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6巻
6-1
しおりを挟む俺、九重鶫と双子の妹である雲雀と鶲は、昨日、VRMMO【REAL&MAKE】で短いながらも濃密な時間を過ごした。
双子の幼馴染の飯田美紗ちゃんに加え、同級生の榊瑠璃ちゃん、その兄である信乃くんと一緒だったからだ。
妹達は別れ際に、「2~3日中にまた遊びたいね」とマジの眼差しで約束を交わしていたので、皆で遊んだ昨日――日曜日の再来は近いだろう。
今日は学校なので、もうそろそろ雲雀と鶲が起きてくる。
さて、俺もさくっと起きるとするか。
「……なに作るかな」
毎日の料理を考えるのも一苦労……なんだけど、あの双子はどんなメニューでも美味しいと全部食べる。ありがたい反面、これはこれで悩ましい。
朝食は軽めでありながら、お腹が満たされるもの……。
俺は寝間着代わりの浴衣から適当な服に着替え、歯磨きと洗顔を済ませてキッチンへ向かった。
少しがらんとしている冷蔵庫と睨めっこし、頭を捻って献立を考え、食材を取り出す。
最近ご無沙汰だったから、いい加減買い出しに行かないと。
のんびり朝食を作っていると、次第に2階が騒がしくなり、階段を駆け下りてくる音が聞こえる。
機嫌の良さそうな雲雀がリビングの扉を開けて入ってきて、キッチンにいる俺に、テンション高めに挨拶してきた。
「つぐ兄ぃ~、おっはようでぇ~す!」
「おはよう、雲雀」
「ひぃちゃんはまだ歯磨きだよ。私は勝ったのでぇ~す!」
「へぇ……ってか、なんだその語尾」
「えへへ~」
軽く話すと気が済んだのか、雲雀は気の抜ける笑い方をしながら、リビングのソファーに座る。
やがて朝食作りも終盤に差しかかったころ、今度は眠たげな目をした鶲がやって来た。
「夜更かしは絶対してないし、雲雀ちゃんと同じくらいに寝たから、こんなはずでは……」と、どこか悔しそうな鶲。
そんな彼女に、出来上がった朝食をテーブルに運んでもらい、皆で揃っていただきます。
雲雀と鶲は部活のあるいつも通りのスケジュールだが、いつも通りでないのは俺のほうだな。
買い出しに行かないと、帰ってきた雲雀の泣く姿が目に浮かぶ。
あとでスーパーのチラシを、現場で歴戦の主婦に負けないよう、しっかりチェックしなければ。
朝食を食べ終えた2人は、荷物を持って、明るい声とともに学校へ向かった。
「つぐ兄ぃ、行ってきます」
「行ってきます、つぐ兄」
「急いで転んだりするなよ!」
こんな風に、元気いっぱいの雲雀は俺のことを「つぐ兄ぃ」と呼ぶ。そしてやや感情の薄い口調の鶲は、「つぐ兄」と語尾を伸ばさない。
俺は見送った手をそのままにポストに突っ込み、中に入っている新聞を取り出した。
今日もたくさんチラシが折り込まれているけど、求めているものはあるかなー。
そんなことを考えながら、リビングに戻ってテーブルに新聞を置くと、まだ片付けられていない食器が並んでいた。
「……あ」
先に綺麗にしてしまおうと、食器をキッチンに運ぶ。
食器洗いはお手の物だからささっと終わらせ、俺は新聞からチラシを抜き取り、真剣な眼差しで見つめた。
こっちのスーパーは、今日は1日中野菜が安い。あっちのスーパーは、夕方のタイムセールでお肉が安かった。
ただ、どちらも徒歩で行くには少々遠い……車を出すか?
こうして悩むなら、値段を上げ下げせず常時安い、と宣言しているスーパーのほうが、むしろ良いかもしれない。
まあとりあえず、まずは冷蔵庫と相談しないと。何があって何が足りないのか、ちゃんと確認しよう。
買うべきものをしっかりメモし、家の戸締まりをした俺はスーパーに出発。結局、今日は常時安いスーパーに行くことにした。
「行ってきます」
扉を閉める直前、玄関で、誰にも聞こえない声量でぽつりと言う。言わなくてもいいんだけど、なんとなく口にしちゃうんだよな。
安い商品を買うためなら……ええと、歴戦の勇者でも太刀打ちできない、だっけ?
