お前は用済みとパーティから追放されたらエースアタッカーの幼馴染もついてきた~最強ハーレムパーティに成り上がる俺の裏で元パーティは転落していく

荒火鬼 勝利

文字の大きさ
119 / 161

第117話 ヴィヴィアンの鎧、解き放たれる秘奥

しおりを挟む

 セリスの槍が次々と触手をぎ払い、ついにその根元へとたどり着いた。
「……ここっ!!」

 触手を足場にして宙に浮かんだセリスは、体を大きくひねった。

 そのまま回転するように槍を振り抜き、ラルヴァの肩から伸びる触手の束を、一気に切り裂く。

「ヴォオオオオオオ!!」
 異形のラルヴァが悲鳴とも咆哮ともつかない声を上げ、巨体を震わせた。

 切断された触手が霊樹の根にばらばらと落ち、赤黒い液体をまき散らす。

 ラルヴァは自らの失策を悟った。すぐさま残るもう一方の触手を即座に回収し、再び編み上げて元の“巨大な腕”へと戻そうとする。

 だが――。

「ヴォ!?」
 ラルヴァは違和感に気づいた。腕を戻そうとした先、その内部には、巨大な“石の壁”が埋め込まれていることに。触手がその表面に絡みつき、編み直しの動きを阻害していたのだ。

 あわてて振りほどこうとする――その時。

「《ストーンウォール》!」
 ユークの声が再び響き渡る。

 瞬間、もう一枚、重々しい音とともに現れる石壁。

 ラルヴァの触手が、石と石の間に挟まれた。

「ヴォ……ヴォォオッ!?」
 暴れる。しかし暴れれば暴れるほど、触手は絡まり、締めつけられ、うまく動かせなくなる。

「《ストーンウォール》!」
「《ストーンウォール》!!」
 ユークは次々と魔法を連射した。

 石壁が一枚、また一枚と増えていき、ついにはラルヴァの残った触手の腕は石の塊にがんじがらめにされ、空中で完全に固定されてしまった。

(よしっ! アウリンの魔法ももうすぐ完成する……これで終わりだ!)
 ユークはニヤリと笑い、勝利を確信する。

 しかし、ラルヴァもまた必死だった。拘束されたまま、あの膨大な魔力が直撃すれば、自分とてただでは済まないと気づいたからだ。

 そして――決断する。

「なっ……!?」
「ええぇ!?」  
 ユークが息を呑み、セリスが目を見開いた。

 異形のラルヴァは、残された触手を自ら引きちぎり、拘束を断ち切ったのだ。

 ブチブチという音と共に、ねじ切られた触手が次々に地へ落ちていく。

 拘束を強引に脱し、自由を得たラルヴァは一直線にアウリンへ突進した。

 その下半身に開いた円形の大口には、内側にぎっしりと鋭い歯が並んでいる。

 まるで生き物をすり潰すためだけに生まれた岩砕機のような構造――それが、いままさに灼熱の魔法を編み上げようとしているアウリンに迫っていた。

「アウリンちゃんっ!!」
 その叫びと共に、盾を掲げていたヴィヴィアンが動く。

 自ら突進してくるラルヴァに向かって走り、そして――剣と盾を捨てた。

 両手で、迫るラルヴァの巨大な口の牙を掴む。

「ぐっ……!!」
 ヴィヴィアンは全身の力を込めて、怪物の突進を止めようと踏ん張った。

 だが――

「う、そ……!?」  
 セリスが目を見開き、驚きの声をあげる。

 ヴィヴィアンが、押されているのだ。

 岩砕機のような巨大な口が、アウリンを飲み込もうと迫る。地面を――霊樹の根を削りながら、ヴィヴィアンごと無理やり押し込んでいく。

「ヴィヴィアンさんっ!!」  
 ラピスたちの叫びが木霊する。

 だがヴィヴィアンは――ヘルムの中で微笑んだ。

「アンカー!」
 その言葉と同時に、ヴィヴィアンの鎧の脚部から、轟音と共に“杭”が飛び出した。

 鋼鉄製の杭が地面に突き刺さり、彼女の体をその場に固定する。

 ズガガガガッ――!

