異世界へようこそ!

野上葵

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<ライフスタイル ホルスト店>
赤い看板が目印のスキル専門店、ライフスタイル。ここでスキルを覚えないと、何処へ行っても全く戦力とならない。しっかり覚えて帰らないと!!
……しかしここ。古いな。まず、看板が落ちかけてたし、蜘蛛の巣張り巡らされてるし。人の気配もない。

「あのーすみませーん……」
「……怖いわよ。治。この、美しい女神様の顔が汚されるじゃない。ここは、男だけで行くべきよ」

スキルも何も使えなくて、朝はいっつも腹出して寝て、しかもいずみの和菓子を唯一の楽しみにしてるこの、クズ女神が汚されたとか今更すぎて(笑)。

「じゃあ、使えないクズ女神はここでまってろよ」
「使えないとは何よ!もういいわ!私が先頭を歩くわ」

それなら、最初からそうしとけよ。面倒だろうが。

「本当に人がいないのですね。ここまでいないと逆にびっくりしてしまうのです」
「あれ?おい、いずみ。ノヴィアはどこ行ったんだ?」
「ノヴィアは怖いものにはめっぽう弱いので、看板を見た瞬間どこかに走り去ってしまったのです。まあ、ノヴィアは昔からこうなので、珍しくはないのですが」
「ふん!怖いから逃げ出すなんて、素人がやることね。この女神様がいるというのに」
「お前を信用してねえから逃げたんだろ」
「は、はあ!?言っとくけど……」

何か、言っているみたいだが、先を急ごう。早く俺は、スキルを覚えたいんだ。

「ん?何コレェェェエ!!??」
「が、骸骨なのです……」

骸骨!?こんなとこに!?……やべえ。普通に帰りたいんだが。俺も少し、怖いのは苦手だ。お化け屋敷に入れないくらい……。すると、急に低い声が聞こえてきた。

「何か用かい?」
「ひぃぃいいいぃ!!!治!!絶対幽霊!幽霊だってぇ!!」
「幽霊とは失礼だねぇ。こう見えても、正真正銘の人間だよ」

名前も知らない、仮面を着けた男はどこからともなく現れ、また消える動作を繰り返している。これも、スキルなのだろうか。

「あの、俺、スキルを覚えに来たんですけど……」
「スキル?ああ。タダでは教えられないねぇ」
「え、コイン?」

もうおれの財布の中にはコインは入っていない。そんな中で、コインを交換条件に出されてしまうと、スキルを覚えられない。

「いやいや、僕はそんな高価なもの……望んではいないなよ」
「じゃあ、どうすれば……」
「では、少しあちらで話そうか」
「え」

指を指した先には、のれんがあり、奥に進めば多分、部屋がある仕組みになっていると思うんだが……。話って何だ……。余計に怖くなったじゃないか。

「勿論無理にとは言わない。けれど、スキルを覚えたいのなら、交換条件はこれだね。あぁ、2人で話すから。さぁ、どっちにするのかい?」
「も、もちろん!話すくらいなら」

なんかされそうで、怖いんだが……。まあ、とりあえず一緒についていくか。

「では、お連れのお客さんはそこら辺に腰掛けといて。ああ、言っておくが、2人で話すんだ。絶対、中を覗いてはいけないよ?いいかい?
中を覗けば、お前ら全員骸骨にするからな」

こ、怖……暗い道を通り、のれんをくぐる。

「治大丈夫かしら。変な事とかやられないわよね?」
「多分大丈夫なのです。パーティーの中で1番の変態は治なのです。少々痛い目を見ても、良いと思うのです」
「そうね……。それもそっか!まあ、治なら大丈……」


「うぅおわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!????」


「へ!?治!?」
「中で何があったのです!?」

つ、疲れた……。少し話しただけでは済まされなかったぞ……。あ、中で何があったかは、ご想像におまかせします。

「あぁ。君と話したら少し長くなってしまったよ。面白かったからねぇ。リアクションが」
「あれは、リアクションの問題ですか。もう、俺……、疲れました」
「あぁ。すまないね。よし。スキルをあげようか。さっき話をしていて君がどんな人なのか、調べさせて貰ったよ。田中治、剣冒険者だね?剣冒険者で君のレベルだと……、
【チート】っていう、スキルがおすすめだよ?」

え、チート?なんか、ズルしてるみたいで、嫌なのだが……。

「チートって、どんなスキルなんですか?」
「あぁ。それは、貰ってからのお楽しみ。使いたい時にはスキルの名前を叫べば、スキルは使えるよ。練習してから、ちゃんとクエストに行くんだ。いいかい?」
「はい。分かりました」

こうして、スキルを貰って帰った俺はまた、あの練習場へ行くのだった。

「クエストはいついくのです!?治!!」

クエストは……。まあ、いつか行くだろう。
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