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第6話 また明日も一緒に、頑張ろうね
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賢者の塔ダンジョン、第六階層。
ユーク、セリス、アウリンの三人はオークと戦っていた。オークとは豚のような鼻を持つ亜人型のモンスターで、武器こそ扱えるものの鎧を身につけていない分、先ほど戦ったワーウルフよりも明らかに脆弱な相手だった。
「ワーウルフに比べれば楽なもんね!」セリスが槍を翻しながら笑う。
「それでも油断はするなよ。まともに殴られたら洒落にならないからな」
ユークが冷静に注意を促した。
「もちろん! でも、こんな動きの遅い相手なら——ほらっ!」
セリスの槍がオークの急所を貫き、苦悶の叫びとともに膝をついた。
「ナイスよ、セリス! 次のオークもさっさと片付けましょ!」アウリンが詠唱を終え、火球を放つとオークが断末魔の叫びをあげながら消えて行く。
戦闘の方針は一体ずつ確実に仕留めること。オークを一体倒せば、次の単独のオークを探して戦いを繰り返す。たまに複数同時に遭遇することもあったが、セリスの槍捌きとアウリンの魔法によって、難なく片付けていった。
「俺、ほとんど強化スキル維持してるだけじゃないか?」ユークが肩をすくめる。
「気にしないでユーク。あなたのスキルがなかったら、私達はこんなに楽には戦えないんだから」アウリンが微笑んで言う。
実際魔法使いばかりでPTを組むことは出来ない。なぜなら攻撃が通らない前衛では壁にならずにあっさりと抜かれてしまうからだ。だからこそ魔法使いにとっても前衛職に攻撃能力を付与する強化術士は必要なものなのだ。
「そうそう! ほら、次の敵が来たよ!」セリスが再び構えを取った。
幸いにも、この階層では危険なイレギュラーは発生せず、狩りは順調に進んでいった。時折休憩を挟みながら戦い続け、気づけば時間は夜の六時を回っていた。
三人は探索者ギルドへと戻り、ダンジョンで得られた魔石を清算する。
「さて、今日の稼ぎは……295ルーン! 三人だけでこれって結構すごいんじゃないか?」ユークが目を輝かせる。
「そうね。安全マージンを取った割には悪くないわ」アウリンが頷く。
「私、今までのパーティじゃこんなに稼げなかったよ……二人とも、本当にありがとう!」セリスが感謝を口にする。
「それは私のセリフよ。ねえ……明日も一緒にやらない?」
アウリンが控えめに尋ねる。
「もちろん! ユークは?」
「異論はないさ」
ユークは小さく笑い、了承した。
こうして、臨時パーティの延長が決まり、三人は互いに礼を言い合い、別れの挨拶を交わした後、それぞれの宿へと向かった。
ユークはセリスと同じ部屋を取っている。それはお金の節約のためであり、兄弟のように気安い関係の彼女とわざわざ別の部屋を取る必要性を感じなかったからだ。
「今日は久々に楽しかったな……セリスも、怪我がなくて良かったよ」ユークがぽつりと呟く。
「えへへ……ユークと一緒だと、安心して戦えるからね」セリスが笑う。
宿で出される夕食を食べたあと、二人はそれぞれのベッドに向かい、燭台の火を吹き消した。
「おやすみ、セリス」
「うん、おやすみ、ユーク」
ユークにとって、こんなに気分よく眠りについたのは久々だった。激流のような一日を過ごしたせいか、横になってすぐに意識を手放す。その寝顔を、セリスは優しい眼差しで見つめた。
「ユーク……また明日も一緒に、頑張ろうね」
彼女は小さくそう囁くと、自分も静かに目を閉じた。
◆ ◆ ◆
──所変わって、アウリンの泊っている宿。
「ただいまー」
アウリンがバスケットを手に、部屋のドアを開けると、二つあるベッドのうちの一つがすでに埋まっていた。そこに横たわるのは、柔らかな栗色の髪を持つ少女。彼女の名前はヴィヴィアン。アウリンの大切な相棒だった。
アウリンは今日あった出来事を話した。すると、ベッドの上のヴィヴィアンが微笑む。
「今日のアウリンちゃん、なんだかとっても嬉しそうね」
「そう? ま、いいことあったからね」
アウリンは上機嫌でそう返す。彼女が持ち帰ったバスケットの中身は薬だった。
ヴィヴィアンは、たちの悪い病に侵されていた。
彼女が倒れる前、アウリンとヴィヴィアンは雇った傭兵とともにパーティを組み、ダンジョンへ潜っていた。しかし、ヴィヴィアンが病に伏してしまい、傭兵を雇い続けるのは困難と判断。以来、アウリンはヴィヴィアンの薬を買うため、臨時パーティを転々としながら食いつないできた。
