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昔話から始まる日常19
しおりを挟む莉湖と杏奈が廊下を歩いていると、職員室の方から大きな声が聞こえてきた。
言うまでもなく、蓮叶の声だ。
杏奈
「おーおー、騒いでんなぁ」
莉湖
「恥ずかしい・・・」
杏奈は楽しそうに、莉湖は呆れながら職員室を覗く。
すると案の定、職員室の中央辺りで教頭の足元で膝をつき、必死に訴えている蓮叶の姿があった。
それを見て、杏奈は職員室の外の廊下でお腹を押さえて笑う。
杏奈
「あいつマジかよ!やべぇー!」
莉湖
「本当に恥ずかしい・・・」
杏奈は笑いすぎのあまり涙を流している。
蓮叶
「先生ー!何回も言ってるじゃないですか!生徒会長からOKもらったんですってば!」
教頭
「だから、何回も言うように3人で部活設立なんて無理なんだよ」
蓮叶
「そんなの聞いてないですよー!」
莉湖はその光景から目を背ける。
莉湖
「もう見てるのも恥ずかしいです・・・。辻さん、皆藤さんを連れ戻してきてください」
杏奈はまだ笑っている。
莉湖
「辻さん」
杏奈
「はー、ウケるわー」
莉湖は杏奈に顔を近づける。
莉湖
「辻さん、本当にお願いします」
莉湖の顔が本気だった。
杏奈
「なんだよー、せっかくおもしれぇのに。わかったよ、連れてくりゃいいんだろ」
そう言って杏奈は職員室のドアを開けた。
すると、やはり廊下とは明らかに職員室の温度が上がっているのを感じた。
杏奈
「失礼しゃーす。さーせん、そのバカ引き取りに来ましたー」
そう言って杏奈は蓮叶の制服の後ろ襟を掴むとそのまま引きずった。
蓮叶
「えっ!?あっ、杏ちゃん!ちょっと離してよ!今私の全力のお願いが炸裂してる所なんだから!先生の許可がないと部活できないんだよ!?ちょっと!杏ちゃん!聞いてる!?」
杏奈はその言葉を無視する。
杏奈
「失礼しゃっしたー」
そう言って、蓮叶を引きずったまま、職員室を出た。
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