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第2弾 いつか王子様が
18Memory⑨(エイティーン・メモリー)
しおりを挟む「――お――?」
ロバートが内開きの扉を開けると、
「――あ――」
帰ったかと思いきや、メラリーは扉から練習場を覗いていた。
ポン、
ポン、
ロバートはメラリーの頭を軽く叩いて廊下を去っていく。
「……」
メラリーはまた扉の隙間から練習場を覗いた。
練習場はジョーの集中力にピンと張り詰めた空気が漂う。
ガン!
ガン!
ガン!
ガン!
マネキンの指に挟んだピンポン玉が弾かれて飛ぶ。
「……」
メラリーはじいっと息を詰めてジョーの練習を見ていた。
その夜。
キャスト宿舎。
メラリーは布団に仰向けに寝て、高い天井を見つめながら、何やら思案していたが、
「……」
やおら決心の面持ちでムクッと起き上がった。
コンコン。
メラリーがノックしてジョーの部屋の玄関扉を開けると、
「ジョーさん?――うわっ?」
またしても妙齢のグラマー美女がベッドにいた。
今度はバスタオルも巻かずにセミヌードだ。
「――きゃっ?」
慌てて胸を羽根枕で隠すグラマー美女。
「――メ、メラリーかっ?」
バスルームからジョーが全裸で飛び出てくる。
「――っ」
バタンッ。
慌てて玄関扉を閉めるメラリー。
「――はふ、はふ」
メラリーは初めて生で見た妙齢のグラマー美女の胸にドキドキが止まらない。
「メッ、メラリ~ッ?今度こそ、的、立ってくれる気になったんだろっ?そーなんだろっ?」
ジョーがバスローブ姿で廊下に出てくる。
「ちっ、違いますっ」
メラリーはブンブンと首を振る。
「ジョーちゃんっ?何なのよっ」
グラマー美女が早々と服を着て部屋から出てきた。
「――あ、あれっ?昨日と違うヒト??」
メラリーは明るい廊下で見て、初めて昨夜のアンとは別のグラマー美女だと気付いた。
この時はメラリーと初対面だったがフレンチカンカンの踊り子のリンダ(林田里砂)だ。
「昨日ぉ?昨日って誰よっ?」
リンダの目が吊り上がる。
「メラリー?やる気になったんだろ?なっ?」
リンダを無視してメラリーに詰め寄るジョー。
「誰なのよ?ジェニー?セーラ?ヘレン?アン?ネリー?セシル?」
リンダが次から次へと女の名前を上げる。
「……」
唖然とするメラリー。
「――なっ?メラリー?」
尚もリンダを無視してメラリーに詰め寄るジョー。
「キャシー?ベッキー?ブリンダ?ケイト?ルイーズ?サラ?オリーブ?ローズ?ファニー?ポリー?デイジー?タミー?ニコル?ミランダ?ブリジッド?バーサ?マーガレット?アリス?メリッサ?」
ウェスタン・タウンのフレンチカンカンの踊り子は総勢50人いるのでリンダの口は止まらない。
「――るっせーなっ。いちいち名前なんか覚えてっかよっ」
ジョーは振り返ってリンダに怒鳴った。
「な、なによっ」
ガツッ!
リンダの蹴リがジョーの尻に飛ぶ。
日頃、カンカンダンスのハイキックで鍛えている足なのでかなりの威力だ。
「――てえ~」
ジョーはガクッと膝を突いてバッタリ倒れた。
「ふんっ」
ダダダーーッ。
リンダは腹立たしげに階段を駆け下りていった。
「――おやすみなさい」
メラリーは軽蔑の眼差しでジョーを一瞥して、自分の部屋に戻る。
「――メ~ラ~リ~~」
ジョーは倒れたまま憐れっぽく呼び掛けたが、
ボスッ!
返事の代わりにバッキーのぬいぐるみを頭に投げ返された。
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