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非能性生物学研究所

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 ただ、生物学研究所と聞いて勘違いしないで貰いたいのだが、我々は彼女らを拘束して何かの実験材料に利用したり、見世物にしようという考えは一切持っていない。





 だが彼女らの存在が世界にバレれば、そういうことを考える輩が必ず現れる。





 そうならないために、我々は彼女らを見守りつつ監察を続けているのだ。




 確かに人体実験などをすれば、なにか世界を変えるような大発見があるのかもしれない。




 しかし、我々研究所が求めているものは“人間としての日常的生活での幸せとは何か?”という答えだ。



 それ以外はどうでも良いのだ。





 拘束し、自由を奪い実験材料にするなど、幸せとは何かを求める我々が決してやっていい事ではない。








 我々は、彼女らの『日常』を知ることで、その答えを導き出すヒントになるのではないかと考えているのだ。






 世界中の人間が幸せな『日常』を生きるためには、『非日常』を生きている彼女らの『日常』も知らなくてはいけないということだ。








 これは、一見小さな小さな歩みにしか見えないだろう。



 しかし、ここから答えを出せた時。





 我々が付けてきた小さな歩みの足跡は大きな道となり、世界中の人間を幸せな『日常』へと導くことだろう。








 つまり、彼女らの会話一つ一つでも、大きな可能性を秘めているということだ。








 ほら、見てみたまえ。

 報告会のあとにはいつもあぁして雑談をするのだ。











 また少し覗いて見ようではないか。






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