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目を開けるとそこは、アニメで見るようなレンガの家、甲冑を身にまとった人、そして驚きの顔でこちらを見ている、ナイトだった。
「え、ここ、天界……ですか?」
恐る恐るナイトに尋ねてみるとナイトは首をふるふると横に振った。
もう一度周りを見てみる。甲冑を身にまとった人、帽子をかぶり、箒を持っている人、弓矢の練習をしている人。
やはり、ここは俺が考えていた天界ではない。天界ってもうちょいなんか……こうほわほわした感じ(?)みたいなところだと思っていたのに。
「ここは、異世界です。間違って私もきてしまいました。」
「え、天界行きましょうよ。」
「そう簡単にはいかなくて……。ここの街、ホルストのクエストを全クリア、もしくは、ホルスト一の敵を倒すか、どちらかをしなければ、天界へは戻ることができません。」
「え……ええええええええええええええええ!!!???」
クエストを全クリア!?ホルスト一の敵!?無理だ!絶対に無理だ!
まず、ホルストってなんだ!
「てか、俺、背ちっちゃくなってません?」
「へ?あぁ。そうですね。チビ。」
「な"」
うぜえ。何なんだ。この女神。
「まず、質問したいことが、沢山あるんですが。」
「わたしもですよぉ!!!!」
「へ!?」
いきなり、肩を掴まれ、すがられてしまった。ナイトの顔は涙でぐしゃぐしゃになってしまっている。黙っていれば可愛いのに。黙っていれば。あ、あといつも笑っていれば。
「何で!?何でこの女神ナイトが!?こんなクズみたいにチビの男と一緒に異世界に来なきゃいけないの!?確かに、呪文は間違えちゃったけど、私も行くことないでしょ!?もうホームシックになっちゃう!しかもこの男!ダサい!センス無さすぎ!チビ!クズ!カス!ふざけるなぁ!」
女神はそれはもう物凄い勢いで、言い放つとしくしくと泣き始めてしまった。他の人達にじろじろ見られているのだから、泣き止んで欲しいのだが、生憎、チビで、クズで、カスな俺しかいないので(皮肉だ。ドMではない。)泣き止んでくれそうにない。
「おい、今、呪文間違えたって……」
「は?言ったわよ?本当はパラレルワールドヘブン!!!なんだけど、私はパラレルワールドユニバース!!!って言っただけ。でも、あんただけがこの異世界に行って、クエストだの敵だのなんだのしとけばいいじゃない!なのに!なんで、何で何で何で!人々に癒しを与えるこの私が、庶民どもとクエストに行かないといけないのぉ!?最悪っっ!!!」
「おい!ちょっと待て!何が庶民どもだ!貴様ぁ!!」
流石に堪忍袋の緒が切れたっていうか、癒しを与えるとかいう、毒舌女神にああまでいわれるとこっちも黙っていられないっつうか。とりあえず、俺は早く天界へ行きたいわけで。
「おい、よく聞け毒舌。俺は早く天界へ行きたい。だから、もうクエストを全クリアか敵を倒すしか方法がないわけだ。俺はその方法を試して天界へ行く。お前はそこでわんわん泣いて、一生過ごすか、クエスト行って天界へ戻るか、選べ。」
毒舌女神はまさに、究極の選択と言わんばかりに硬直していた。冷や汗を体中にかいている。気持ち悪。
すると、急に立ち上がり、涙を拭いた。
「分かった。私はこのチビと一緒にクエストに行く。こんなところで泣いててもね。私だって、天界へ戻りたいもの。これからよろしくね、“チビサム”。」
は?
