【R-18】【挿絵アリ】倒錯乙女と百合の華~親に棄てられたけど、巨乳幼馴染がいるので幸せです~

四瀬

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素直は大事?

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 やがて補習も終わり、空が夕焼けに染まりきった頃。
 委員長は用事があるとかで足早に帰っていった。
 そんな委員長を見送って、私も支度を済ませ教室を後にする。
 グラウンドから聞こえる運動部の掛け声をBGMに、一人考え事をしながら歩いていると、扉が開いたままの空き教室が目に入った。
 普段は特に気にしないのだけど、何故か今日に限って興味が湧いたのだ。
 別段何か、奇声が聞こえてきたわけでもなく、興味を惹かれるよな事は一切ないはずなのだけど。

 夏休み、人気のない静かな校舎の空気が、追試で疲れた私をそうさせたのかもしれない。

「誰か居るのかな……こんな夏休みに」
 興味本位で私は覗いてみる。すると奥で、一人の男性が何やら書類を書いていた。
 こちらの視線に気づいたのか、すぐに振り向き、私と目があう。
「あっ……」
「おや、もしかして部活見学の子かな? ごめんごめん、気づかなかったよ」
 シャーペンを置き、そう申し訳なさそうに語りながら、こちらに近づいてくる男子生徒。
「あっいや……その」
 深みのある黒い髪、端正な顔立ちに黒メガネ。語彙力が低くて申し訳ないが、正直かなり整った顔つきで、私は言葉が出なかった。
 何というか、オーラで圧倒されたというか……凄く、恥ずかしい限りである。
「気づけなくて申し訳ない。一年生? 名前は?」
「えっと……その、一年生の七瀬美紀です」
「ふむ、良い名前だね。さぞ良い両親がつけてくれたんだろう」
「ありがとうございます、それはお世辞でも嬉しいです」
 彼の言葉に、私は素直にお礼を返す。名前を褒めてもらえる事は、私にとって非常に嬉しい事なのだ。
 これが唯一の、両親との繋がり……だから。
 それで軽く心を許してしまったからか、気付いたら部屋の中に案内され、席に座っている自分がいた。
「何、私はお世辞は言わないさ。これでも、正直をモットーに生きているのでね」
「は、はぁ。それは凄いですね」
「さて、今日はどんな理由で、ここを見学しに来てくれたのかな?」
 一通り世間話のようなものが終わり、とうとう一番答えにくい質問が来た。
「いやぁその、ただ覗いてただけと言いますか……」
 私もこの人に見習って、正直に言ってみよう。
「……そうだったのか。それは悪い事をしたね」
 見るからに落ち込んでしまった。この様子だと、部員が居ないんじゃないかとすら思える。
「いえ、ちょうど追試終わりでしたので……」
「追試? ふむ、もしかして君……頭が悪い人かな?」
 包み隠さずストレートにそう聞いてくる所に、一周まわって清々しさを感じた私。
「ストレートに言いますね……まあ、そうですけども……」
「ああ、嫌味とかじゃないんだ。正直に言ってしまう癖みたいなものでね、気分を害したのなら謝るよ」
「いえ大丈夫です、慣れてますので」
 普段ドSの隣にいれば嫌でも慣れるさ。下手したらドMに目覚めてしまうんじゃないかってぐらいに。
「……よし、じゃあこうしよう。君が体験入部をして、私が勉強を教える、良い案じゃないか?」
 ああ、この人友達居ないんだろうな……それか部活一人だけなんだろうな……私がそう思った瞬間だった。
「いやぁ、私的には追試の後に、更に勉強なんて苦行でしかないです」
 正直、嫌がらせ以外の何物でもない。
「ああ、そうじゃないよ。追試の時間、私が面倒見ようと思ってね。担当は茜先生だろ? なら話は簡単さ」
「えっ? でもそんな事、一生徒が出来るわけ……」
「ふふ、意外とそうでもないんだなこれが。どうする、君の答え次第では、今すぐ許可を取ってこれるぞ」
「そんなまさか……ハハハ。じゃあ体験入部するんで、先生から許可もらってきて下さいよー」
「そうか受けてくれるか、それはありがたい。なら、今すぐ行って来よう」
 そう言い、支度を始め本当に言いに行ってしまった。
「え、えぇ……まさか本当にやれるの? いや、そんなわけ……」
 少々不安を覚えつつも、私は一人窓の外を見ながら黄昏ていた。



 それから十分もしないうちに戻ってきて、彼は私に許可が下りたことを伝えてきた。

「約束通り、許可は貰ってきたぞ。さて早速体験入部を始めるか」
「う、うわぁ本当にもらってきた……書類までしっかり書いてある。い、一体何者なんですか貴方?」
 あまりの凄さに驚嘆し、思わずそう問いかけた私。
「そういえば自己紹介が遅れたね。二年の如月きさらぎりゅうだ。この部活支援部の部長であり、生徒会の会長を務めている」
 わざとらしく、メガネをくいっと人差し指で持ち上げながら、どこか姫華にも似た笑みを浮かべ、そう答える。

 そう、今思えば……これが如月先輩との出会いだった。
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