1 / 1
そんなに破棄されたいなら、どうぞご自由に。
しおりを挟む俺の名前はクラウディオ・ラインフェルト。
王国の片隅に領地を持つ男爵家の嫡男だ。
──ただし、『忌まれた嫡男』として。
生まれつき銀の髪に赤い目。それは、銀髪の父方の家系と、紅玉のような瞳を持つ母方の血を色濃く受け継いだ結果だった。
珍しすぎるその容貌は「物の怪にでも取り憑かれているのでは」と噂され、村の大人たちには避けられがちだったが──家族だけは違った。
父は「先祖の力が強く現れた証だ」と言い、母は「世界で一番綺麗な色」と目を細めてくれた。
年の離れた姉たちは、俺の髪を梳かしながら「まるで月の糸みたい」と笑い、時にうるさいほどに過保護だった。
だから、俺は知っている。
この色は、誰かに恐れられるものではなく、大切にしてくれる人がいる色だということを。
歳を重ねても領地の人々の目は変わらず厳しかった。
「男爵家のご嫡男様は呪い持ち」だとか、「目を合わせると不幸がうつる」だとか、そんな陰口を耳にするのは、一度や二度ではなかった。
けれど、俺はまだ幼く弱かったが泣かなかった。
姉に「気にしなくていいのよ」と抱きしめられても、ただ黙ってうなずくだけだった。
どうしてそんなことを言うのか。誰が最初にそう言い出したのか。
どの家がそういう噂を広め、誰がそれを信じるのか。
俺は幼いながらに、じっと周囲を観察していた。
市場で買い物をする母のそばで、静かに人々の顔色や声の抑揚を聞いた。教会の祈りの場で、誰がどこに座るか、どう目を伏せるかを見ていた。声をかけてくる相手が本心からなのか、ただ形式的に挨拶しているだけかを、言葉より先に目で読んだ。
そうして、俺は覚えたのだ。
人は、表情と声だけでは信用できない。けれど、嘘はどこかに必ず滲む。
大切なのは、静かに見つめて、決して焦らず、判断すること。
だから、俺はただ冷静に、静かに、周囲を観察しながら生きてきた。
十歳のとき、ひとつの転機があった。隣領の辺境伯家から、三女のセレナ嬢が嫁いでくることになったのだ。
政略? そうとも。もちろん貴族同士の打算が生んだ婚約だ。
だが俺は、その大きな翡翠色の瞳と、はきはきとした物言いをする彼女に、少なからず興味を持った。セレナも、最初はそんなに悪い顔はしていなかったと記憶している。
──問題は、学園入学後に起きた。
◇ ◇ ◇
王都学園の中等部校舎裏。ひと気のないベンチで読書をしていた俺に、幼馴染みのユリィナが軽く告げる。
ユリィナ・エルネスト。俺とは領地が隣同士で、幼い頃からの付き合いだ。緩やかに波打つ亜麻色の髪を肩で束ね、大人びた瞳で周囲を見渡すその姿は、どこか舞台裏の指揮者めいた雰囲気を纏っている。
彼女は近衛騎士団候補生の兄を持ち、その伝手で王都のあらゆる『噂』や『動き』に妙に詳しい。騎士団の情報、貴族間の縁談、学園内での派閥構造……表に出ない情報を誰より早く嗅ぎつける才覚がある。
明るく冗談交じりに話すことが多いが、本質は非常に現実的で、冷静な分析眼を持っている。俺が数少ない信頼を置いている人物の一人だ。
「クラウディオ様、あなたのご婚約者がまた『ご相談』なさっていましたわ」
今日もまた、彼女は何気ない口調で爆弾を投下する。
「ほう」
「『最近クラウディオ様に冷たくされて……婚約破棄されそうなんですぅ』って、今度は侯爵家の次男坊に。見事に涙まで使ってたわよ」
「演技の幅が広がったな」
俺は本に栞を挟み、閉じた。
セレナが自ら『可哀想な婚約者の立ち位置』を得ようとしているのは知っていた。
問題は、なぜそこまでして『破棄されそうな私』を演出したいのかだ。
俺が何かしたか? 記憶にない。
むしろ距離を取ってきたのは彼女のほうだ。
