お前は用済みとパーティから追放されたらエースアタッカーの幼馴染もついてきた~最強ハーレムパーティに成り上がる俺の裏で元パーティは転落していく

荒火鬼 勝利

文字の大きさ
56 / 161

第54話 恋のスタートラインとアウリンの研究

しおりを挟む

「ただいま~」
 ユークは自宅の扉を開けると、大きな声で呼びかけた。

 すると、リビングからそれぞれの声が飛んでくる。

「あっ、おかえりー」
「おかえりなさい~」
「おかえり。遅かったわね、どこ行ってたのよ?」

 仲間たちは思い思いにくつろぎながら、ユークを出迎える。  
 温かい空気に、ユークの表情も自然と和らいだ。

「うん。途中でジオードさんに会ってね。ちょっとお店に連れて行ってもらってたんだ」

 そう言いながら、ユークは手に持っていたかごをテーブルに置いた。  
 中には、昼食用のパンがぎっしり詰まっている。

「ふうん。殿下に会ってたのね。お店って、どんなお店だったの?」
 アウリンが興味深そうに尋ねる。

「えーっと……女の子と一緒に飲めるお店かな」
 ユークが曖昧あいまいに答えると、アウリンとセリスがぴくりと反応した。

「ねえ、それって……」
 アウリンが何か言いかけたが、ユークが慌てて続きを話す。

「その……ジオードさんに相談に乗ってもらってたんだ。セリスとの関係について……」

 急に真剣な声色になったユークに、アウリンは口をつぐんだ。  
 リビングに、少しだけ緊張した空気が流れる。

「……私との関係って?」
 セリスが小さな声で問いかける。  
 その瞳には、不安がにじんでいた。

「うん。俺……今までセリスのことを、異性として見たことがなかったんだ……」
 ユークは正直に打ち明ける。  

 セリスはショックを隠しきれず、そっとうつむく。
「……うん、知ってた」

 セリスは今までに、何度もアプローチしていた。  
 わざと下着姿を見せたり、そっと胸を押し付けたり──それでも、ユークは一向に気づいてくれなかったのだ。

「でも、気づかされたんだ。──それじゃ駄目だって」

 ユークの真剣な声に、セリスははっと顔を上げた。  

「セリス、ごめん。俺、ずっと君の好意に気づかないふりをしてた。でも、これからは恋人として、ちゃんと向き合っていきたい。だから──今までのこと、許してほしい」

 ユークは頭を深々と下げた。  
 心からの謝罪と、これからへの決意を込めて。

「……うん……うん……!」
 セリスは涙を浮かべながら、何度も何度も頷いた。  
 その顔は、嬉しさでいっぱいに染まっている。

「あら~? 私のことは無視?」
 アウリンが茶化すようにねながらほほを膨らませた。  

 そんなアウリンを、ユークは無言でぎゅっと抱きしめる。
「愛してるよ……アウリン」

 耳元でささやかれた甘い言葉に、アウリンの顔はまたたく間に真っ赤になる。

「んんんっ! そ、それなら……いいのよ!」
 咳き込むようにしながらも、アウリンは満更でもなさそうに頷いた。

「あっ! アウリンだけずるい! 私も!」
 セリスがすぐさま声を上げる。  

 甘えるように両手を広げて、ユークに抱きつく仕草を見せた。

 ユークは微笑みながら椅子に座っているセリスのもとへと歩み寄り、思いっきり抱きしめる。 

 セリスは嬉しそうにユークの胸に顔をすり寄せた。

 ユークが何事かをそっと耳打ちすると、セリスはさらに顔を赤らめ、身体を預けるようにユークに甘えた。

「う~ん……ユーク君、なんだか女たらしみたいになっちゃったわね」

 そんな微笑ましい光景を、ヴィヴィアンは少し困ったような顔で見守りながら、ぽつりと呟いた。

 その後、四人はテーブルを囲んで昼食をとる。  

 賑やかで楽しい時間が過ぎると、ヴィヴィアンは部屋へと戻り、アウリンは工房で魔道具の研究を始めると言い、席を立った。

 セリスは、いつものようにユークにぴったりとくっついて離れない。

「ねえ、アウリン。君の研究、見学してもいいかな?」
 ユークが声をかけると、

「あら、珍しいじゃない。ユークがそんなこと言うなんて」
 アウリンは小首をかしげ、不思議そうに返した。

「うん、前に見たときは正直、あんまり面白いと思えなかったんだ。でも、今は……君のこと、もっと知りたいと思って。ダメかな?」

 恥ずかしそうに、しかし真っ直ぐな視線を向けるユークに、アウリンは小さく笑った。

「別にいいけど? でも、ユークにはやっぱり面白くないと思うわよ?」

 その許可を得て、ユーク、セリス、アウリンの三人は工房へ向かうことになった。

 アウリンの工房は、以前と変わらず、奇妙な器具や道具が整然と並んでいた。  
 だが机もきちんと磨かれ、意外と整頓されている。

「私が今やってるのはね、魔道具のコストを下げるための研究なの」

 手際よく器具を準備しながら、アウリンが説明してくれる。

「前にも話したかもしれないけど、魔道具っていうのは、詠唱なしで魔法を使うための道具よ」

 アウリンは使い込まれた金属の板を机の上に置くと、その上に粉のようなものを使って複雑な模様――魔法陣――を書き始めた。