 押し寄せる突進の勢いを、霊樹の根が削れる音がかき消す中、ラルヴァは
 少しづつ減速していき――ついには、完全にその動きが停止した。

「!?!?」
 ラルヴァが混乱する。

 今も全力で動いているはずの下半身が、まったく進まない。
 だがヴィヴィアンの秘策はそれだけでは無かった。

「パワーアシスト!!」
 ヴィヴィアンが吼える。

 鎧に仕込まれた魔法陣が発動し、腕部のシリンダーに圧縮空気が注入される。

 鎧の内部からきしむような音が鳴り、次の瞬間、ヴィヴィアンの両腕に加わった“圧”が、信じられないほどの力を生み出した。

「おおおおおおおお!!!」
 地面に打ち込まれた杭と、補助機構による力、そしてヴィヴィアン自身の剛力。

 それら全てが合わさり、ついに――

 ラルヴァの巨体が、宙に持ち上がった。

「!?!?!?!?」
  ラルヴァの視界が、一気に天地を返す。

 そのとき――

 アウリンの詠唱が、止まった。

 少女の頭上には燦然さんぜんと輝く魔法陣が完成している。

「今だ! 投げろ、ヴィヴィアン!!」
 ユークが叫ぶ。

「うぉりゃあああああああああああ!!!」
 咆哮と共に、ヴィヴィアンがラルヴァを全力で上にぶん投げる。

 空へ放られた異形のラルヴァ。

 その先には――破滅が待っていた。

「《プロミネンス・ジャベリン》!!」
 天を裂く炎の魔槍が、アウリンの魔法陣から解き放たれる。

 その熱量は、術者であるアウリン自身すら焼きつけるほどの圧を帯びており、魔槍が軌跡きせきを描くたびに空気をねじ曲げながら、ラルヴァの身体を正確に貫く。

 着弾と同時に、轟音ごうおんとともに爆発が起きた。

「ヴォオオオオオオオ!!」
 断末魔のような咆哮を上げるラルヴァ。

 その巨体は、灼熱の渦の中心で火柱となって燃え上がり、空中でなおも炎に焼かれながら、やがてその声すらき消されていった。

 赤黒い肉塊は跡形もなく燃え尽き、黒煙と化して宙を漂い――

 そして、静寂が訪れる。

 戦場の中央では、アウリンの前にヴィヴィアンが立ち尽くし、残る者たちはただ、その光景を見つめていた。

 こうして、突然始まった強敵との戦いは――完全に終結を迎えたのだった。

◆◆◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ユーク(LV.28)
性別:男
ジョブ:強化術士
スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)
備考:最近ストーンウォールの魔法を使いまくっていたせいか、詠唱速度がとんでもなく速くなった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
セリス(LV.28)
性別:女
ジョブ:槍術士
スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)
備考:ラルヴァの死体が光になって消えるまで、返り血でぐしょぐしょになっていたのが気持ち悪かった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アウリン(LV.29)
性別:女
ジョブ:炎術士
スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)
備考:ヴィヴィアンを信じて、一歩も動かずに詠唱に集中していた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ヴィヴィアン(LV.28)
性別:女
ジョブ:騎士
スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)
備考:とっさに投げ捨てた剣と盾が無事だったことに、心からほっとしている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ラピス(LV.30)
性別:女
ジョブ:槍術士
スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)
EXスキル:≪テラーバースト≫
備考:アウリンの魔法のあまりの威力に、思わず引いてしまっている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
シシャス(LV.30)
性別:女
ジョブ:弓術士
スキル:弓の才(弓の基本技術を習得し、弓の才能をわずかに向上させる)
EXスキル:≪ホークアイ≫
備考:自分だけはここからでも援護できたはずなのに、恐怖で動けなかったことに自己嫌悪している。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ニキス(LV.30)
性別:女
ジョブ:強化術士
スキル:ブーストアップ(パーティーメンバー全員の物理攻撃の威力を20%アップ)
EXスキル:≪クロスエッジ≫
備考:強化術士でありながら戦闘系のEXスキルを習得できたことで、自分の技量には絶対の自信があった。

 だが、セリスの戦いぶりを目の当たりにし、その自信が揺らぎ始めている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
シェナ(LV.30)
性別:女
ジョブ:斧士
スキル:斧の才(斧の基本技術を習得し、斧の才能をわずかに向上させる)
EXスキル:≪ブレイクスラッシュ≫
備考:ヴィヴィアンの鎧に仕込まれたギミックに、目を輝かせている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵
ファンタジー
 ーーある日、平穏な世界は終わった。  そうとしか表現できないほどに世界にモンスターという異物が溢れ返り、平穏かつ醜い世界は崩壊した。  そんな世界を自称凡人な男がマイペースに生きる、これはそんな話である。

処理中です...