入学初日、馬車を降りたときには、軽く会釈を返してきた。だがそれ以降、俺と同じ講義を受けているのに、席は必ず数列空けて座る。食堂で顔を合わせても、目を逸らしてすぐに別の友人たちと連れ立って行ってしまう。
嫌悪の視線を向けられたことはない。だが、その笑顔は俺には向けられなかった。彼女が笑いかけるのは、侯爵家や公爵家の子息たち。紅茶を淹れてもらうのも、歩調を合わせるのも、いつも彼らとだった。
一度だけ、立ち話でもしようかと声をかけたとき──
「……ごきげんよう、クラウディオ様」
その声は、氷の膜をまとったように冷ややかで、俺を他人のように突き放した。
あの瞬間、俺は確信したのだ。
彼女は、俺から遠ざかりたいのだと。
まるで、俺との関係をなかったことにしたいかのように。
「侯爵家の坊ちゃん、あの性格でしょ。『俺が助けてやらねば!』って燃えてたわよ?」
「……面倒だな」
少し考え、俺は立ち上がった。
そろそろ潮時か。
証拠は、ほぼ揃っている。
◇ ◇ ◇
「これは、セレナ様が侯爵家へ送った手紙の写しです。内容は──」
王都の行政局舎、監査室。
貴族学生の通信記録は一定期間保存される。規則違反ではないが、裏で婚約破棄を画策しているとなれば話は別だ。俺は正規の手続きを通じ、証拠を手に入れていた。
《今の婚約はあくまで形式的なものにすぎません。幼い頃に決まっただけで、感情はありません》
《本来、私のような立場なら、もっと上の家の方と将来を考えるべきでしょう?》
《王都で交友を広げて、少しでも名声を築けば、きっと父もわかってくれるはずです》
《ラインフェルト男爵家は悪い方ではありませんが、正直……あの家に一生縛られるつもりはありません》
《乗り換えるなら、今が一番の好機。あの程度なら、こちらから手を引けばすぐ終わるわ》
どれも彼女の筆跡だ。
この文面の裏には、確かな焦りが滲んでいるようだった。
セレナ・グリゼリア。
三姉妹の末娘として生まれた彼女は、幼い頃から姉たちの背中を見て育った。一人は公爵家へ、もう一人は大商家へ──いずれも政略のために送り出された。
華やかに見える立場の裏で、姉たちがどれほど「自分を消して」嫁いだかを、セレナは知っていた。
その中で彼女が選んだのは、『愛されて選ばれる自分』として、より良い立場に登ることだった。
政略ではなく、自らの魅力と立ち回りで、もっと自由な場所へ行きたい。
その希望が、やがて打算へと変わり、婚約という枷から逃れるための策となり、そして今、俺に対する虚構へと至ったのだろう。
哀れだとは思わない。ただ──
「そうまでして得たい未来とは、どんなものだったんだろうな」
皮肉でも怒りでもなく、俺はそう静かに思っただけだった。
俺はそれらをまとめ、セレナの実家・グリゼリア辺境伯家に正式な文書を送った。
王都滞在中の使者を通して──
婚約破棄の申し入れとして。
◇ ◇ ◇
「え、ええと、クラウディオ様……これは、何かの……」
「内容を読み違えることはないはずです、セレナ嬢」
放課後の面会室で、セレナはようやく目の前の事態が現実だと悟ったようだった。 その顔から血の気が引いていくのが、目に見えて分かる。
彼女は、乗り換えるつもりだった。
けれど、それは誰も傷つかず、自分だけが上手く立ち回れるはずの、小さな夢想だったのかもしれない。
政略結婚でそれぞれ高位の家へ嫁いだ姉たち──けれどその顔には、いつも仮面のような笑みしかなかった。泣いても怒っても、婚家には通じない。そんな姿を幼いセレナはずっと見てきたからだろうか。
「愛されて嫁ぐ」ことができたら、自分は幸せになれるのではないか。
そう信じたのだ。だから、幼い頃に形式的に結ばれた婚約より、もっと自分を望んでくれる人を探そうとした。
──けれど、やり方を間違えた。
演技をし、嘘を重ね、踏み台にしようとした相手が、黙って従うような人間ではなかったことを、彼女はようやく悟ったのだ。