とにかく、安い商品を買うためなら強い敵すら倒してしまう主婦の方々と、俺はこれから争わないといけないんだ。
その後の出来事については、大量のリンゴを買うことになった以外は面白くもないから端折らせてもらおう。
スーパーという名の戦場から帰ってきた俺は、買ってきた物を冷蔵庫にしまい込んだ。
掃除をしたり適度に休憩したり、仕事で頼まれていたものをメールで送りつけたりしているうちに、雲雀と鶲が帰ってくる。
「ただいまぁ、お風呂入ってきまーす!」
「ただいま、つぐ兄。泥と汗だく、お風呂一択」
帰宅の挨拶もそこそこに、2人は風呂場へ行ってしまった。
あぁそうか。さすがに汗だくではいたくないよな。
お風呂の用意はしていなかったんだけど、シャワーでも可な様子だ。それならお湯がもったいないので、俺も今日はシャワーだけにするか。
廊下にいた俺が、リビングに通じる扉を開こうとしたとき、後ろで小さく音がした。
振り返ると、洗面所の扉の隙間から雲雀が顔を出している。
「夕飯食べたらゲームするよー!」
俺は「分かってるよ」と返し、リビングに入った。
そうだなぁ……今日は少し早めに夕飯の支度をするか。
そういえば、2人は結構な頻度で一緒にお風呂に入ってるけど、そんなに話すことがあるんだろうか? よく分からん。
キッチンで冷蔵庫を開き、買い物をしているときに考えていた、夕食の食材を取り出す。
今日は豚の甘辛しょうが焼き、ポテトサラダ、けんちん汁、特売で安かったべったら漬け。
これらは作り慣れているので、シャワーを済ませた雲雀と鶲を待たせることなく、準備を済ませられた。慣れない料理は、時間に余裕のあるときやR&Mの中でしかやらない。
豚の甘辛しょうが焼きを食べ、炊き立てのほかほかご飯を食べ、けんちん汁をすすっていると、雲雀がふと思い出したように話す。
「今日、クラスメイトが何人も私の編みぐるみを持ってたんだ。つまり親とか知り合いとかが、フリマに来てくれたってことだよね……うぅ。べた褒めされて嬉しいけど、ちょっと恥ずかしかったよぉ」
「雲雀ちゃん、真っ赤だった」
「うぅ……」
どんどん顔を赤らめていった雲雀は、鶲にトドメを刺されて完全に沈黙した。それからは黙々と箸を動かしている。
編みぐるみを褒められた経験があまりないから、こうなるのも仕方ないだろう。けど、自信満々で「編みぐるみを売ろう」って言ったのは、自分じゃないか……。
難しいお年頃なんだなと思いながら、俺は冷める前に料理を食べ終えた。
「さぁて、ゲームゲーム! 今日は宿題ないからね。ご飯食べたらすぐゲーム!」
さっきまでの消沈していた雲雀はどこに行ったのか。食器を流しの水に浸けてリビングに戻ってきた俺に、早速と言わんばかりにヘッドセットを押しつけてきた。
「お、落ち着け。雲雀」
それを受け取った俺は、雲雀をソファーに座らせ、黙々と準備してくれていた鶲の頭を撫でてからソファーに腰かける。
「じゃ、やるぞー」
ひと声かけてから、カポッとヘッドセットを被り、ログインボタンを押す。するといつものように、意識がゲームの中に入り込む感覚に襲われた。
それに身を任せれば、次の瞬間にはR&Mの世界だ。
◆ ◆ ◆
俺が目を開けると、先日と変わらない王都の景色が広がっていた。少し遅れて、ヒバリとヒタキが姿を見せる。
それを確認した俺は、早速の自身のウインドウを開き、リグ達をここ、噴水広場に喚び出した。
「今日の予定は? 決まっているのか?」
よじ登ってくるリグを頭に乗せ、メイや小桜、小麦の頭を撫でつつ双子に問う。
するとヒバリが叫ぶように、元気に答えた。
「もっちのろんだよ!」
「ん、もちろん。今日はお城に行きます」
「……は?」
ヒバリに続いてヒタキが爆弾発言をしたので、俺は思わず素っ頓狂な声を出してしまう。
「1ヶ月に数回、お城の中が見られるんだよ! それが今日ってだけ。タイミングはちょっと狙ったけど」
「主要なとこには入れないけど、楽しいって」
「……そ、そうか」
「それじゃあ、城に向かってしゅっぱ~つ!」
