異世界へようこそ!

野上葵

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スキルを使いに練習場へ!!……と思っていたが、生憎今日は閉まっていたらしく、代わりにクエストに行くことになってしまった。しかも、パズルクエストではなく、スポーツクエスト。サッカーならまだしも、俺はサッカー以外の球技は苦手だし、泳ぐこともできない。

「治は多分使えないわよね。この3人で、なんとか乗り切るしか、方法はないようね!!」
「使えないのはどっちだよ!クズ女神!」
「いい加減やめるのです!こんな底辺な争いをしたって、なんの得にもならないのです!」

いずみの言う通りだ。正論だ。

「しかも、治は使えなくても、ノヴィアがいるのです!大丈夫なのです!」
「だといいわね」

スポーツクエストは、対戦相手がランダムで決まるため、当然相手のスキルは読めないし、初級といえども、上級者がいる事もおかしくない。

「まあ、とりあえず行ってみるか!」

<スポーツクエスト 相手に勝利せよ>

今回の勝負は3回勝負。3回相手と戦って、2回勝てば俺らのパーティーの勝ち。2回勝たなければ、相手に何か1つ持って行かれてしまう。それは、人かもしれないし、物かもしれない。どっちにしろ、持って行かれるのは貧乏人にとって酷な事だ。

「最初はルール説明があって、その後に対戦相手が分かるのです!まあ、普通のスポーツとあまり変わらないので、ルール説明する程ではないのですが」
「サッカーでありますように……サッカーでありますように……サッカーでありますように……」
「何回唱えてんのよ!隣でブツブツ言われたら、気持ち悪いわ!」
「うるせぇな!サッカーが俺の得意競技なんだよ!唱えててもいいだろ!」

クエストをしていないうちからケンカをしていると、ゲートが開いた。

『みーなさーーーーん!!!こーーんにーーちはーーー!』

いきなり、ゲートが開くやいなや小さい子向けの歌のお姉さん的な挨拶の仕方で、熊のぬいぐるみが出てきた。

『あーれー?ご挨拶が聞こえないなー?もう一回行くよーー!?こーーんにーーちはーーー!』

「こーーんにーーちはーーー!なのです!!たけもん!!」
「へ?たけもん?」
「し、知らないのですか!?国民的アイドルぬいぐるみ!たけもんを!」
「いやいやいや。知らねぇし」
「たけもんて何?いずみ。私も知らないわ」
「はあぁぁ!なんたる不覚!後でしっかり教えてあげるのです!今はたけもんの説明を聞くのです!」

国民的アイドルぬいぐるみ(?)のたけもんにスポーツクエストの説明を聞く。

『まず、スポーツクエストの内容はくじ引きで決まるんだ!!くじ引きで決まったスポーツクエストに3回勝負で2回勝てば君たちの勝ちになるよ!ここまではいいかい?』

俺らはこくりと頷く。

『うん!物分りがいい子は大好きだよ!次の説明に進もうか!』

なんだ。上から目線の態度が気にくわないのだが……。熊のくせに。物分りがいい子って。まあ、いいか。次の説明を聞く。

『でも、クエストに失敗しちゃうと、相手のパーティーに何か1つ持って行かれちゃうから、気をつけてねー!!』

ここまでは、いずみに聞いた話だ。

『よし!じゃあ、早速くじ引きをしてみようか!!どのくじ引き方式がいいかな?あみだくじとかガラガラとか、色々あるよ!さあ、どれだい?』

「実質そんな変わりねえだろ。適当に選んで、適当にクエストに行こうぜ。サッカーでありますように……」
「変わりないとは失礼なのです!ここからもうクエストは始まっているのです!ここ数年の間、サッカーが出ているのは、あみだくじなのです!誤って、ガラガラをやってしまうと、命取りになるのです!」
「そんなデータがあるのか……。よし!じゃあ、あみだくじにするか!」
「ちょっと待って!運なら私の方が、誰よりもあるわ!実際、スゴロククエストでは全勝の記録を持っているのよ!」

ぜ、全勝!?いやでも、1回行って勝ったのかもしれないし……。

「だから、任せて!私行ってくる!」
「お、おい!ナイト!待て!!!」

俺の声を無視してたけもんのとこに寄って行き、あみだくじを引いた。何が出るか、不安が大きい。あ、戻ってきた。

「お望み通り、サッカーですよ?」
「え!?本当だ……。すげえ」
「へへん!女神を侮らないでよね!」

『じゃあ、クエストに行ってからゲームの説明をするね!それでは、対戦相手を見てみよー!!』

扉が開き、対戦相手が見える。見るからに弱そうだが、パーティーのリーダーのラスボス感が半端ではない。

「はっ!このデイヴ様と対決するなど、可哀想な奴だ。我が名はデイヴ!この国唯一の剣冒険者だ!!」


「へ?デブ?」

対戦相手は、少しネジが緩んでいたらしい。
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