お前は用済みとパーティから追放されたらエースアタッカーの幼馴染もついてきた~最強ハーレムパーティに成り上がる俺の裏で元パーティは転落していく

荒火鬼 勝利

文字の大きさ
81 / 161

第79話 地下

しおりを挟む

「それはね……私を置いていくかどうかって話よ。今の私は、足手まといになっちゃうから……」

「っ……!」
 アウリンの言葉に、ユークが息をむ。

 ひやりとした空気が場を包んだ。

「そんなのっ……」
 ヴィヴィアンが何か言いかけたが、アウリンは手を上げて制した。

「私は足をやられてしまって、もう走ることができないの。治療には地上へ戻る必要があるわ。だから、私を置いていくのが……一番いい選択なのよ」

 悲しげに微笑ほほえむアウリン。その瞳には、確かな覚悟が宿っていた。誰もすぐには反論できない。

「置いていくって……どうするつもりなの?」
 セリスが表情を変えずに問いかけた。

「セリス!」
 ユークが声を荒げるが、アウリンは静かに首を横に振る。

「もし、ここが安全地帯なら……モンスターが現れる可能性も低いと思うの。だから、私はここでおとなしく待ってるわ」

 その声音は穏やかだったが、決意の色がにじんでいた。

「俺は反対だ! ここが本当に安全だって、誰が保証できるんだ!」
 ユークが声を張る。怒りと焦燥しょうそうが、その瞳に揺れている。

「ユーク……」
 アウリンは困ったように彼を見た。

「セリス、ヴィヴィアン。アウリンを守りながら戦えるか?」
 ユークがふたりを見て問いかける。

「う~ん……あいつらみたいなのが二体までなら、ギリギリ?」
 セリスが首をかしげながら答えた。

「そうね……でも、今回みたいに三体同時に来られたら、守りきれる自信はないわ」
 ヴィヴィアンも慎重に言葉を選びながら、セリスに同意する。

「そっか。なら……アウリンも一緒に行こう!」
 ユークが決断の声を上げる。その瞳からは迷いが消えていた。

「ちょっと!」
 アウリンが不満そうに声を上げる。

「正直言って、また三体に襲われたら、その時点でもう無理だと思う」
 ユークは冷静な口調で続けた。

「それは……まぁ、そうかも」
 セリスが頷き、ヴィヴィアンも神妙しんみょうな表情で言葉を重ねる。

「そうね。もう一度あれと同じ状況になるのは……勘弁してほしいわ」

「だったら、アウリンと一緒にいたい。だから来てくれ、アウリン!」
 ユークが正面から真っ直ぐに呼びかける。

「はぁ……しょうがないわね、アンタは……」
 アウリンは呆れたように言いながらも、どこか嬉しそうに微笑んだ。

 その笑顔を、セリスとヴィヴィアンは優しく見守っている。

「よし、じゃあ進もう!」
 ユークが声を上げた。

「どっちに?」
 セリスが問い返す。

 ユークが部屋の中を見渡すと、複数のドアが、無言で彼らを待ち受けていた
 自然と、全員の視線がアウリンへと向けられる。

「まったくもう……こっちよ」
 アウリンが肩をすくめつつ、ある扉を指さす。

「どうしてそっちだってわかるの?」
 ユークが首をかしげる。

「この部屋に入ったとき、あの三人が座ってたのがそこだったのよ」
 彼女の指の先には、横倒しになった壊れたソファ。激しい戦闘の痕跡こんせきがそこに残っていた。

 周囲には、食べ物が不自然に散らばっている。
 セリスが干し肉をじっと見つめているのに気づき、アウリンがピシャリと言った。

「セリス、落ちてるものを拾って食べちゃダメよ?」

「え、えぇ……私もそこまでじゃないよ……?」
 セリスは困惑した表情で、アウリンの言葉を否定した。

「あー……ごめん。悪かったわ……」
 アウリンが前髪を手でくしゃっと押さえ、申し訳なさそうに謝る。

「アウリンにそう思われてたなんて、ちょっとショック……」
 セリスがぽつりとつぶやき、しょんぼりと肩を落とした。

「ご、ごめんってば……!」
 そんなセリスに、アウリンが慌てて手を合わせて謝る一幕ひとまくもありつつ、ユークたちは歩みを進めていく。

 やがて、一行は一枚の扉の前にたどり着いた。見た目は、どこにでもあるような平凡な扉だ。

「この先が、次のルートだと思うわ」
 アウリンが振り返り、静かに言った。

「気をつけて。すぐ向こうが敵の拠点かもしれないから」
 その一言で、全員の表情が引き締まる。

「じゃあ、私が開けるね」
 セリスが一歩前へ出る。先ほどまでの落ち込みは、もう微塵みじんも感じられない。

「開けるよ?」
 そう言って、セリスがゆっくりと扉を押し開けた。

「……階段?」
 ユークの声がれる。

 そこには、下へと続く暗い階段が現れていた。

「行ってみましょう」

 アウリンの言葉に、ユークたちは黙ってうなずき、ゆっくりと階段を降り始めた。

 しかし途中で、ユークがふと足を止める。

「暗いな……あかりをつけるよ」

 軽く詠唱を唱えると、彼の指先からあわい光が生まれ、周囲をやさしく照らし出した。

 照らされた空間は、先ほどまでのダンジョンとはまるで様相ようそうが異なっていた。壁は所々崩れ、年季の入った石材がむき出しになっている。

「なんか……ジメジメしてる……」
 先頭を歩いていたセリスが、眉をひそめてぼやいた。

「それに、カビ臭いわ……」