城が一般公開されるというわけか。そんなことして大丈夫なんだろうか。
警備が大変だと思うんだが……まぁ2人が楽しそうだから別にいいや。
とりあえず神妙に頷いておき、噴水広場からは少し遠い王城へ向かった。
王城に続く道を歩いていると、観光客らしき人がどんどん増えていく。
ログイン時間の調節で、好きなタイミングを選べる俺達のようなプレイヤーだけでなく、NPCも多くいるので、一般公開の人気度が窺える。きっと観光名所なんだろうな。
城の前には、少し長めの列が出来ていた。
「お城、おっきいよねぇ~」
「んにゃにゃん」
前にも言った気がするけど、妹達が小桜と小麦の面倒を見てくれるので俺はとても助かっている。
双子のうち、どちらが主に世話をしているのか、って議論は無しの方向で。どっちも保護者ということで良いだろう。
そんなことを思っていると、列の最後尾にたどり着いた。
日本人男性として比較的身長が高い俺でも、R&M内では普通くらいだ。
背伸びをしても、前方の様子を窺うことはできなかった。
俺の背伸びが珍しかったのか、メイがこてんと首を傾げる。
「……め?」
「な、なんでもない」
俺は思わず、慌てて元の体勢に戻ってしまった。
しかし列の動きからして、10~20人くらいの集団になって、見学ツアーをする形式なのかもしれない。
ヒバリ達と「楽しみだね」なんて話をしているとすぐに俺達の番になった。
予想どおり、15人くらいの団体で見学していくらしい。
同行できるか心配していたリグ達も、一緒で大丈夫だとお墨付きをもらったので、気兼ねなく城内を見て回ることができそうだ。
お城の外観はザ・洋風といった感じ。少し灰色がかった、レンガ造りの西洋建物だった。
水を張った深く広い堀に、高い石造りの塀。俺が痛めそうなほど首を傾けて城を見上げていると、男性兵士が気の抜けた声で、手をメガホンにして叫ぶ。
『はーい、ちゅーもく。君達の案内を今回する、おじさ……お兄さんの名前はナルでーす。案内するのは全部で10ヶ所、ちゃんとついてきてねー!』
俺達を担当してくれるガイド――ナルさんは、二十代後半くらいの兵士だ。周囲を警戒する衛兵よりは軽装だが、左腰にしっかり帯剣していた。
はぐれたら大変なので、慌ててついて行く。
大の大人が10人くらい手を広げても足りないほどの幅がある跳ね橋を渡り、城内へ入ると、眼前に広がるのは真っ赤な絨毯。
掃除しやすさ重視なのか毛足は短い。とてもメンテナンスの行き届いた良い絨毯だ。
……日本人の俺に、西洋建築のウンチクなんて期待しないように。
ヒバリとヒタキのほうがゲームとかでファンタジーに慣れているから、分からないことは2人に聞いてくれ。俺には良い絨毯、としか表現が……。
俺がそんなよく分からない葛藤をしていたら、ナルと名乗った兵士がにこやかな笑みを浮かべて説明を始めた。
『ここはローゼンブルグ城の玄関で、正面の階段を上っていくと謁見場があるよ。正面から右に続く通路へは行けません。これから行くのは左側の大きな通路で、来賓者向けの部屋がたくさんあるよ。あ、入っちゃいけない場所の通路や扉の前には、衛兵が立ってるから分かりやすいと思うけど、迷子にならないよう注意してね』
右の通路は比較的、調度品に生活感があるというか……城の住人用のスペースって感じなのかな。
ナルに『行くよ~』と促され、あたりを見回しながら赤絨毯の廊下を歩いていく。
すると顔を伏せつつも、ブレのない動作で歩くメイドさんとすれ違った。
「ツグ兄ぃ、リアルメイドさんだよ! やっぱりメイドさんはクラシカルだよね。めっちゃ可愛いっ!」
「はいはい、どーどー」
手と顔以外、肌の露出はしません! といったメイドさんの姿に興奮するヒバリを、俺は適当になだめる。
ピカピカに磨き上げられた西洋甲冑。廊下のところどころに置かれている、高価そうな花瓶に生けられた四季折々の花……。
花が季節感を無視しているのは、ファンタジー特有の魔法の力なんだろうか? すごいな。
ヒバリとヒタキは、廊下の左右に並ぶ豪奢な扉などを見て盛り上がっている。