「なっ!これから一緒にクエストに行くこの俺に向かってチビサムとはなんだ!俺の名前は治だ!」
「あら。いいじゃない。あだ名があった方が呼びやすいし。」
「だからってチビサムはないだろ!毒舌。」
「あんたがチビだからチビサムって言ってんでしょ!!あと、私の事毒舌って言わないで!私の名前はナイト。癒しを与える女神なの!!それを毒舌なんていい度胸してんじゃない」
「女神がケンカ売ることなんて、あるんだな。毒舌しか言えねえのかと思った」
「はあ!?」
こうして、俺の異世界ライフは幕を開けたものの、その道のりは険しく感じられるのだった。
「え、ここ、天界……ですか?」
恐る恐るナイトに尋ねてみるとナイトは首をふるふると横に振った。
もう一度周りを見てみる。甲冑を身にまとった人、帽子をかぶり、箒を持っている人、弓矢の練習をしている人。
やはり、ここは俺が考えていた天界ではない。天界ってもうちょいなんか……こうほわほわした感じ(?)みたいなところだと思っていたのに。
「ここは、異世界です。間違って私もきてしまいました。」
「え、天界行きましょうよ。」
「そう簡単にはいかなくて……。ここの街、ホルストのクエストを全クリア、もしくは、ホルスト一の敵を倒すか、どちらかをしなければ、天界へは戻ることができません。」
「え……ええええええええええええええええ!!!???」
クエストを全クリア!?ホルスト一の敵!?無理だ!絶対に無理だ!
まず、ホルストってなんだ!
「てか、俺、背ちっちゃくなってません?」
「へ?あぁ。そうですね。チビ。」
「な"」
うぜえ。何なんだ。この女神。
「まず、質問したいことが、沢山あるんですが。」
「わたしもですよぉ!!!!」
「へ!?」
いきなり、肩を掴まれ、すがられてしまった。ナイトの顔は涙でぐしゃぐしゃになってしまっている。黙っていれば可愛いのに。黙っていれば。あ、あといつも笑っていれば。
「何で!?何でこの女神ナイトが!?こんなクズみたいにチビの男と一緒に異世界に来なきゃいけないの!?確かに、呪文は間違えちゃったけど、私も行くことないでしょ!?もうホームシックになっちゃう!しかもこの男!ダサい!センス無さすぎ!チビ!クズ!カス!ふざけるなぁ!」
女神はそれはもう物凄い勢いで、言い放つとしくしくと泣き始めてしまった。他の人達にじろじろ見られているのだから、泣き止んで欲しいのだが、生憎、チビで、クズで、カスな俺しかいないので(皮肉だ。ドMではない。)泣き止んでくれそうにない。
「おい、今、呪文間違えたって……」
「は?言ったわよ?本当はパラレルワールドヘブン!!!なんだけど、私はパラレルワールドユニバース!!!って言っただけ。でも、あんただけがこの異世界に行って、クエストだの敵だのなんだのしとけばいいじゃない!なのに!なんで、何で何で何で!人々に癒しを与えるこの私が、庶民どもとクエストに行かないといけないのぉ!?最悪っっ!!!」
「おい!ちょっと待て!何が庶民どもだ!貴様ぁ!!」
流石に堪忍袋の緒が切れたっていうか、癒しを与えるとかいう、毒舌女神にああまでいわれるとこっちも黙っていられないっつうか。とりあえず、俺は早く天界へ行きたいわけで。
「おい、よく聞け毒舌。俺は早く天界へ行きたい。だから、もうクエストを全クリアか敵を倒すしか方法がないわけだ。俺はその方法を試して天界へ行く。お前はそこでわんわん泣いて、一生過ごすか、クエスト行って天界へ戻るか、選べ。」
毒舌女神はまさに、究極の選択と言わんばかりに硬直していた。冷や汗を体中にかいている。気持ち悪。
すると、急に立ち上がり、涙を拭いた。
「分かった。私はこのチビと一緒にクエストに行く。こんなところで泣いててもね。私だって、天界へ戻りたいもの。これからよろしくね、“チビサム”。」
は?
「なっ!これから一緒にクエストに行くこの俺に向かってチビサムとはなんだ!俺の名前は治だ!」
「あら。いいじゃない。あだ名があった方が呼びやすいし。」
「だからってチビサムはないだろ!毒舌。」
「あんたがチビだからチビサムって言ってんでしょ!!あと、私の事毒舌って言わないで!私の名前はナイト。癒しを与える女神なの!!それを毒舌なんていい度胸してんじゃない」
「女神がケンカ売ることなんて、あるんだな。毒舌しか言えねえのかと思った」
「はあ!?」
こうして、俺の異世界ライフは幕を開けたものの、その道のりは険しく感じられるのだった。
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