異世界へようこそ!

野上葵

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「へ?デブ?」

今、自分の事、デブって……。しかも、唯一の剣冒険者って……。俺、剣冒険者なんだけど。

「デイヴだ!!このデイヴ様に噛みつこうものなら、後で痛い目を見るぞ?」

痛い目とか……。いやいや、痛いのはそっちだから。

「何故引いた目をしている?わかったぞ!このデイヴ様に恐れおののいているのだな!ひ弱な奴め。すぐに叩きのめすまでだ!!」

これは……。少し面倒くさい人と対戦相手になってしまったな……。

「計算外なのです……。あそこまで、幻覚を見ている人は初めて見たのです」
「デイヴ……。スキル……強い」
「え?そうなのかノヴィア。てか、お前何話ぶりに喋った?」
「8話から……。喋ってない……」
「もう少し、話せよ。まあいいか。デブはスキルが強いのか。となると厄介だなこっちの勝利の確率が下がってしまう」

何か1つ持って行かれてしまうと、このパーティーは致命的に弱くなる。誰かが欠けてしまえば、そこで試合終了なのだ。

『じゃあ、ルールを説明するね!たけもんの話をよーく聞いてね!ルールを破ったら、お仕置きが待っているよ!』

たけもんの目が少しどす黒くなる。なんか、このぬいぐるみ怖い……。

『基本的にはサッカーとは変わらないんだけど、スキルを使ってボールを追いかけてもらいます!先に相手のゴールに入れた方の勝ちだよ!3回勝負で2回勝てば勝利だからね!質問はないかい?』

「ああ!質問などない!さあ、治と言ったか?このデイヴ様と戦おうではないか!」
「いちいち、うるせぇな。あいつ」

『ではいいかい?よーーーいスタート!!!』


<突然ですが、治の妄想世界へ入ります。>
「アクアソード!!!」
「ライトハンド!!!」
「ウルフ!!!」
「ベビーサンド!!!」


「チート!!!」

いーーや!!!ダサい。明らかにダサい。まあ、あのデブのライトハンドも少し……。だが!俺のチートよりは数十倍いい!!なんでまた、あんな名前なんだ!?
ネーミングセンスなさすぎるだろ!?もう……スキルは使わない……。

<治の妄想世界はこれにて、終了となりました。>

「治!なんでスキルを使わないのです!?負けてしまうのです!!」
「いいや!俺は意地でもスキルを使わないからな……。絶対になぁ!!」
「なんでよぉ!相手にボール取られたままで終わるじゃない!!」

「ライトハンド!!!」

『第1回せーんチームデイヴの勝利ーーー!!!さあさあ、チーム治!頑張らないと、先はないぞー?』

やばい……。このままじゃ、物を取られてしまう!!

『第2回せーーん!!!スタート!!!』

「スノーマン!!!」
「な、なんだ!?そのスキル!?」

すると突如、ナイトの前に巨大雪だるまが姿を現した。
どうやら、ナイトのスキルはその雪だるまを自由に操れるらしい。

「レフト!!!」

ナイトの指示通り、雪だるまが進んでいく。

「凄いのです!ナイト!!私も敵を阻止するのです!!ウルフ!!!」
「コン・フォーコ!!!……」

狼のように進む弾と、炎が出る弓矢。いずみとノヴィアも頑張ってくれている。俺も頑張らないといけないのだが、本当に名前的に使いたくない。絶対に。

『第2回せーーん!!!チーム治の勝利!!!おおっと!並んだぞ!?どっちが勝つか見ものだなぁ!!でも、ちょっとだけ休憩を挟むよ!作戦会議にしてもよし、ゆっくり休んでもよし何してもオッケー!!じゃあいくよー?スタートッ!!』

「治!あんた!なんでスキル教えて貰ったのに、今更使えないとか言うのよ!教えて貰った意味ないでしょ!?」
「俺は使いたくないんだ……。名前的に」
「名前なんて、誰も気にしないのです!どんな名前なのですか!?」
「……チート」
「……治……ズル……ダメ」
「さすがにズルはダメですね」
「ほら!こんな空気になるだろ!?だから、俺は意地でも使いたくないんだ!」
「それで、負けてもしらないのです!1つ持って行かれても、それで治はいいのですか!?」
「良くねぇけど……」
「じゃあ、スキルの名前関係なく使うのです。どんな理由でも、勝たないといけないときは勝つのです!!さあ、行くのです!」

そう言われても……。

『休憩タイムしゅーりょー!!じゃあ、最後の試合いくよー!?第3回せーーん!!!スタート!!!』

すぐにデブパーティーは攻撃に出てきた。少し油断していた俺はスタートに出遅れてしまった。ナイト達もスタートに出遅れ、一瞬焦った様な気がした。

「相手のスキルを防ぐのです!ウルフ!!!」
「ゲームなんて、そんな簡単にいかないんだよ。この戦い、デイヴ様の勝利で終わるだろう」

デブがニタリと不気味に笑う。

「プログラムショット!!!」

しまった!敵に囲まれた……。

「こんなに至近距離だとスキルが使えないのです!」

いずみが叫ぶ。

「残念だったな。田中治。悪いが、ここで……」

俺のすぐ近くで爆音が聞こえる。




「ゲームオーバーだ」

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