だが、どのパーティも長く組みたいと思える相手ではなく、生活はぎりぎりだった。稼ぎは決して多くなく、ヴィヴィアンの薬を買うのもやっと。彼女の病状は悪化こそしないが、決して良くもならず、ただ日々をやり過ごすだけの生活が続いていた。
──だが、今日、ようやく光明が見えた。
ユークとセリス。彼らはまさしく大当たりだった。連携が取れてくれば、さらに稼ぎは伸びるだろう。そうなれば薬代の心配もなくなるし、ヴィヴィアンの病もきっと良くなる。
「私も、その子たちに会いたいわ~」
「うん、きっと気に入ると思うわよ」
アウリンは久しぶりに、何の心配もなく眠ることができた。
ヴィヴィアンはそんな彼女を見つめながら、ふわりと微笑む。
「あらあら~、そんなにいい子たちなのねぇ…… 実際に会うのが楽しみだわ~」
彼女のゆったりとした声が、静かな夜に溶けていった。
◆◆◆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ユーク(LV.11)
性別:男
ジョブ:強化術士
スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)
備考:前のPTの報酬は一日34ルーン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
セリス(LV.12)
性別:女
ジョブ:槍術士
スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)
備考:前のPTの報酬は一日77ルーン(他の3人も同額)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アウリン(LV.15)
性別:女
ジョブ:炎術士
スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)
備考:他の臨時PTでは報酬どころか命の危険すらあった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ヴィヴィアン(??)
性別:女
ジョブ:??
スキル:??
備考:10階のボスの討伐経験あり。
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ユーク、セリス、アウリンの三人はオークと戦っていた。オークとは豚のような鼻を持つ亜人型のモンスターで、武器こそ扱えるものの鎧を身につけていない分、先ほど戦ったワーウルフよりも明らかに脆弱な相手だった。
「ワーウルフに比べれば楽なもんね!」セリスが槍を翻しながら笑う。
「それでも油断はするなよ。まともに殴られたら洒落にならないからな」
ユークが冷静に注意を促した。
「もちろん! でも、こんな動きの遅い相手なら——ほらっ!」
セリスの槍がオークの急所を貫き、苦悶の叫びとともに膝をついた。
「ナイスよ、セリス! 次のオークもさっさと片付けましょ!」アウリンが詠唱を終え、火球を放つとオークが断末魔の叫びをあげながら消えて行く。
戦闘の方針は一体ずつ確実に仕留めること。オークを一体倒せば、次の単独のオークを探して戦いを繰り返す。たまに複数同時に遭遇することもあったが、セリスの槍捌きとアウリンの魔法によって、難なく片付けていった。
「俺、ほとんど強化スキル維持してるだけじゃないか?」ユークが肩をすくめる。
「気にしないでユーク。あなたのスキルがなかったら、私達はこんなに楽には戦えないんだから」アウリンが微笑んで言う。
実際魔法使いばかりでPTを組むことは出来ない。なぜなら攻撃が通らない前衛では壁にならずにあっさりと抜かれてしまうからだ。だからこそ魔法使いにとっても前衛職に攻撃能力を付与する強化術士は必要なものなのだ。
「そうそう! ほら、次の敵が来たよ!」セリスが再び構えを取った。
幸いにも、この階層では危険なイレギュラーは発生せず、狩りは順調に進んでいった。時折休憩を挟みながら戦い続け、気づけば時間は夜の六時を回っていた。
三人は探索者ギルドへと戻り、ダンジョンで得られた魔石を清算する。
「さて、今日の稼ぎは……295ルーン! 三人だけでこれって結構すごいんじゃないか?」ユークが目を輝かせる。
「そうね。安全マージンを取った割には悪くないわ」アウリンが頷く。
「私、今までのパーティじゃこんなに稼げなかったよ……二人とも、本当にありがとう!」セリスが感謝を口にする。
「それは私のセリフよ。ねえ……明日も一緒にやらない?」
