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本物の氷のプリンス登場!?
①
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ホテルの一室で気絶したはずの杏璃が目を覚ますと、視界に飛び込んできたのは――
麗しい推しによく似た央輔ではなく、な、なんと、正真正銘の推し氷のプリンスだった。
「――なッ!!」
(な、な、な、何がどうなっちゃってるのッ!!)
どうしてこんな非現実のことが起こっているのかまったく理解できない。けれど確かに、推し本人である。
どこからどう見ても、どの角度から見ても、眩いほどにキラキラと煌めいている。何とも麗しい。麗しすぎる。
氷のプリンスに出会ってからというもの、推し一筋だったのだ。見紛うはずがない。
しかも、天蓋付きの大きなベッドの上で、杏璃は推しに組み敷かれているではないか。
夢から目覚めたばかりの杏璃には衝撃的だし刺激が強すぎる。目が落っこちそうだ。
正確には、夢から醒めていないからなのだが、今の杏璃に冷静な判断などできるはずがない。しつこいようだが、まだ夢の中なのだから。
(も、もしかして、小説やコミックの世界でお馴染みの、異世界に転移しちゃったってこと? だとしたら……嬉しい!)
現実世界では、推しそっくりの央輔に抱き留められただけで気絶したクセに、夢の中では何とも現金な杏璃である。
だが杏璃には、これが夢だという自覚などまったくない。
(……待って。確かさっきは、央輔さんに抱き留められて失神しちゃったんだよね)
記憶を辿った刹那、央輔の腕に抱き留められたときの、央輔の逞しい腕の感触やぬくもり、微かに鼻腔を擽っていた甘やかな香りまでもが脳裏を掠めた。
同時に、ある懸念が浮上する。
このままではホテルでの二の舞を演じることになりかねない。
(せっかくのチャンスなのに、そんなの絶対にイヤッ! 気絶なんかしないんだから!)
鼻息荒く意気込んだ杏璃が推しに向き合ったところで、氷のプリンスの麗しい相貌と、甘やかな双眸とに、視線どころか魂ごと囚われてしまう。
あたかも金縛りにでもあったかのように瞬きさえも叶わない。
なぜなら、それらは愛する王太子妃――アイリスにだけ注がれるはずのものだから。
杏璃は信じられない心持ちで推しの動向を見つめることしかできずにいた。
そこに、砂糖漬けにされた極上スイーツのように甘美な言葉の数々が降り注ぐ。
「アンリ、今からおまえは俺だけのものだ。その美しい琥珀色の瞳に俺以外の男を映してはならぬ。白磁のように美しいこの肌に触れさせるなどもっての外。よいな?」
『杏璃』と呼ぶ推しの声に、ドクンッ……と杏璃の鼓動が一際大きく跳ね上がった。
ぎゅんと胸まで締め付けられて息が苦しくなってくる。
これは、氷のプリンスが妻となったアイリスと迎えた初夜でのワンシーン。杏璃がもっとも好きな場面である。
それが目の前で繰り広げられている。しかも杏璃自身が体験しているのだ。
推しに自身の名前を呼ばれる日が来ようとは、何という僥倖。
(あーもう死んでもいい。神様、ありがとうございます)
杏璃は脳内で、これまで一度も信じていなかった神様に感謝していた。
とは言え、こんな状況下で冷静でなんていられるはずがない。本人である杏璃には、夢である自覚などまったくないのだから尚更に。
「――ッ⁉」
杏璃は推しを前にして、呆けたアホ面を晒し、あんぐりと大口を開けたまま硬直してしまっている。
麗しい推しによく似た央輔ではなく、な、なんと、正真正銘の推し氷のプリンスだった。
「――なッ!!」
(な、な、な、何がどうなっちゃってるのッ!!)
どうしてこんな非現実のことが起こっているのかまったく理解できない。けれど確かに、推し本人である。
どこからどう見ても、どの角度から見ても、眩いほどにキラキラと煌めいている。何とも麗しい。麗しすぎる。
氷のプリンスに出会ってからというもの、推し一筋だったのだ。見紛うはずがない。
しかも、天蓋付きの大きなベッドの上で、杏璃は推しに組み敷かれているではないか。
夢から目覚めたばかりの杏璃には衝撃的だし刺激が強すぎる。目が落っこちそうだ。
正確には、夢から醒めていないからなのだが、今の杏璃に冷静な判断などできるはずがない。しつこいようだが、まだ夢の中なのだから。
(も、もしかして、小説やコミックの世界でお馴染みの、異世界に転移しちゃったってこと? だとしたら……嬉しい!)
現実世界では、推しそっくりの央輔に抱き留められただけで気絶したクセに、夢の中では何とも現金な杏璃である。
だが杏璃には、これが夢だという自覚などまったくない。
(……待って。確かさっきは、央輔さんに抱き留められて失神しちゃったんだよね)
記憶を辿った刹那、央輔の腕に抱き留められたときの、央輔の逞しい腕の感触やぬくもり、微かに鼻腔を擽っていた甘やかな香りまでもが脳裏を掠めた。
同時に、ある懸念が浮上する。
このままではホテルでの二の舞を演じることになりかねない。
(せっかくのチャンスなのに、そんなの絶対にイヤッ! 気絶なんかしないんだから!)
鼻息荒く意気込んだ杏璃が推しに向き合ったところで、氷のプリンスの麗しい相貌と、甘やかな双眸とに、視線どころか魂ごと囚われてしまう。
あたかも金縛りにでもあったかのように瞬きさえも叶わない。
なぜなら、それらは愛する王太子妃――アイリスにだけ注がれるはずのものだから。
杏璃は信じられない心持ちで推しの動向を見つめることしかできずにいた。
そこに、砂糖漬けにされた極上スイーツのように甘美な言葉の数々が降り注ぐ。
「アンリ、今からおまえは俺だけのものだ。その美しい琥珀色の瞳に俺以外の男を映してはならぬ。白磁のように美しいこの肌に触れさせるなどもっての外。よいな?」
『杏璃』と呼ぶ推しの声に、ドクンッ……と杏璃の鼓動が一際大きく跳ね上がった。
ぎゅんと胸まで締め付けられて息が苦しくなってくる。
これは、氷のプリンスが妻となったアイリスと迎えた初夜でのワンシーン。杏璃がもっとも好きな場面である。
それが目の前で繰り広げられている。しかも杏璃自身が体験しているのだ。
推しに自身の名前を呼ばれる日が来ようとは、何という僥倖。
(あーもう死んでもいい。神様、ありがとうございます)
杏璃は脳内で、これまで一度も信じていなかった神様に感謝していた。
とは言え、こんな状況下で冷静でなんていられるはずがない。本人である杏璃には、夢である自覚などまったくないのだから尚更に。
「――ッ⁉」
杏璃は推しを前にして、呆けたアホ面を晒し、あんぐりと大口を開けたまま硬直してしまっている。
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