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第二章「時計塔の眠り姫」
第237話 ゲイボルグの依頼
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楽しそうに言いたいことを言ったゲイボルグはのそりと体を起こすと双魔の机の傍までやってくる。
「………何か用か?」
「おいおい、そんなに警戒するこたぁないだろ?いくら俺でも傷つくぜ?」
「ここまでの流れで警戒されないと思ってるなんて、随分出来のいい頭を持ってるわね」
近づいてきたゲイボルグに嫌な顔をした双魔を見てアイギスはゲイボルグに冷たい言葉を浴びせる。
「ヒッヒッ!褒めても何も出ないぜ?」
「ここまでふてぶてしい犬はギリシャにもいなかったわ」
「そりゃそうだ、俺は犬じゃなくて槍だからな!」
「…………フンッ」
ゲイボルグの反応にアイギスは付き合っていられないとばかりにわざとらしく身体の向きを変えた。
「………ティルフィング、サロンではいつもこんな感じなのか?」
「む?うむ!皆、良き者たちだが大概こんな感じだぞ?アイギスは色々なことを教えてくれるし、ゲイボルグは背に乗せてくれる!」
双魔の疑問にティルフィングは顔を上げて無邪気に答える。恐らくティルフィングにはそう見えているのだろう。
「……アハハ、アイは意外と毒舌家だから……」
「……アッシュ?」
「嘘は言ってないじゃない?」
「……まあ、そうね。ここ、掛けていいかしら?」
「うん、どうぞ」
一瞬、笑顔が怖かったアイギスだったがアッシュは流石に慣れているのか正面から受け止めるとアイギスはスッキリした様子でアッシュの机の横に置いてあった椅子に腰掛けた。
「それでな、双魔。ちょっと頼みたいことがあるんだが……」
犬の癖に恐ろしく胡散臭い顔をしてゲイボルグが双魔の太もも辺りを前足でテシテシと軽く叩いてきた。
(…………これは関わったらろくなことにならないパターンだな…………)
双魔の”面倒事察知センサー”が遺憾なくその性能を発揮し、脳内で警報を鳴らしまくっていた。
「いや、断る」
「……そう言わずに話だけでも聞いてくれよー!」
断ると思っていなかったのかゲイボルグは意外そうな顔をしたが諦めずにまたテシテシと前足で双魔を叩く。
「……絶対面倒な用件だと判断した。断固断る!」
「そ、双魔君がこんなにはっきり拒否するなんて……」
「ねー、珍しいよねー」
双魔が何だかんだで他人からの頼みを断らないのをよく知っているイサベルとアッシュは少し驚いた表情を浮かべながらコーヒーを口にしている。
「兎に角、その話を聞く気は俺には……ん?ティルフィング?」
こめかみをグリグリと刺激しながら渋い顔のまま話をしていた双魔だったがティルフィングに着ていたシャツの胸の辺りを引かれたので下を向く。
「ソーマ、ゲイボルグの頼みだ。我は聞いてやってほしい。ゲイボルグはよく我を背中に乗せたり、尻尾をもふもふさせてくれたりするのだ」
「…………ん……いや…………」
ティルフィングに頼まれてしまっては双魔の強固だった決意も揺れざるをえなかった。
その隙を見逃すはずがないゲイボルグだ。すかさず畳みかけに入る。
「おいおい、双魔、契約遺物の希望はなるべく聞いてやるもんだぜ?な?俺の頼み聞いてくれよ。なに、損はさせない。これは本当だ」
「…………」
ティルフィングが望むことはなるべく叶えてやりたい。それにゲイボルグも最初はふざけていたが中々に込み入った事情がありそうだ。
双魔は片目を閉じて腕を組み思案に入った。
(ね、ね、ガビロールさん)
(ええ、あれはもう……断らないわ)
こそこそとアッシュとイサベルが双魔を見ながら内緒話をした直後だった。
「…………んー」
双魔は左手でガリガリと頭を数度掻くと閉じていた目を開き、全身の力を抜いて背もたれに寄り掛かった。
「……分かった、そこまで言うなら……まあ、聞くだけ聞く」
「うむ!さすがソーマだ!」
「やったぜ!恩に着る!ってことで早速来てくれ!」
「おい、ちょっと待て。話を聞くだけって……待て待て!ローブが破れる!」
「ソーマ、気をつけていってくるのだぞ!」
双魔が了承するや否やゲイボルグはソーマのローブを咥えてスタスタと歩き出してしまった。
ティルフィングは双魔の膝から飛び降りる。こうなっては双魔はゲイボルグについていくほかない。
あっという間に部屋から出ていってしまいその姿を消した。
遺物科評議会室にはアッシュとアイギス、それにイサベルとティルフィングが残った。
「行っちゃったね……」
「まあ、双魔君だから仕方ないわ」
そう言ったイサベルは苦笑を浮かべているが何処か嬉しそうにも見えた。
「じゃあ、片付けてカフェにでも行こうか!去年はあまり話せなかったし、僕、イサベルさんともっとお話したいな」
「あら、なら私は先に帰るわ。邪魔しちゃ悪いしね」
アイギスは立ち上がるとさっさと部屋を出ていってしまった。
「ティルフィングさんは…………」
「む?」
「取り敢えず一緒に行きましょうか、ケーキ好きよね?」
「ケーキ!うむ!好きだぞ!」
イサベルたち三人は片付けを済ませ、カフェへと移動することにした。
