異世界へようこそ!

野上葵

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「もう一度フォールダークネスと戦っていただきます」

笑顔で言われた言葉になぜか俺は重みを感じた。もう一度……フォールダークネスとぉ!?

「え。死にますか?」
「場合によっては(ハート)」

また死ぬの!?また!?それ死んだと仮定して、合わせて何回目になるんだよ!3回くらい!?いや、それより前にもっと死んでるかもしれない!

「あなたは強くてニューゲームが出来る体質と異世界で診断されています」
「いつ!?」
「さっき。あなたが死んでからです。覚えてないでしょう?病院に連れて行かれたこととか」
「全く!」

そんな診断されてても分からないから!知らないから!ていうか、いつ俺が診断してくださいって言ったよ!誰に!誰にそう言ったんだよ!

「まあまあ、そう気に病まずに。ゆっくり考えていきましょうよ」
「そう言われても気に病むのは気に病みます。ゆっくり考えれないし。時間ないから」
「そうやっていつまでも言い訳ばっかりしていいんですか?いずみにも嫌われますよ?」
「なんでいずみ限定なんですか。ノヴィアもいるのに」
「ノヴィアは前からあなたのことが嫌いと言っていました。ただ、ノヴィアはツンデレ要素があるので本当かは分かりませんが。そしていずみは、何よりあなたを少しばかり尊敬していたのです。全く可哀想に」
「今なんて言いました?死人に対して扱い酷くないですか?」
「酷くはないです。これくらいどこの女神でも言ってますし」
「嘘だ」
「あながち嘘ではないんですよ。この世の中はね」

嘘だろ。嘘にしか思えない。でも、もし本当ならいずみに悪いことをしてしまった。状況を整理すると、フォールダークネスの幹部のあのルイナとやらに殺されて、異世界の方にいずみを置いてきたわけだ。尊敬されていたにもかかわらず、なんてことを……。

「この世の中があながち嘘ではないならこの前の話の嘘告はなんだったんですか」
「だからあれも“好きだった”なので、嘘ではありません。嘘であんなこと言うなんて、私には到底出来ませんから。自分を童○とか言う奴に告白なんて」
「やっぱり酷い」
「男性にはこのくらい言っても良いんです。軽く捉えるから」
「その噂は何の本で読んだんですか。ていうか誰から聞いたんですか」
「今、私の中で考えました。あなたの前の異世界生活からずっと少しは考えろ的なことを言われていたので。考えさせていただきました」
「考える方向性、間違ってますよ」
「まあ、いいじゃないですか。それで決まったんですか?心の方は」
「え……いきなり……?」

決まってないけど、フォールダークネスを倒さずに天国に行くのはごめんだ。やっぱり、倒してから天国に行きたい。そのためには異世界に行くしか方法はないのか。またいずみに会うことになるな。ノヴィアにも、ルイナにも、誰だっけ?あの……あ!デブ!デブにも。あとスキル専門店のユーリさんにも会うことになる。てか、会いたい。ここまで来てそのまま天国送りはごめんだ。

「決まりました。異世界へ、飛ばしてください」
「戻れる保証はありませんよ?」
「決まったって言ってるんです。俺の気が変わらないうちに早く、飛ばしてください。いろんな人にさよならの1つも言わずに殺されちゃったんだから」

いずみにもありがとうしか言ってない。ノヴィアとデブに至ってはさよならの1言もかけていない。今度こそ、フォールダークネスに勝って、ちゃんと天国に行く。天国じゃなくても、とりあえず安全な場所に行く。でもまず先に、フォールダークネスの討伐だ。あとユーリさんにも仕打ちを……!!!許さん。あの見捨て方はなかったぞ。ユーリさん。

「決まりですね……。あといい加減、敬語やめません?調子狂っちゃう」
「それもそうだな。ここくらいしか、ナイトを女神としてみないから、敬語にしたほうがいいと思ったんだが……。まあ、気にすることもないか」
「はあ!?この私は可愛くて、清純な女神様なのよ!ここくらいしかなんて言わないで」

自分で可愛いとか言っている時点で、もう清純ではない。そう思うのは俺だけなのだろうか。いや、絶対違う。

「これ……場合によっては死ぬんだよな……」
「そうよ。でも、大丈夫!またやり直せるから!」
「やり直したくないから死にたくないんだよ……銃痛いし。貫通したら視界が真っ暗になるんだよ!だからなるべく死にたくないっていうか絶対死にたくない!」
「それは治じゃなくても、皆同じ考えよ。死にたくないなんて、皆言うわ。それくらい」
「ちなみにさ。強くてニューゲームして、助かった人どれくらいいるの?」
「ざっと数えて、2桁いくかいかないかくらいね。まあ、治なら支えのこの女神ナイト様もいるから、死ぬ確率はグンと下がるんだけど」
「ナイトだと心配すぎるな。2桁いくかいかないかって……。どうしようもなく少ないな。母数が少ないとかか?」
「いいえ。えっと……300人くらいかしらね。挑戦したのは。治はこの300人の1人になれるのかしらね。楽しみだわ」

ニヒヒとナイトが不気味な笑い声を発する。300分の10は無理があるぞ……。でもまあ、決めたことだ。行くぞ!

「パラレルワールドユニバース!!!」

光に包み込まれ、俺らは異世界へ旅立った。今気がついたが、エクスカリバーを取られたままだった。

******
少しキャラ崩壊回でした。可愛いナイトを想像して書くより、ワガママなナイトを書く方が自分自身楽しくて楽しくて仕方ありません。いずみちゃんは次くらいに再登場です。最近、いずみちゃんの絵をよく描きますが、壊滅的な絵すぎて、自分の絵に恐怖を覚えています。
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