「見てるだけで楽しいって、こういうことを言うんだろうね! わくわくしちゃうよ~」
「ん、すごく楽しい。ここ、庭園もいいって聞いたから、見れたら嬉しい」
なんでも案内人によって見学コースに違いがあるみたいで、このナルという兵士でなければ見られない場所もあるんだと。
ヒタキの言う庭園に行けるかどうかもナル次第なので、俺にはどうにもできない。
扉が大きく開かれた場所にたどり着くと、ナルが俺達を呼んだ。
『はぁい、1ヶ所目はココ! 晩餐会や舞踏会などに使われる大広間だよ~。この大広間では、貴族階級を持っていたり抽選で当たったりした市民が、結婚式することもあるね』
とりあえず運が良ければ、誰もがここで結婚式を挙げられるってことか。
大広間でまず目に飛び込んできたのは、美しい女性が何人も繊細なタッチで描かれた壁。
中央に描かれた金髪の女性には、とても見覚えがあった。
水の街アクエリアで見た――いや、驚きすぎてあまり見られなかった気がするけど、この女性は女神エミエールだな。
双子も俺と一緒になって、その絵をマジマジと見つめていた。他の人々も自由にウロウロしてるから、これくらいで怒られはしないだろ。
『壁の絵は革命が起こる前日に、巨匠と言われた絵画……』
申し訳ないけどナルの説明を聞き流しつつ、女性の絵を順番に見ていく。
薄い水色の髪を肩くらいまで伸ばした女性、暗い色の赤髪を足下まで伸ばした女性、ふわふわした若葉色の髪を持つ女性……どれもきっと女神様だ。
「これは、本物と違わずたわわな胸ですな」
「ん、そうですな。絵でも分かる素晴らしさ。我らもバインバインに育ってほしいものです」
「それ以上育つ気ですかな、ヒタキさん」
「大きいことはいいことですぞ、ヒバリさん」
「お、おのれぇ……」
ナルの話など完全にそっちのけで、ヒバリとヒタキが自身の胸と絵の胸を見比べている。
俺はメイを抱き上げ、窓辺に向かった。
「めめ!」
「庭園……じゃなくて、休息用の中庭かな?」
「シュ~シュッシュ」
窓から外を覗くと庭が見える。噴水が中央にあり、周りに休息用のベンチが置かれ、何人もが休んでいた。ここは庭木が少なく狭いので、ヒタキの言っていた庭園ではないだろう。
10~20分くらいするとナルも説明を終えたらしい。手をメガホンの形にして大声を出した。
興奮している観光客の世話は大変そうだな。
次に案内されたのは客人用の広い食事部屋で、キラキラした装飾品に溢れており、そのイメージしか頭に残らなかった。
こんなにだだっ広い空間は必要なのか、と妹達が首を捻っている。ヒバリとヒタキは基本くっつくのが好きだからな、仕方ない。
「大広間、ご飯部屋、多目的室に来賓室、ちょっとした休憩スペース、来賓用読書室。2階に上がって鎧とかある自称物置と絵画スペース……むぅー」
ヒバリは煌びやかな装飾品や絵画ばかりで飽きてきたのか、頬をぷっくりと膨らませ、これまで回った場所を呟きながら拗ねる。
「はいはい、ひぃちゃんどーどー」
そんなヒバリを、ヒタキが俺と同じような言葉で諫めていると、ナルがとても楽しそうな笑みを浮かべた。
『目玉は最後まで取っておくものだよね。最後に案内するのは哨戒塔という場所で、この城には4つあるよ。ん、案内する場所が10ヶ所に足りてないって? いやいや哨戒塔だけでなく、そこから見える「景色」も含めて10ヶ所。景色がすごいんだよぉ~』
城の四隅に建っている塔を指差し、誇らしい表情のナル。
他の観光客が拍手をして喜んでいるから、貴重な機会なんだろうか?
少々物足りなさそうにしていたヒバリとヒタキも喜び、歩き出したナルのあとを追った。
俺がメイを持ち上げ直していると、急にヒバリがUターンしてきて、こそこそっと近づいてきた。
どうしたのか聞くと、「哨戒ってなに?」と聞いてくる。
「敵の襲撃を警戒して見張ることだよ」と教えると、納得して、小麦を伴いヒタキの元へ帰っていった。
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