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9.鈴蘭のためにできること
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昨日の「何が悪いのやら」といった態度とはまったく違う姿に、鈴蘭は驚いていた。
「もしかして、陽乃葉ちゃんが……?」
「さあ? あたしはなにも」
ウソでーす。あたしが仕掛けました。
――昨日のできごとを思い返す。
学校に戻り、あたしは真面目に六時間目の授業を受けつつ、作戦を考えた。
ひとつめは、野澤に謝罪させること。
自分がなにをしたか、ちゃんと理解してもらいたかった。
ただ口だけで謝ってもらうだけでは、また同じことの繰り返しになりそうだもんね。
そのために、あたしは委員長であることと、にじいろで働いていることを生かし、放課後に情報収集をすることにした。桐ケ谷にも協力してもらい「野澤の知られたくない秘密」を探ったわけ。
秘密にしているはずなのに、人の口っていうのは軽い。あっさりと「ここだけの話なんだけど……」と、複数の情報提供者があらわれた。
そこで得た野澤の秘密から、本人にダメージがありそうなものを厳選。そして「バラされたくなければ明日鈴蘭に謝罪しろ」とやさしくおねがいしたんだよ。やさしくね。ついでに「もし謝罪しないなら、人に知られても良いどうでもいい話題であると判断し、学校および〇〇および〇〇にも言う」って付け加えてね。〇〇の部分は想像にお任せします。真面目な委員長のあたしが脅迫なんてバレるのはまずいからね。
鈴蘭の秘密を暴いたことがいかに辛いことか、わかってくれたみたいで安心したよ、野澤! あんたイイ奴じゃん!
野澤に反省してもらうことはできた。
でもそれだけじゃ、鈴蘭の心の傷は癒えない。
「鈴蘭、謝ってもらったからといって、無理する必要はないからね。受け入れなくてもいいし、学校が怖いなら……」
来なくていいよ、とは気安く言えなかった。
そのかわり、鈴蘭の気持ちが少しでも軽くなる言葉をかけた。これが、鈴蘭にとってうれしい言葉かどうか、やっぱり自信ないけど。それでも、言いたい。
「学校が怖いなら、あたしが守ってあげるから。イヤな目にあったら、すぐ言ってね。あたし、鈴蘭に会いたいから」
あたしの言葉に、鈴蘭はもともと大きな目を丸くした。
「あ、ありがとう……」
鈴蘭はぎゅっとランドセルを抱きしめ、目をうるうるとさせている。
これで、よかったのかな。わからないけど、今の鈴蘭の気持ちを少し軽くすることはできた……と思う。
松井先生が来たので、あたしは席に戻った。
隣では、桐ケ谷があたしを見てニッと笑う。
「かっこいいじゃん、委員長」
「ありがと」
久々に桐ケ谷に委員長と呼ばれ、なんだか恥ずかしくなった。
それからの教室は、次第にいつもと変わりなく過ぎていった。
鈴蘭がぬいぐるみのくーたんを持ってきていたことも、野澤とのトラブルも。あっという間に忘れられていく。
それでいい。
鈴蘭はただぬいぐるみを持ってきていただけで、それ以上の話題なんてない。提供しなければ、みんな忘れていく。
でも、これだけだと鈴蘭の心は癒されないんじゃないかって思う。
だから……あたしができることを、もうひとつ。
あらかじめ、桐ケ谷に協力をおねがいしていたことがもうひとつあるんだ。
無事、放課後まで授業を受けて帰宅しようとしていた鈴蘭に話しかけた。
「鈴蘭、ちょっといい?」
あたしが話しかけると、鈴蘭は少し戸惑ったような笑顔を見せた。
「だ、だいじょうぶだよ、私なら……」
心配かけまいと笑顔を見せる鈴蘭に、胸が痛くなる。そんなに、がんばらなくていいんだよ。
「えっと……協力してほしいことがあって」
協力、という言葉に、鈴蘭は首をかしげる。
そして、あたしの背後に目をやる。
あたしの後ろでは、桐ケ谷が少し離れた場所であたしたちを見ている。
「桐ケ谷もいっしょ。まぁ鈴蘭の悪いようにはしないから」
悪党みたいなセリフを言ってしまった。
