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第五章「お見合いの行方」
第186話 決闘受諾
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「っ!?伏見君!君も乗る必要はない!やめるんだ!」
それまで全く反応しなかった双魔が突然、決闘を受けるかのような素振りを見せたのでキリルは慌てて制止しようとするが、時すでに遅し。双魔は手袋を手に取ってしまった。
「フハハハハ!腰抜けと思ったが大した度胸だ!この私との決闘を受けるとは!負けると分かっている勝負を受ける物好きがいるとは!フハハハハ!」
オーギュストは双魔が決闘を受けると分かった瞬間、先ほどまでは決闘を受けるように強要していたにもかかわらず、双魔を愚者のように言って嘲笑った。
双魔は騒ぎ立てるオーギュストを相手にせず、拾い上げた手袋を投げつけ返した。
「アンタにイサベルを渡すことはできない……決闘とやらは受けてやる。ただし、こちらからも二つ条件をつけさせてもらう」
「いいだろう、聞いてやる!言ってみろ」
投げつけられた手袋を片手で受け止めたオーギュストは余裕の笑みを浮かべ、手袋を嵌めなおしながら双魔の言葉に頷いた。
「一つ目は決闘責任者としてキリル=イブン=ガビロール氏を立てること」
「ふん、妥当だ。受け入れよう」
オーギュストが受け入れると双魔はキリルの方へ顔を向けた。
「キリル殿……お願いできますか?」
キリルは一瞬、煮え切らないような表情をしたが結局は首肯した。
「うむ……不本意だがこうなった責任は私にあると言っても過言ではない。引き受けよう。それで、君が提示する二つ目の条件はなんだい?」
「決闘となるとある程度の平等性が必要ですので大まかなルールと場所、時間をキリル殿に決めていただきたい」
「……ふむ、オーギュスト君はどうかな?」
「私もそれで構いません」
「そうか……それでは私が諸々決めさせてもらおう。まずは場所だが……イサベル、どこか心当たりはあるかな?」
「わ、私?……そうね……ここと学園の丁度中間あたりに広くてあまり人がいない公園があるから……そこがいいんじゃないかしら?」
本当は学園の闘技場が最善なのだが休日なので今から許可を取るのも難しいだろう。イサベルは思いついた場所を口に出した。
「では、そこにしよう。次に時間だが……私と妻は今日中にブリタニアを出発しなくてはならない。故に時間は午後の四時にする。そして、最後に決着の条件に付いてだが…………今回はあくまで魔術の技量で判断する。相手の手の内や動きを封殺した方が勝者だ。双方の身体や生命を重度に傷つけることは禁止だ。何か、異論はあるかな?」
「いえ、結構です」
「…………私も問題はありません」
双魔は即答したが、オーギュストは少し不満気に少々間を空けての返答だった。
「それではこの場はお開きにしよう。私は少し根回しをしなくてはならないのでね」
「承知しました。……イサベル殿、後程お会いしましょう」
「え、ええ…………」
オーギュストはイサベルに爽やかな笑みを見せると一礼して部屋を後にした。
「じゃあ、僕も行ってくるよ。いい時間だ、ベルはサラとアフタヌーンティーでもしたらいい……伏見くん、君はどうする?」
「自分も少し野暮用がありますので失礼させていただきます」
「そうか……分かった」
「……あっ、双魔君…………」
イサベルは双魔のスーツの袖を掴んで引き留めようとしたが手が届かず、双魔はそのまま父と一緒に部屋を出ていってしまった。
「…………じゃあ、私たちはお茶でもしましょうか」
暫く黙っていたサラがイサベルと二人きりになった途端口を開いた。
「え?あ、うん…………」
「フフフ、何?その気の抜けた返事は?」
緊迫していた空気が突然緩み、言われた通り気の抜けた返事が出たイサベルはへたり込むようにサラの向かいの椅子に腰掛けた。
サラがテーブルの上に置かれたボタンを押す。一分もしない内に部屋と扉がノックされた。
「どうぞ」
サラが返事をするとサロンのボーイが姿を現す。
「どうされましたか?」
「お茶をいただきたいの、準備していただけるかしら?」
「かしこまりました。それと、こちらをお届けするように承りましたので」
「ありがとう」
「それでは少々お待ちくださいませ」
ボーイはサラに封筒を一枚渡すと丁寧に一礼して部屋を後にした。
「それじゃあ、少し話しましょうか」
「え?な、何を?」
困惑するイサベルにサラは悪戯っぽく、大人の茶目っ気を込めた笑みを浮かべる。
「それはもちろん…………ベルとベルの王子様の話よ」
束の間の穏やかな親子の語らいに気を遣ったかのように陽光が窓から差し込んだ。
それまで全く反応しなかった双魔が突然、決闘を受けるかのような素振りを見せたのでキリルは慌てて制止しようとするが、時すでに遅し。双魔は手袋を手に取ってしまった。
「フハハハハ!腰抜けと思ったが大した度胸だ!この私との決闘を受けるとは!負けると分かっている勝負を受ける物好きがいるとは!フハハハハ!」
オーギュストは双魔が決闘を受けると分かった瞬間、先ほどまでは決闘を受けるように強要していたにもかかわらず、双魔を愚者のように言って嘲笑った。
双魔は騒ぎ立てるオーギュストを相手にせず、拾い上げた手袋を投げつけ返した。
「アンタにイサベルを渡すことはできない……決闘とやらは受けてやる。ただし、こちらからも二つ条件をつけさせてもらう」
「いいだろう、聞いてやる!言ってみろ」
投げつけられた手袋を片手で受け止めたオーギュストは余裕の笑みを浮かべ、手袋を嵌めなおしながら双魔の言葉に頷いた。
「一つ目は決闘責任者としてキリル=イブン=ガビロール氏を立てること」
「ふん、妥当だ。受け入れよう」
オーギュストが受け入れると双魔はキリルの方へ顔を向けた。
「キリル殿……お願いできますか?」
キリルは一瞬、煮え切らないような表情をしたが結局は首肯した。
「うむ……不本意だがこうなった責任は私にあると言っても過言ではない。引き受けよう。それで、君が提示する二つ目の条件はなんだい?」
「決闘となるとある程度の平等性が必要ですので大まかなルールと場所、時間をキリル殿に決めていただきたい」
「……ふむ、オーギュスト君はどうかな?」
「私もそれで構いません」
「そうか……それでは私が諸々決めさせてもらおう。まずは場所だが……イサベル、どこか心当たりはあるかな?」
「わ、私?……そうね……ここと学園の丁度中間あたりに広くてあまり人がいない公園があるから……そこがいいんじゃないかしら?」
本当は学園の闘技場が最善なのだが休日なので今から許可を取るのも難しいだろう。イサベルは思いついた場所を口に出した。
「では、そこにしよう。次に時間だが……私と妻は今日中にブリタニアを出発しなくてはならない。故に時間は午後の四時にする。そして、最後に決着の条件に付いてだが…………今回はあくまで魔術の技量で判断する。相手の手の内や動きを封殺した方が勝者だ。双方の身体や生命を重度に傷つけることは禁止だ。何か、異論はあるかな?」
「いえ、結構です」
「…………私も問題はありません」
双魔は即答したが、オーギュストは少し不満気に少々間を空けての返答だった。
「それではこの場はお開きにしよう。私は少し根回しをしなくてはならないのでね」
「承知しました。……イサベル殿、後程お会いしましょう」
「え、ええ…………」
オーギュストはイサベルに爽やかな笑みを見せると一礼して部屋を後にした。
「じゃあ、僕も行ってくるよ。いい時間だ、ベルはサラとアフタヌーンティーでもしたらいい……伏見くん、君はどうする?」
「自分も少し野暮用がありますので失礼させていただきます」
「そうか……分かった」
「……あっ、双魔君…………」
イサベルは双魔のスーツの袖を掴んで引き留めようとしたが手が届かず、双魔はそのまま父と一緒に部屋を出ていってしまった。
「…………じゃあ、私たちはお茶でもしましょうか」
暫く黙っていたサラがイサベルと二人きりになった途端口を開いた。
「え?あ、うん…………」
「フフフ、何?その気の抜けた返事は?」
緊迫していた空気が突然緩み、言われた通り気の抜けた返事が出たイサベルはへたり込むようにサラの向かいの椅子に腰掛けた。
サラがテーブルの上に置かれたボタンを押す。一分もしない内に部屋と扉がノックされた。
「どうぞ」
サラが返事をするとサロンのボーイが姿を現す。
「どうされましたか?」
「お茶をいただきたいの、準備していただけるかしら?」
「かしこまりました。それと、こちらをお届けするように承りましたので」
「ありがとう」
「それでは少々お待ちくださいませ」
ボーイはサラに封筒を一枚渡すと丁寧に一礼して部屋を後にした。
「それじゃあ、少し話しましょうか」
「え?な、何を?」
困惑するイサベルにサラは悪戯っぽく、大人の茶目っ気を込めた笑みを浮かべる。
「それはもちろん…………ベルとベルの王子様の話よ」
束の間の穏やかな親子の語らいに気を遣ったかのように陽光が窓から差し込んだ。
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