焦り、涙を浮かべている。だが俺は、表情を変えずに告げる。
「あなたの望んだ『婚約破棄されそうな私』の続きとして『本当に婚約破棄された私』をご用意しました」
「そ、そんなつもりじゃ……! ただ、ちょっと噂で……! 貴方が無関心だから!」
「確かに無関心だったかもしれません。しかし、裏で手紙を送り、他家に乗り換えようとしていた理由にはなりませんよ」
俺は立ち上がり、椅子を整えた。
「……これ以上のやりとりは無益です。辺境伯家との正式な破棄手続きは進んでおりますので。では、ごきげんよう」
「ま、待って! ほんとは、まだ……」
彼女の声は、扉が閉じる音にかき消された。
◇ ◇ ◇
それからというもの、学園内の空気は静かに、しかし確実に変わった。表立った騒ぎは起きなかった。けれど、人々の視線は確かに変わっていた。
以前は、俺を冷淡な婚約者と見る者も少なくなかった。「可哀想なセレナ嬢のために」と正義感を滾らせていた生徒たちも、手紙の写しが噂として回り始めてからは、徐々に口を閉ざすようになった。
やがて「ラインフェルト男爵家の嫡男は、むしろ黙ってやり返すタイプらしい」という新たな評が広がり、軽んじてよい相手ではないと認識され始める。
一部の教師や監督官までもが、ふとした場面で俺に敬意のこもった態度を取るようになった。
いつの間にか、誰かが『知略家』などという妙な渾名までつけていたらしい。
一方でセレナは──その正体が露見して以降、急速に孤立していった。
侯爵家の子息は表向きこそ礼節を保っていたが、もう彼女に話しかけることはなかった。
女子生徒たちも、嫉妬と警戒が反転して冷笑に変わり、彼女の席の周囲は妙に空くようになった。
かつては花のように人を惹きつけていた彼女が、今は風に打たれる一輪の影に見えた。
俺はといえば──
何も変わらず、本を読み、講義に出席し、必要なときだけ言葉を選んで話す日々を続けていた。
変わったのは、周囲の目と、俺に向けられる声の質だけだった。
◇ ◇ ◇
「忌まれた子だなんて、もう誰も言わないわね」
昼休みの中庭。柔らかな春の陽が差すなか、俺はいつものように読書をしていた。隣に腰を下ろしたユリィナが、ふとそんな言葉をこぼした。声には少し、安堵にも似た感情が混じっていた。
「昔はね、あなたと並んで歩くだけで、ヒソヒソ言われたのよ? 『あの子、呪われるわよ』って」
少し笑うように言いながら、どこか悔しそうな表情も浮かべていた。
「それが今じゃ、誰もが一目置いてる。静かにやり返すとか、なんかズルいわよ、ほんと」
「……評価が変わったところで、俺が何か変わったわけでもないが」
俺は本にしおりを挟み、軽く肩をすくめる。
「ただ、見方が変わっただけだ。最初から、何も『呪われて』などいなかった」
「それでも、私は嬉しいの。あなたが、ちゃんと見られるようになったって」
彼女はそう言って、小さく笑った。
本を閉じ、春風の匂いの中、俺はしばしの間、何も言わずに空を見上げた。
「……次は、どうするつもりなの?」
ユリィナが問いかける。
「進学か、それとも実家に戻って領地を継ぐか。貴族の家からのお誘いもあるんでしょう?」
「いくつか、話はある」
侯爵家の文官として迎えたいという打診もあった。王宮の学術顧問としての推薦も。ただ、どれもまだ駒の置き方を考えている最中だった。
「焦るつもりはない。今は、静かに研ぎながら待つときだ」
「またそうやって、獣みたいな目をする……」
ユリィナが呆れたように息を吐く。けれど、すぐに視線をそらして言った。
「……待つだけじゃ、逃げる人もいるわよ」
「それは、狙ったものに限っての話か?」
「さあ、どうだか」
短いやりとり。けれど、そこには少しだけ違う色の温度があった。
ユリィナの頬が風で赤らんだのか、それとも別の理由かは、俺にはわからない。