鈴蘭は、怯えた表情になる。
安心させるつもりが、鈴蘭をよけいに怖がらせてしまったかもしれない……。
「もしかして、陽乃葉ちゃんが……?」
「さあ? あたしはなにも」
ウソでーす。あたしが仕掛けました。
――昨日のできごとを思い返す。
学校に戻り、あたしは真面目に六時間目の授業を受けつつ、作戦を考えた。
ひとつめは、野澤に謝罪させること。
自分がなにをしたか、ちゃんと理解してもらいたかった。
ただ口だけで謝ってもらうだけでは、また同じことの繰り返しになりそうだもんね。
そのために、あたしは委員長であることと、にじいろで働いていることを生かし、放課後に情報収集をすることにした。桐ケ谷にも協力してもらい「野澤の知られたくない秘密」を探ったわけ。
秘密にしているはずなのに、人の口っていうのは軽い。あっさりと「ここだけの話なんだけど……」と、複数の情報提供者があらわれた。
そこで得た野澤の秘密から、本人にダメージがありそうなものを厳選。そして「バラされたくなければ明日鈴蘭に謝罪しろ」とやさしくおねがいしたんだよ。やさしくね。ついでに「もし謝罪しないなら、人に知られても良いどうでもいい話題であると判断し、学校および〇〇および〇〇にも言う」って付け加えてね。〇〇の部分は想像にお任せします。真面目な委員長のあたしが脅迫なんてバレるのはまずいからね。
鈴蘭の秘密を暴いたことがいかに辛いことか、わかってくれたみたいで安心したよ、野澤! あんたイイ奴じゃん!
野澤に反省してもらうことはできた。
でもそれだけじゃ、鈴蘭の心の傷は癒えない。
「鈴蘭、謝ってもらったからといって、無理する必要はないからね。受け入れなくてもいいし、学校が怖いなら……」
来なくていいよ、とは気安く言えなかった。
そのかわり、鈴蘭の気持ちが少しでも軽くなる言葉をかけた。これが、鈴蘭にとってうれしい言葉かどうか、やっぱり自信ないけど。それでも、言いたい。
「学校が怖いなら、あたしが守ってあげるから。イヤな目にあったら、すぐ言ってね。あたし、鈴蘭に会いたいから」
あたしの言葉に、鈴蘭はもともと大きな目を丸くした。
「あ、ありがとう……」
鈴蘭はぎゅっとランドセルを抱きしめ、目をうるうるとさせている。
これで、よかったのかな。わからないけど、今の鈴蘭の気持ちを少し軽くすることはできた……と思う。
松井先生が来たので、あたしは席に戻った。
隣では、桐ケ谷があたしを見てニッと笑う。
「かっこいいじゃん、委員長」
「ありがと」
久々に桐ケ谷に委員長と呼ばれ、なんだか恥ずかしくなった。
それからの教室は、次第にいつもと変わりなく過ぎていった。
鈴蘭がぬいぐるみのくーたんを持ってきていたことも、野澤とのトラブルも。あっという間に忘れられていく。
それでいい。
鈴蘭はただぬいぐるみを持ってきていただけで、それ以上の話題なんてない。提供しなければ、みんな忘れていく。
でも、これだけだと鈴蘭の心は癒されないんじゃないかって思う。
だから……あたしができることを、もうひとつ。
あらかじめ、桐ケ谷に協力をおねがいしていたことがもうひとつあるんだ。
無事、放課後まで授業を受けて帰宅しようとしていた鈴蘭に話しかけた。
「鈴蘭、ちょっといい?」
あたしが話しかけると、鈴蘭は少し戸惑ったような笑顔を見せた。
「だ、だいじょうぶだよ、私なら……」
心配かけまいと笑顔を見せる鈴蘭に、胸が痛くなる。そんなに、がんばらなくていいんだよ。
「えっと……協力してほしいことがあって」
協力、という言葉に、鈴蘭は首をかしげる。
そして、あたしの背後に目をやる。
あたしの後ろでは、桐ケ谷が少し離れた場所であたしたちを見ている。
「桐ケ谷もいっしょ。まぁ鈴蘭の悪いようにはしないから」
悪党みたいなセリフを言ってしまった。
鈴蘭は、怯えた表情になる。
安心させるつもりが、鈴蘭をよけいに怖がらせてしまったかもしれない……。
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