力を総称し、“非能性ひのうせい”と呼んでいる。






 非能性を持つ者達の『日常』を監察し、調査することで我々人類の大きな進化の可能性を見つけるのだ。







 ん?我々とはなにか?









 おや、申し訳ない。

 私としたことが自分の紹介をしていないとは。




 私は『非能性生物学研究所』所長兼『HHHスリェッチ』顧問の神木かみきだ。




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