 ユークはその様子をじっと見つめながら、ふと気づいた。

「……これって、もしかして『ライト』の呪文?」

『ライト』は、基本中の基本、光を灯すだけの簡単な魔法だ

「正解よ。今使ってるのは、一般的な魔道具に使われている触媒しょくばいね」

 アウリンは魔法陣を書き終え、満足そうに頷くと、ユークに向き直った。

「さて、ユーク。この板に魔力を流してみてくれる?」

「魔力を流すんだね? 了解!」

 元気よく答えたユークは、板に手を触れ、集中して魔力を送り込んだ。

 次の瞬間、板の上にふわりと光り輝く球体が現れた。

「わぁっ!」
「おお~!」
 セリスとユークが目を輝かせて歓声を上げる。  

 だが、光の球はしばらく輝いた後、ふっとかき消されるように消えてしまった。

「あれ、消えちゃった……」

 残念そうにつぶやくセリスに、ユークも頷きながら視線を落とした。

「ん? これ……」
 目に映ったのは、焼け焦げ、崩れかけた魔法陣だった。板も所々黒く変色している。

「これって……」

 戸惑いながらユークが問いかけると、アウリンは気にした様子もなく答えた。

「今回は実験用だからすぐにダメになっちゃったけど、本格的に魔道具を作るときは、ちゃんと触媒しょくばいを適切に処理して作るから、もっと長持ちするわよ」

 そう言いながら、アウリンは新しい板を取り出し、また粉で魔法陣を書き始めた。

「こっちはね、私が独自に配合した触媒しょくばいよ」

 自信たっぷりに言いながら、同じように魔法陣を完成させるアウリン。

「さあ、もう一度魔力を流して?」
 促され、ユークは再び魔力を注ぎ込んだ。

 だがこちらは光の玉が出現したと思った瞬間に、あっという間に消え、魔法陣は無残に焦げ落ちた。

「すぐ消えちゃった……」
 セリスが、今度はさらにしょんぼりした声でつぶやく。

「……これでも、今のところ一番長持ちしてる配合なのよね」

 アウリンは肩を落とし、がっくりとため息をついた。

「アウリンは、この粉を改良して魔道具を作るコストを下げようとしてるんだよね?」

 ユークが問いかけると、アウリンは真剣な表情で頷いた。

「そう。最初に使った方の触媒しょくばいは、希少な宝石を砕いて作るから、とっても高価なの。こうして実験する程度なら問題ないけど、製品として長持ちするようにきちんと作ると、値段も高くなっちゃうのよ」

 アウリンは机にひじをつきながら、疲れたように吐息を漏らした。

「だから、宝石の使用量を減らしたり、他の素材で代用できないか、こうして試行錯誤してるの」

「なるほど……」
 ユークは感心したように頷く。

 アウリンは少し申し訳なさそうな顔をして言った。

「ごめんなさいね? ここから先は、ただひたすら宝石を砕いて、混ぜて、試して……地味な作業ばっかりよ」

「俺に手伝えることはないかな?」

 そう言ってにっこり笑うユークに、アウリンは一瞬驚いたような顔をした。

「それじゃ……使い終わったプレートを、そこのたわしで綺麗にしてもらえる?」

「任せてっ!」

 元気よく応えたユークは、さっそく作業に取り掛かった。

 こうして、二人は夜になるまで工房で作業を続ける。  
 しかし、結局めぼしい成果は得られなかった。

 ちなみに、セリスは途中で退屈してしまい、工房の隅で寝息を立てていたのだった。

◆◆◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ユーク(LV.20)
性別:男
ジョブ:強化術士
スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)
備考:二人の恋人として相応ふさわしい男になりたい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
セリス(LV.20)
性別:女
ジョブ:槍術士
スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)
備考:今日のユークもかっこよくて好き。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アウリン(LV.20)
性別:女
ジョブ:炎術士
スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)
備考:今晩はいよいよ……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ヴィヴィアン(LV.20)
性別:女
ジョブ:騎士
スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)
備考:いまの軟派なユーク君は好きじゃないわ……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵
ファンタジー
 ーーある日、平穏な世界は終わった。  そうとしか表現できないほどに世界にモンスターという異物が溢れ返り、平穏かつ醜い世界は崩壊した。  そんな世界を自称凡人な男がマイペースに生きる、これはそんな話である。

処理中です...