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第二章「様子のおかしい傀儡姫」
第152話 野次馬三人娘
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時は少々巻き戻る。イサベルを残して教室を出た梓織は廊下を階段まで静かに歩き、そこから全速力で駆け下りた。
「早くっ!しなきゃ!」
イサベルが少し呆けてくれていたおかげで生徒はほとんどいない。一分と掛からず魔術科棟から飛び出した。
ローブの下に普段はあまり穿かないスキニーパンツを穿いてきたのも功を奏した。
そのまま、小走りでカフェテリアの朝と同じ席に向かう。
「おーい!梓織ちゃーん!」
テラス席では先に教室を後にしていたアメリアと愛元の二人が待っていた。
「はあっ!はあっ!ごめんなさい!遅くなったわ!」
「はいはーい、早速はじめますぞー!梓織どのはアメリアどのに繋げてくださーい!」
「はいはい」
梓織が二人の間の椅子に座ると同時に愛元が両目を閉じる。
遅れて梓織が愛元とアメリアの肩に手を置いて眼を閉じ、最後にアメリアが眼を閉じた。
「それではー、”天眼通”―!むーん、ですぞー」
愛元の両の瞳に魔力が集中する。天眼通とは仙人が身につける超人的力、”六神通”の一つで要は”千里眼”のことだ。
「…………”他心通”発動」
愛元に続いて梓織も術を発動する。”他心通”は”天眼通”と同じく”六神通”の一つで”他人の心を読み取る読心術”である。これを応用すれば自分を通して他人の見たものや聞いたものを第三者にも伝えることが出来る。
つまり、今は愛元が見た光景を梓織を通してアメリアも見ている状態だ。
本当は音も拾いたかったのだが、「そこまでやっては不味い」という三人一致の意見で盗み見するだけとなった。
さて、三人娘は何を盗み見ようとしているのか、閉じた視界が徐々に明るくなり、光景が形成されていく。
「おお!見えたっス!」
「しっ!集中が途切れるわ」
「ご、ごめんなさいっス…………」
それっきり三人は言葉を発さなくなる。
周りから見ればここが魔導学園だとしても誠、奇妙な様子である。ひそひそと行き交う生徒たちに見られているが三人にとってはどうでもいいことだ。
今、まさに共有されて三人の目に映っているのは教室で二人きりになっているイサベルと双魔だった。
「…………」
「…………」
「…………」
三人そろって固唾を飲んで見守る。今は丁度話しはじめた頃だろうか。顔の赤いイサベルが双魔から少し離れて何かを話している。
(…………あちゃー)
が、梓織の予想通りイサベルは赤い顔のまま段々と顔が下に向いてしまっている。
一方、双魔はイサベルの話を聞いてか何かを考えているかのようにこめかみを親指でグリグリと刺激している。授業中に限らず、よく見る双魔の癖だ。
(…………あらー、これはどうなりますかなー)
少し間が空いた。そして、双魔が何かを思いついたのか上半身を前傾させる。
「おおー!」
アメリアが思わず声を上げた。この歓声は梓織と愛元の気持ちをも代弁していた。
顔を上げたイサベルと双魔の顔が少し動けば触れてしまいそうなほど接近したのだ。
(…………えええ!?噓でしょ!)
(こっ、これはー…………)
「ええー!」
次の瞬間、三人は心の中、若干一名アメリアだけは普通に声を上げてしまっているが、驚きの声を上げた。
それもそのはず、角度的によく見えず、何が起きたのかの断定は難しいが、イサベルと双魔の顔が完全に重なった。
声は聞こえないので判断は難しいが、過激に取ればキスシーンを目撃してしまったのかもしれない。
(ど、どういうこと!?)
(むむ…………)
「ひゃー!アタシもう見てられないっス!」
「あっ!ちょっと!」
「あらー」
耐え切れなくなったアメリアが勢いよく席を立った。その衝撃で愛元と梓織の集中が途切れ、術が解除されてしまった。
「…………はあー」
「…………はあー、であります」
目を開いた梓織と愛元は顔を見合わせてため息をついた。
「…………アメリア」
「だ、だって!しょうがないっス!あんなの見ちゃダメっスよ!」
アメリアは顔を真っ赤にして両手をブンブンと振りながら弁解する。
「ま、まあ?確かに……そうね…………」
少し前まで脳裏に浮かんでいたイサベルと双魔の姿を思い出して梓織の顔も少し赤くなった。
「イサベルどのが心配なのは分かりますがー、今回はやりすぎでしたなー」
愛元がテーブルの上に放置されてすっかり冷めたココアをちびりちびりと飲みながらあっけらかんと言った。
「愛元ちゃんが一番ノリノリだったじゃないっスか!」
「そうでしたかなー?」
「何はともあれ…………結果はベルから聞いて貴方たちにも教えるわ」
「はいはーい、まあ、伏見どのはお優しいですから万が一はないと思いますがー、イサベルどのの介抱は梓織どのにお任せしますぞー」
「そ、そうっス!梓織ちゃん!よろしくっス!」
「…………はあー…………分かったわ。それじゃあ、今日はもう帰りましょう」
「そうしましょー」
「はいっス!」
三人は席を立つとテーブルの上を片付けて下校することにした。