だが、それを見たとき、ふと考えた。
もう忌まれた子と恐れられるだけの存在ではないのだと。
誰かの隣で、対等に言葉を交わす未来が、俺にもあるのかもしれないと。
◇ ◇ ◇
学園を卒業した数ヶ月後、俺は故郷・ラインフェルト男爵領へと戻った。
馬車の窓から見えるのは、昔と変わらぬ素朴な風景。けれどその奥底で、確かにくすぶる停滞がある。
教育の遅れ、土地の非効率な運用、迷信に支配された民意。かつての俺を忌まれた子と呼んだ声は、まだ微かに残っていた。
だが今なら、怖れはなかった。
俺には、やるべきことと、それを成し遂げる力がある。学園で得た知識も、人の本質を見抜く術も、すべてこの地のために使うと決めていた。
「おかえりなさいませ、クラウディオ様」
屋敷の門を開けたのは、老執事のエドガーだった。白髪は増えたが、その瞳は今も鋭く、優しい。続いて姉たちが笑顔で迎えに来る。昔のように、俺の銀の髪にそっと触れながら──
「ほんとうに……よく帰ってきてくれたわね」
静かに笑って、そう言ってくれた母の声が、なぜか胸に深く染みた。
あの頃、周囲から怯えた目で見られるたび、母だけは俺を抱きしめてくれた。「あなたの髪も、目も、全部、私の誇りよ」──その言葉に、どれほど救われたか。
今思えば、あの瞬間に、俺の『根』は確かにこの家に張られていたのだ。
どんなに外で嘲られようと、ここに帰れば、俺はただの息子でいられた。
「……ただいま、母上」
声に出したのは何年ぶりだっただろう。
母の笑みが、何よりの答えだった。
◇ ◇ ◇
それからの日々は忙しかった。
村の子供たちに読み書きを教えるための学舎を建て、流通の見直しに商人を呼び込み、魔法による農地改良にも着手した。
忌まれた子と呼ばれた男が、今では『よう働く若様』などと親しみを込めて呼ばれている。
ある日、役所に視察報告書を届けに来た女性が言った。
「ほんと、変わったわね、この村……あの頃が嘘みたい」
そう言って、少し照れくさそうに笑ったユリィナの姿に、俺も小さく笑って応じた。しばらく、言葉なく開けた窓から風に揺れる草の音を聞いていたあと、俺はふと口を開いた。
「……お前は、これからも視察でこっちに来るのか?」
「うん。しばらくは。でも、いずれは別の任地に移されるかも。あんまり長居すると、ほら、噂になるでしょ?」
「なら──その前に、話しておいた方がいいな」
ユリィナが、ぴくりと動きを止める。
「俺の隣は、今のところ、空いている。けど、いずれは埋めなきゃならない席だ」
「……ふうん? 領地経営の補佐の話?」
「それも含めて、だ。……お前なら、似合いそうだと思った」
笑いながら言ったつもりだった。
けれど、喉の奥が少しだけ乾いていた。
「……っ、そういうのを冗談で言うの、ほんとやめてよ」
ユリィナは顔をそらし、耳まで赤くしてそう言った。けれど、背を向けただけで立ち去ろうとはしなかった。
その背中を見ながら、俺はそっと心のなかでつぶやいた。
(……もう少し、待つさ。答えは急がない)
そうして、また一つ書類に判を押す。
この領地は、俺が育ち、俺が守ると決めた場所だ。
血のつながった家族と、信じ合える人々の手の中で。
静かに、確実に──この地に根を張って生きていく。
夜。
窓の外には、見慣れた田園の月。
忌まれた、と言われたその銀の髪を月明かりが照らす。
もう誰も、呪われているとは言わない
だが──俺は忘れない。
そう言われていた日々のことも。
だからこそ、今日もまた静かに、けれど揺るがぬ一歩を踏み出す。
それが、クラウディオ・ラインフェルトという男の生き方なのだから。
──完──
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
まさか、今更婚約破棄……ですか?