 ヴィヴィアンも鼻を押さえ、顔をしかめる。

 アウリンは周囲をぐるりと見回し、思案気味しあんぎみに口を開いた。

「全体的に、地下室っぽい雰囲気ふんいきね……もしかしたら、あの屋敷の地下がそのままダンジョンになってるのかもしれないわ」

 階段を降りるごとに、壁の痛み具合はひどくなっていく。最初は気にもめなかった床の石も、いまやひび割れが目立ち、油断すれば足を取られそうなほどだ。

 やがて階段が終わり、ユークたちは広い通路へと足をみ入れる。

 そこは石のレンガで組まれた長い通路だった。天井からは水滴がぽたりぽたりと落ち続け、明かりは一切ない。ユークの魔法の光だけが、ほのかに周囲を照らしている。

「まさに地下道って感じの場所ね……」
 ヴィヴィアンがぽつりとつぶやく。

「でもこれはちょっと……」
 セリスは階段の上で立ち止まり、足をみ出せずにいた。不満げな声がれる。

「うわぁ……湿ってるとかのレベルじゃない……完全に水びたしじゃん……」
 ユークはげんなりとした表情で、れた石の床を見下ろした。

 通路にはにごった水がたまり、足首までかっている。歩くたびに水面がれ、衣服のすそがじわじわとれていく。

「うぅ……気持ち悪い……」
 セリスがうつむきながら、つぶやいた。

「ねえ、本当にこの道で合ってるのかしら?」
 ヴィヴィアンが不安げな表情をアウリンに向ける。

「……たぶん」
 返ってきた答えは、いつになく頼りなかった。

 アウリンの足取りは重く、水をむたびにわずかに顔をしかめている。その足首には応急処置を施した包帯が巻かれている。

「アウリン、やっぱり無理してる。俺が背負うよ」
 ユークがそっと声をかけると、アウリンは驚いたように目を見開いた。

「ええ!? 悪いわよ、そんなの……」

「任せてよ。それに、今の状況で動けなくなったら困るのはアウリンだけじゃない。俺たち全員だよ」
 ユークの真剣な口調に、アウリンは言葉を失い、しばらく黙っていた。

 やがて、彼女はふいに視線をそらしながら、ぽつりとつぶやく。

「……もう。勝手にすれば」
 その言葉を合図のように、ユークはそっとアウリンの背に手を回す。

「ほら、しっかりつかまって」

「……ありがと」

 わずかに照れたような声を背中越しに感じながら、ユークはにごった水の中を慎重に歩き出した。

 その後ろ姿を見守るセリスとヴィヴィアンの表情にも、自然と笑みが浮かぶ。

 そして、一行は不安を抱えたまま通路を進んでいく。やがて先頭を歩いていたセリスが、ぴたりと足を止めた。

「見て! 光がある!」

 通路の先、わずかに開けた空間の向こうから、ぼんやりとした光がれている。

「気をつけて。明かりがあるってことは、誰かがいるはずよ!」
 アウリンがユークの背中の上から緊張した声で告げ、警戒をうながす。

「ライトの魔法、消した方がいい?」
 ユークがそっと尋ねると、アウリンは首を横に振る。

「いいえ、つけておきましょう。今は暗くなって見えなくなるほうが危険だわ!」
 その返答に、ユークは静かにうなずいた。

 一歩ずつ慎重に進み、ついに通路の先の部屋へとたどり着く。中には小さな明かりに照らされた複数の人影が見える。

 ユークはその中の顔を見た瞬間、思わず叫んだ。

「アズリアさん!? それに……ダイアスさんまで……!」

 思いがけない再会に、ユークの胸がざわめくのだった。

◆◆◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ユーク(LV.25)
性別:男
ジョブ:強化術士
スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)
備考:背中にアウリンの胸が当たってる……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
セリス(LV.25)
性別:女
ジョブ:槍術士
スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)
備考:暗いし臭いしジメジメしてるし最悪。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アウリン(LV.26)
性別:女
ジョブ:炎術士
スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)
備考:ユークの背中ってこんなたくましかったっけ……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ヴィヴィアン(LV.26)
性別:女
ジョブ:騎士
スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)
備考:仲良くしている二人をみると何だかもやもやするわ……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵
ファンタジー
 ーーある日、平穏な世界は終わった。  そうとしか表現できないほどに世界にモンスターという異物が溢れ返り、平穏かつ醜い世界は崩壊した。  そんな世界を自称凡人な男がマイペースに生きる、これはそんな話である。

処理中です...