学園の門を出て、分かれ道でアメリアと愛元と分かれた梓織はイサベルを迎えるために足早に寮へと向かうのだった。
「早くっ!しなきゃ!」
イサベルが少し呆けてくれていたおかげで生徒はほとんどいない。一分と掛からず魔術科棟から飛び出した。
ローブの下に普段はあまり穿かないスキニーパンツを穿いてきたのも功を奏した。
そのまま、小走りでカフェテリアの朝と同じ席に向かう。
「おーい!梓織ちゃーん!」
テラス席では先に教室を後にしていたアメリアと愛元の二人が待っていた。
「はあっ!はあっ!ごめんなさい!遅くなったわ!」
「はいはーい、早速はじめますぞー!梓織どのはアメリアどのに繋げてくださーい!」
「はいはい」
梓織が二人の間の椅子に座ると同時に愛元が両目を閉じる。
遅れて梓織が愛元とアメリアの肩に手を置いて眼を閉じ、最後にアメリアが眼を閉じた。
「それではー、”天眼通”―!むーん、ですぞー」
愛元の両の瞳に魔力が集中する。天眼通とは仙人が身につける超人的力、”六神通”の一つで要は”千里眼”のことだ。
「…………”他心通”発動」
愛元に続いて梓織も術を発動する。”他心通”は”天眼通”と同じく”六神通”の一つで”他人の心を読み取る読心術”である。これを応用すれば自分を通して他人の見たものや聞いたものを第三者にも伝えることが出来る。
つまり、今は愛元が見た光景を梓織を通してアメリアも見ている状態だ。
本当は音も拾いたかったのだが、「そこまでやっては不味い」という三人一致の意見で盗み見するだけとなった。
さて、三人娘は何を盗み見ようとしているのか、閉じた視界が徐々に明るくなり、光景が形成されていく。
「おお!見えたっス!」
「しっ!集中が途切れるわ」
「ご、ごめんなさいっス…………」
それっきり三人は言葉を発さなくなる。
周りから見ればここが魔導学園だとしても誠、奇妙な様子である。ひそひそと行き交う生徒たちに見られているが三人にとってはどうでもいいことだ。
今、まさに共有されて三人の目に映っているのは教室で二人きりになっているイサベルと双魔だった。
「…………」
「…………」
「…………」
三人そろって固唾を飲んで見守る。今は丁度話しはじめた頃だろうか。顔の赤いイサベルが双魔から少し離れて何かを話している。
(…………あちゃー)
が、梓織の予想通りイサベルは赤い顔のまま段々と顔が下に向いてしまっている。
一方、双魔はイサベルの話を聞いてか何かを考えているかのようにこめかみを親指でグリグリと刺激している。授業中に限らず、よく見る双魔の癖だ。
(…………あらー、これはどうなりますかなー)
少し間が空いた。そして、双魔が何かを思いついたのか上半身を前傾させる。
「おおー!」
アメリアが思わず声を上げた。この歓声は梓織と愛元の気持ちをも代弁していた。
顔を上げたイサベルと双魔の顔が少し動けば触れてしまいそうなほど接近したのだ。
(…………えええ!?噓でしょ!)
(こっ、これはー…………)
「ええー!」
次の瞬間、三人は心の中、若干一名アメリアだけは普通に声を上げてしまっているが、驚きの声を上げた。
それもそのはず、角度的によく見えず、何が起きたのかの断定は難しいが、イサベルと双魔の顔が完全に重なった。
声は聞こえないので判断は難しいが、過激に取ればキスシーンを目撃してしまったのかもしれない。
(ど、どういうこと!?)
(むむ…………)
「ひゃー!アタシもう見てられないっス!」
「あっ!ちょっと!」
「あらー」
耐え切れなくなったアメリアが勢いよく席を立った。その衝撃で愛元と梓織の集中が途切れ、術が解除されてしまった。
「…………はあー」
「…………はあー、であります」
目を開いた梓織と愛元は顔を見合わせてため息をついた。
「…………アメリア」
「だ、だって!しょうがないっス!あんなの見ちゃダメっスよ!」
アメリアは顔を真っ赤にして両手をブンブンと振りながら弁解する。
「ま、まあ?確かに……そうね…………」
少し前まで脳裏に浮かんでいたイサベルと双魔の姿を思い出して梓織の顔も少し赤くなった。
「イサベルどのが心配なのは分かりますがー、今回はやりすぎでしたなー」
愛元がテーブルの上に放置されてすっかり冷めたココアをちびりちびりと飲みながらあっけらかんと言った。
「愛元ちゃんが一番ノリノリだったじゃないっスか!」
「そうでしたかなー?」
「何はともあれ…………結果はベルから聞いて貴方たちにも教えるわ」
「はいはーい、まあ、伏見どのはお優しいですから万が一はないと思いますがー、イサベルどのの介抱は梓織どのにお任せしますぞー」
「そ、そうっス!梓織ちゃん!よろしくっス!」
「…………はあー…………分かったわ。それじゃあ、今日はもう帰りましょう」
「そうしましょー」
「はいっス!」
三人は席を立つとテーブルの上を片付けて下校することにした。
学園の門を出て、分かれ道でアメリアと愛元と分かれた梓織はイサベルを迎えるために足早に寮へと向かうのだった。
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