灯倉日鈴(合歓鈴)
恋愛
チャールストン伯爵家はエンバー伯爵家との家業の繋がりから、お互いの子供を結婚させる約束をしていた。
エンバー家の長男ロバートは、許嫁であるチャールストン家の長女オリビアのことがとにかく気に入らなかった。
なので、卒業パーティーの夜、他の女性と一緒にいるところを見せつけ、派手に恥を掻かせて婚約破棄しようと画策したが……!?
色々こじらせた男の結末。
数話で終わる予定です。
※タイトル変更しました。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
婚約破棄を伝えられて居るのは帝国の皇女様ですが…国は大丈夫でしょうか【完結】
繭
恋愛
卒業式の最中、王子が隣国皇帝陛下の娘で有る皇女に婚約破棄を突き付けると言う、前代未聞の所業が行われ阿鼻叫喚の事態に陥り、卒業式どころでは無くなる事から物語は始まる。
果たして王子の国は無事に国を維持できるのか?
平手打ちされたので、婚約破棄宣言に拳でお答えしました
Megumi
恋愛
婚約破棄を告げられ、婚約者に平手打ちされた——その瞬間。
伯爵令嬢イヴの拳が炸裂した。
理不尽に耐える淑女の時代は、もう終わり。
これは“我慢しない令嬢”が、これまでの常識を覆す話。
『二流』と言われて婚約破棄されたので、ざまぁしてやります!
志熊みゅう
恋愛
「どうして君は何をやらせても『二流』なんだ!」
皇太子レイモン殿下に、公衆の面前で婚約破棄された侯爵令嬢ソフィ。皇妃の命で地味な装いに徹し、妃教育にすべてを捧げた五年間は、あっさり否定された。それでも、ソフィはくじけない。婚約破棄をきっかけに、学生生活を楽しむと決めた彼女は、一気にイメチェン、大好きだったヴァイオリンを再開し、成績も急上昇!気づけばファンクラブまでできて、学生たちの注目の的に。
そして、音楽を通して親しくなった隣国の留学生・ジョルジュの正体は、なんと……?
『二流』と蔑まれた令嬢が、“恋”と“努力”で見返す爽快逆転ストーリー!
婚約破棄? あ、ハイ。了解です【短編】
キョウキョウ
恋愛
突然、婚約破棄を突きつけられたマーガレットだったが平然と受け入れる。
それに納得いかなかったのは、王子のフィリップ。
もっと、取り乱したような姿を見れると思っていたのに。
そして彼は逆ギレする。なぜ、そんなに落ち着いていられるのか、と。
普通の可愛らしい女ならば、泣いて許しを請うはずじゃないのかと。
マーガレットが平然と受け入れたのは、他に興味があったから。婚約していたのは、親が決めたから。
彼女の興味は、婚約相手よりも魔法技術に向いていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる