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第七章「決闘炎上」
第203話 高みの見物
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「はい、万事そのように。宮廷騎士団と魔術団と歩調を合わせ各学科長を中心に事態に当たるようにとのことです……はい、では健闘をお祈りいたします。それでは」
ガチャリとグングニルが受話器を置く音が窓から差し込む光に照らされた学園長室に響いた。部屋の明かりを灯していないのにこの部屋は昼間とまでは言わないが夕暮れの途中くらいには明るかった。
「…………」
部屋の主、ブリタニア王立魔導学園学園長、ヴォーダン=ケントリスは窓辺にたたずみ外の景色を眺めている。
窓の外にはいつもの街の風景に一つ、強烈な存在感を放つ異物が混じっていた。
巨人だ。全身を烈火に覆われた炎熱の巨人が王宮に向かってゆっくりと確かに歩みを進めている。
そのせいで街は昼間のように明るい。この部屋が明るいのも道理だ。
「ご主人様、全ての教員への指示と王宮、魔術協会、その他への連絡が完了しました」
グングニルが静かにヴォーダンの右後ろに控えた。
「うむ、ご苦労……それにしても、本物だったとは、フォッフォッフォ……抜かったわ」
思い出すのは少々のぼせ上った様子の新米講師が手にした革のトランクだった。
嫌な気配を漂わせていたが、あり得ないと断じた結果がこれだ。長い年月を生きると思考が固くなっていけないとヴォーダンは自嘲気味に笑い声を上げた。
「グングニル、お主はアレをどう思う?」
「はい、力は弱いようですが……ムスペルの巨人で間違いないかと」
「うむ…………」
グングニルの返答を聞いてヴォーダンは何かを考えているかのように伸ばした自慢の髭を撫でた。
「差し出がましいようですが、熱に当てられて起きた火災は兎も角、ムスペル本体の火を消すことが出来る者は限られているのでは?」
「ふむ……そうじゃのう……」
「お出向きなさるのでしたら、お供いたしますが」
「いや、よい。少し見てみたいものがあるでの、しばし様子見じゃ」
「かしこまりました。それと、テムズ川が凍っていて消火作業が順調ではないとの連絡が来ております。炎を扱う人材が乏しいらしく……」
「ふむ……おお、そういえば少し前にキャメロットからあ奴が来ておったじゃろう?」
「ガウェイン卿でしょうか?」
「うむ、うむ。そちらにはあ奴が向かっているじゃろうて。問題なかろう」
「かしこまりました。それでは、ご主人様はこれより如何いたしますか?」
「フォッフォッフォ!様子見じゃといったではないか。本当に事態を見極めてしっかり動く故な。お主は紅茶でも淹れてくれい」
「かしこまりました。各方面から抗議が来た場合も対処しておきます。それでは、少々お待ちください」
グングニルは恭しく首を垂れると背を向けてミニキッチンへと下がっていった。
「フォッフォ!全く出来た遺物よ。さてさて、どうなるか……話を聞くに傍迷惑な身内(・・・・・・)の影がちらつくが…………あ奴は死んだはずなんじゃがのう……よっこらせっと」
ヴォーダンはぶつぶつと独り言を呟きながら椅子に腰を掛ける。
「まあ、それはさておき、我が学園の生徒は上手くやっておるかのう?フォッフォッフォ!特に……伏見双魔はどうかのう?」
老人の白髭に覆われた口元がニンマリと曲がる。
眼帯に覆われていない方の老境にしては澄んだ瞳には王都を焼く巨大な炎が燦々と光を放っていた。
ガチャリとグングニルが受話器を置く音が窓から差し込む光に照らされた学園長室に響いた。部屋の明かりを灯していないのにこの部屋は昼間とまでは言わないが夕暮れの途中くらいには明るかった。
「…………」
部屋の主、ブリタニア王立魔導学園学園長、ヴォーダン=ケントリスは窓辺にたたずみ外の景色を眺めている。
窓の外にはいつもの街の風景に一つ、強烈な存在感を放つ異物が混じっていた。
巨人だ。全身を烈火に覆われた炎熱の巨人が王宮に向かってゆっくりと確かに歩みを進めている。
そのせいで街は昼間のように明るい。この部屋が明るいのも道理だ。
「ご主人様、全ての教員への指示と王宮、魔術協会、その他への連絡が完了しました」
グングニルが静かにヴォーダンの右後ろに控えた。
「うむ、ご苦労……それにしても、本物だったとは、フォッフォッフォ……抜かったわ」
思い出すのは少々のぼせ上った様子の新米講師が手にした革のトランクだった。
嫌な気配を漂わせていたが、あり得ないと断じた結果がこれだ。長い年月を生きると思考が固くなっていけないとヴォーダンは自嘲気味に笑い声を上げた。
「グングニル、お主はアレをどう思う?」
「はい、力は弱いようですが……ムスペルの巨人で間違いないかと」
「うむ…………」
グングニルの返答を聞いてヴォーダンは何かを考えているかのように伸ばした自慢の髭を撫でた。
「差し出がましいようですが、熱に当てられて起きた火災は兎も角、ムスペル本体の火を消すことが出来る者は限られているのでは?」
「ふむ……そうじゃのう……」
「お出向きなさるのでしたら、お供いたしますが」
「いや、よい。少し見てみたいものがあるでの、しばし様子見じゃ」
「かしこまりました。それと、テムズ川が凍っていて消火作業が順調ではないとの連絡が来ております。炎を扱う人材が乏しいらしく……」
「ふむ……おお、そういえば少し前にキャメロットからあ奴が来ておったじゃろう?」
「ガウェイン卿でしょうか?」
「うむ、うむ。そちらにはあ奴が向かっているじゃろうて。問題なかろう」
「かしこまりました。それでは、ご主人様はこれより如何いたしますか?」
「フォッフォッフォ!様子見じゃといったではないか。本当に事態を見極めてしっかり動く故な。お主は紅茶でも淹れてくれい」
「かしこまりました。各方面から抗議が来た場合も対処しておきます。それでは、少々お待ちください」
グングニルは恭しく首を垂れると背を向けてミニキッチンへと下がっていった。
「フォッフォ!全く出来た遺物よ。さてさて、どうなるか……話を聞くに傍迷惑な身内(・・・・・・)の影がちらつくが…………あ奴は死んだはずなんじゃがのう……よっこらせっと」
ヴォーダンはぶつぶつと独り言を呟きながら椅子に腰を掛ける。
「まあ、それはさておき、我が学園の生徒は上手くやっておるかのう?フォッフォッフォ!特に……伏見双魔はどうかのう?」
老人の白髭に覆われた口元がニンマリと曲がる。
眼帯に覆われていない方の老境にしては澄んだ瞳には王都を焼く巨大な炎が燦々と光を放っていた。
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