ちなみに、ティルフィングの大食いっぷりに慣れたカフェの店員にテーブルに大量のケーキを持って来られてイサベルとアッシュは悲鳴を上げることになるのだが、それはまた別の話である。
「………何か用か?」
「おいおい、そんなに警戒するこたぁないだろ?いくら俺でも傷つくぜ?」
「ここまでの流れで警戒されないと思ってるなんて、随分出来のいい頭を持ってるわね」
近づいてきたゲイボルグに嫌な顔をした双魔を見てアイギスはゲイボルグに冷たい言葉を浴びせる。
「ヒッヒッ!褒めても何も出ないぜ?」
「ここまでふてぶてしい犬はギリシャにもいなかったわ」
「そりゃそうだ、俺は犬じゃなくて槍だからな!」
「…………フンッ」
ゲイボルグの反応にアイギスは付き合っていられないとばかりにわざとらしく身体の向きを変えた。
「………ティルフィング、サロンではいつもこんな感じなのか?」
「む?うむ!皆、良き者たちだが大概こんな感じだぞ?アイギスは色々なことを教えてくれるし、ゲイボルグは背に乗せてくれる!」
双魔の疑問にティルフィングは顔を上げて無邪気に答える。恐らくティルフィングにはそう見えているのだろう。
「……アハハ、アイは意外と毒舌家だから……」
「……アッシュ?」
「嘘は言ってないじゃない?」
「……まあ、そうね。ここ、掛けていいかしら?」
「うん、どうぞ」
一瞬、笑顔が怖かったアイギスだったがアッシュは流石に慣れているのか正面から受け止めるとアイギスはスッキリした様子でアッシュの机の横に置いてあった椅子に腰掛けた。
「それでな、双魔。ちょっと頼みたいことがあるんだが……」
犬の癖に恐ろしく胡散臭い顔をしてゲイボルグが双魔の太もも辺りを前足でテシテシと軽く叩いてきた。
(…………これは関わったらろくなことにならないパターンだな…………)
双魔の”面倒事察知センサー”が遺憾なくその性能を発揮し、脳内で警報を鳴らしまくっていた。
「いや、断る」
「……そう言わずに話だけでも聞いてくれよー!」
断ると思っていなかったのかゲイボルグは意外そうな顔をしたが諦めずにまたテシテシと前足で双魔を叩く。
「……絶対面倒な用件だと判断した。断固断る!」
「そ、双魔君がこんなにはっきり拒否するなんて……」
「ねー、珍しいよねー」
双魔が何だかんだで他人からの頼みを断らないのをよく知っているイサベルとアッシュは少し驚いた表情を浮かべながらコーヒーを口にしている。
「兎に角、その話を聞く気は俺には……ん?ティルフィング?」
こめかみをグリグリと刺激しながら渋い顔のまま話をしていた双魔だったがティルフィングに着ていたシャツの胸の辺りを引かれたので下を向く。
「ソーマ、ゲイボルグの頼みだ。我は聞いてやってほしい。ゲイボルグはよく我を背中に乗せたり、尻尾をもふもふさせてくれたりするのだ」
「…………ん……いや…………」
ティルフィングに頼まれてしまっては双魔の強固だった決意も揺れざるをえなかった。
その隙を見逃すはずがないゲイボルグだ。すかさず畳みかけに入る。
「おいおい、双魔、契約遺物の希望はなるべく聞いてやるもんだぜ?な?俺の頼み聞いてくれよ。なに、損はさせない。これは本当だ」
「…………」
ティルフィングが望むことはなるべく叶えてやりたい。それにゲイボルグも最初はふざけていたが中々に込み入った事情がありそうだ。
双魔は片目を閉じて腕を組み思案に入った。
(ね、ね、ガビロールさん)
(ええ、あれはもう……断らないわ)
こそこそとアッシュとイサベルが双魔を見ながら内緒話をした直後だった。
「…………んー」
双魔は左手でガリガリと頭を数度掻くと閉じていた目を開き、全身の力を抜いて背もたれに寄り掛かった。
「……分かった、そこまで言うなら……まあ、聞くだけ聞く」
「うむ!さすがソーマだ!」
「やったぜ!恩に着る!ってことで早速来てくれ!」
「おい、ちょっと待て。話を聞くだけって……待て待て!ローブが破れる!」
「ソーマ、気をつけていってくるのだぞ!」
双魔が了承するや否やゲイボルグはソーマのローブを咥えてスタスタと歩き出してしまった。
ティルフィングは双魔の膝から飛び降りる。こうなっては双魔はゲイボルグについていくほかない。
あっという間に部屋から出ていってしまいその姿を消した。
遺物科評議会室にはアッシュとアイギス、それにイサベルとティルフィングが残った。
「行っちゃったね……」
「まあ、双魔君だから仕方ないわ」
そう言ったイサベルは苦笑を浮かべているが何処か嬉しそうにも見えた。
「じゃあ、片付けてカフェにでも行こうか!去年はあまり話せなかったし、僕、イサベルさんともっとお話したいな」
「あら、なら私は先に帰るわ。邪魔しちゃ悪いしね」
アイギスは立ち上がるとさっさと部屋を出ていってしまった。
「ティルフィングさんは…………」
「む?」
「取り敢えず一緒に行きましょうか、ケーキ好きよね?」
「ケーキ!うむ!好きだぞ!」
イサベルたち三人は片付けを済ませ、カフェへと移動することにした。
ちなみに、ティルフィングの大食いっぷりに慣れたカフェの店員にテーブルに大量のケーキを持って来られてイサベルとアッシュは悲鳴を上げることになるのだが、それはまた別の話である。
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