アウリンが控えめに尋ねる。
「もちろん! ユークは?」
「異論はないさ」
ユークは小さく笑い、了承した。
こうして、臨時パーティの延長が決まり、三人は互いに礼を言い合い、別れの挨拶を交わした後、それぞれの宿へと向かった。
ユークはセリスと同じ部屋を取っている。それはお金の節約のためであり、兄弟のように気安い関係の彼女とわざわざ別の部屋を取る必要性を感じなかったからだ。
「今日は久々に楽しかったな……セリスも、怪我がなくて良かったよ」ユークがぽつりと呟く。
「えへへ……ユークと一緒だと、安心して戦えるからね」セリスが笑う。
宿で出される夕食を食べたあと、二人はそれぞれのベッドに向かい、燭台の火を吹き消した。
「おやすみ、セリス」
「うん、おやすみ、ユーク」
ユークにとって、こんなに気分よく眠りについたのは久々だった。激流のような一日を過ごしたせいか、横になってすぐに意識を手放す。その寝顔を、セリスは優しい眼差しで見つめた。
「ユーク……また明日も一緒に、頑張ろうね」
彼女は小さくそう囁くと、自分も静かに目を閉じた。
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──所変わって、アウリンの泊っている宿。
「ただいまー」
アウリンがバスケットを手に、部屋のドアを開けると、二つあるベッドのうちの一つがすでに埋まっていた。そこに横たわるのは、柔らかな栗色の髪を持つ少女。彼女の名前はヴィヴィアン。アウリンの大切な相棒だった。
アウリンは今日あった出来事を話した。すると、ベッドの上のヴィヴィアンが微笑む。
「今日のアウリンちゃん、なんだかとっても嬉しそうね」
「そう? ま、いいことあったからね」
アウリンは上機嫌でそう返す。彼女が持ち帰ったバスケットの中身は薬だった。
ヴィヴィアンは、たちの悪い病に侵されていた。
彼女が倒れる前、アウリンとヴィヴィアンは雇った傭兵とともにパーティを組み、ダンジョンへ潜っていた。しかし、ヴィヴィアンが病に伏してしまい、傭兵を雇い続けるのは困難と判断。以来、アウリンはヴィヴィアンの薬を買うため、臨時パーティを転々としながら食いつないできた。
だが、どのパーティも長く組みたいと思える相手ではなく、生活はぎりぎりだった。稼ぎは決して多くなく、ヴィヴィアンの薬を買うのもやっと。彼女の病状は悪化こそしないが、決して良くもならず、ただ日々をやり過ごすだけの生活が続いていた。
──だが、今日、ようやく光明が見えた。
ユークとセリス。彼らはまさしく大当たりだった。連携が取れてくれば、さらに稼ぎは伸びるだろう。そうなれば薬代の心配もなくなるし、ヴィヴィアンの病もきっと良くなる。
「私も、その子たちに会いたいわ~」
「うん、きっと気に入ると思うわよ」
アウリンは久しぶりに、何の心配もなく眠ることができた。
ヴィヴィアンはそんな彼女を見つめながら、ふわりと微笑む。
「あらあら~、そんなにいい子たちなのねぇ…… 実際に会うのが楽しみだわ~」
彼女のゆったりとした声が、静かな夜に溶けていった。
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ユーク(LV.11)
性別:男
ジョブ:強化術士
スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)
備考:前のPTの報酬は一日34ルーン
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セリス(LV.12)
性別:女
ジョブ:槍術士
スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)
備考:前のPTの報酬は一日77ルーン(他の3人も同額)
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アウリン(LV.15)
性別:女
ジョブ:炎術士
スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)
備考:他の臨時PTでは報酬どころか命の危険すらあった。
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ヴィヴィアン(??)
性別:女
ジョブ:??
スキル:??
備考:10階のボスの討伐経験あり。
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